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斜里岳

日程:2005年9月17日
メンバー:ぼく、Tさん

秋の斜里岳(1,547m)へ行ってきました。
Tさんは前回7月に案内したのに、登山道などの記憶が断片的らしいのです。それも幸せなのかな。

清岳荘で、管理人さんに"やあやあ"とご挨拶し、そして愛犬"エルちゃん"とじゃれあいます。
登山口発7:15。天候は高曇り、気温16℃、風強し。尾根をビュービューと風が唸っています。
いまの季節は、17:30と日没も早いので、ゆっくり確実に気をつけて登らねばなりませんね。
夏山日帰り登山でも、ヘッドランプの装備は必須です。
その他、ぼくは日帰りでもツェルトにシュラフカバー、アマチュア無線、緊急セットや医薬品など一式を背負います。

今朝の斜里岳
清岳荘のアイドル・エルちゃん

旧林道から一の沢のコースへとたどって入ってゆきます。
前回7月に登った時とは異なり、沢には雪渓(残雪)がないので歩きやすいです。
"Tさん"も順調に後ろをマイペースでついてきてくれます。初心者とはいえ、もう心配いらずです。

7:50、「下二股」にて休憩。
今日は登山者に出会いません。すでに団体ツアー客を含め登山者が先行しているはずなのですが・・・
すると、万丈の滝を越えた辺りで、後方からチリンチリンと鈴の音が異常な速さで近づいてきました。
あっという間に、その鈴の持ち主に、駆け足で追い越されてしまいました。
この方は、百回巡業といって毎日、斜里岳に登っているのだそうです。今日で今年79日目なんだそうです。
まるで"仙人"ですよね。日本百名山達成もスゴイけれど、こちらもスゴイです!
世の中、スゴイ人もいるものです。

羽衣の滝
見晴らしの滝より平野を望んで

8:40、見晴らしの滝を超えたところで休憩。
いつもは最初の登り始め1時間だけ調子の良いぼくも、今日は珍しくも、まだまだ快調です。
ここからはシャワークライミングのような快適な沢登り。前回7月は雪渓下だった上二股までの、どうも距離感の記憶がありません。
「こんなに上二股まであったかなぁ」などと思いながら、足を進めます。

9:10、第一目標の「上二股」に到着。休憩。
強風になってきました。ようやく下山してくる人たちに出会います。頂上付近は猛烈な風の様子です。
今日は長袖を着てきて正解です。
風が強くても、行けるところまで行こうと出発。
ここからは心臓破りの「胸突八丁」。浮き石あるガレ場に続く、急登の径を一歩ずつ登っていきます。
さすがにここでは、足を止め、足を止めの繰り返しです。でも、ゼイゼイハァハァにはなりません。
紅葉にはまだ早いのか、山肌の葉たちも色づいていません。ウラジロナナカマドが実をつけています。

急登の胸突八丁 標高1370m
ウラジロナナカマドの実

「馬の背」まであと少しのところで頂上まで往復してきた"仙人さん"と出会いました。 

何でもご地元の気功師さんのようで、61歳とか。とてもそんなお年には見えません。 
缶コーヒー一本しか持参されていません。

登山を続けていると、程度にもよりますが、主に循環器系の病気などが治るのだそうです。
毎日の生活習慣が大切なのですよ、と、おっしゃっていました。
(ちなみに雨天時には、海パンに雨具上着のいでたちで登山をなさるのだそうです)

9:50、強風の「馬の背」に到着。立っていられません。すぐさま、そばのハイマツの陰へ。
何とかハイマツの陰にて、風にバタバタさせながら防寒着(雨具上着)を身につけます。
視界は、横たわる海別岳に知床連山、オホーツク海と斜網の農用地、屈斜路湖などが望めます。
猛烈な風たちが尾根や山肌をなめるように、ザーっと渡ってゆきます。

斜網農地とオホーツク海を望んで
海別岳と知床半島を望んで

馬の背から頂上までは約15分の行程ですが、風が強くてよろけ、向かい風に身体を預けられる程です。
祠でポンポンとお参りをして通り過ぎ、いざ、頂上へ。
なんとしてでも頂上石碑にタッチしなくては!
(猛烈な風で頂上では立てる状況ではないことは、出会う下山者から聞いていたもので・・・)
頂上手前から数10mでは立っていられず、匍匐前進(ほふくぜんしん)で、猛烈な風に砂礫が顔にぶちあたり、目も開けられない中、何とか、10:15、頂上石碑にタッチ!
頂上滞在時間わずか30秒です。
まるでシレトコの冬山並みの風の強さです。

そそくさと祠地点まで降り、風を避けて、バナナなどで昼食休憩。

下山は、疲れないようにと、"Tさん"を先頭にして、ゆっくりテクテク下山にします。
風の通り道の「馬の背」でまた強烈な風にあたり、風のない「上二股」まで一気に下山。休憩。
ここからは新道尾根コースをたどります。「熊見峠」まで1,350mの距離。登りあります・・・
ハイマツ帯にはコケモモが赤い実をつけています。ガンコウランも黒い実をつけています。
振り返ると、偉容なる斜里岳本峰などが連なっています。あそこまで行ってきたんだ。

ゆっくりと写真などを撮りながら、熊見峠へと向かいます。

斜里岳本峰を望んで
コケモモの実

12:00、熊見峠にて休憩。
ここから「下二股」まで約30分の急な下り坂。
それでも雨天後でもなく径も乾いていて、なんだかんだと、あっという間に「下二股」へ到着。
途中、横須賀から来られたという老夫婦を追い越しましたが、手を取り合い、仲睦まじかったです。
ホントウにホントウにゆっくりのペースでして、今朝は5:30に登山口を出発したとのこと。
(前日は長丁場の羅臼岳に登ったというのですから驚きです)

「下二股」から14回ほどの沢の渡渉を再び繰り返して、旧林道へ飛び出しました。 

14:15、清岳荘(登山口)に到着。

時間も早く、登山後は温泉ということで、斜里岳山麓の清里町にある緑清荘で汗を流し、ほどよい疲れを取りました。
温泉後、玄関を出た正面の景色には、斜里岳がこれから機嫌が悪くなりそうな面持ちになっていました。

良い山行でした。
やはり、ぼくは斜里岳とは相性が良いです。
今回も事故やケガ等もなく良かったです。
山は人、楽しく登って元気をもらうところですね!




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