私は何者か、番外編 a dozen 短歌 29
見知らぬを良いことに我かくれんぼそのまま消えても誰も気づかぬ
霙とはちょっと尖った字面です樋を流れる冷たい二月
蝋梅のかほりいつからどこからかくっついてきて嬉しくて笑ふ
そのひとは冷たい雨だねと言って私に傘をくれたんだよ
眠いんだそれでもなにか沸いてきて浮かんでくるの断崖のテラス
ハンカチをなくしたらまた同じハンカチ見つけて運命だよ運命
薄い墨引いてそのままその影に呑まれてしまう
鳥引く群れよ
金曜の彼の顎髭伸びている私を待って待っていたんだ
霧雨のところどころに大粒の涙でもなくため息でもなく
月はどこ探してばかり月はそこ見えないことのその不確かの
その島の陰影渡る鳥の群れ閉じるでもなく綴じてゆくだけ
さよならのために生きてはいけないとけれどさよならさよなら人生
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