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15.三題噺「生徒会長、仕事、0%」

「マカロンくん」

 放課後の生徒会室で、仕事がひと段落したところで生徒会長のマカロンくんを呼んだ。

「お前までその呼び方をするのか」

「先輩がそう言ってたら馴染んじゃって」

「仲良しでなにより」

 マカロンくんはメガネを外して目を摘んでから僕を見た。

「最近どうなんだ?」

「先輩とは別にどうもこうもないよ」

「どうなんだ、ってだけで恋愛に結びつけるあたり、お前も隠すの下手だよな」

「……あ」

 気を抜いていたかもしれない。
 まあ、幼馴染だし、誰かに話したりしないだろうからいいか。

「そうだよ。先輩のこと好きだよ」

「お前の素直なところ可愛くて好きだ」

 マカロンくんは揶揄うような目線でくすくす笑った。

「で、どこが好きなんだ?」

「根掘り葉掘り聞くつもり?」

「ああ。面白いからな。それに青春は学生の醍醐味だろ?」

 やっぱり白状しない方がよかった気がしてきた。

「僕のことはいいよ。マカロンくんはどうなのさ?」

「なんのことだ?」

「わかってるくせに。あの仕事をしない怠惰な女教師とのことだよ」

「誰のことかわからんんな」

 マカロンくんは差し入れのクッキーをひとつつまんだ。

「幼馴染の仲なんだからとぼけないでよ。それとも、もしかして進展0%とか?」

「ごほっ、えほっ……」

 マカロンくんは急に咽せた。

 え、このうぶな反応、もしかして……。

「マカロンくんともあろう人が奥手?」

「……さあ、さっさと残りの仕事片付けるぞ、もう少しで下校しないといけないからな」

 マカロンくん、人のこと言えないよ。

 隠すの下手すぎ。




作者です。
三題噺を書きました。
題目の選定は以下のサイトを使用させていただきました。
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