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北海道ヒッチハイク①

山岳部の大雪山縦走(沼の原〜トムラ〜忠別〜後旭〜黒岳)後、数日してぼくは、疲れた自分を癒すように学校祭準備に休暇をもらって、1人でヒッチハイクに出かけた。

この計画は6月位から温めていて1人用のテントやガスストーブを購入しておいた。

Tシャツに短パン、山で使ったザックにテントや寝袋、米などを背負った。出発駅にはなっちゃんが見送りにきてくれた。
行き先は美幌駅までで、そこからは適当に考えようと列車に乗り込んだ。
美幌駅を降りて美幌峠へ行こうと街中を歩いていると、とたん迷ってしまった。
街の人が郊外の国道まで運んでくれた。
照り返しのきつい国道を歩いていると、1人の不安と自由を感じた。すれ違うバイクツーリングや自転車旅行をしているグループの誰もが手を振って応援してくれ、うれしさと誇らしさを感じた。
美幌峠までは1台の人が拾ってくれ、美幌峠からは家族連れの車が拾ってくれ、子どもたちを前にほめてくれながら屈斜路湖砂湯キャンプ場に下ろしてくれた。
カレーライスをつくり、周りのにぎやかな家族連れキャンプのにぎやかな声を聞きながら1人ラジオを聞きながら寝た。

翌日は霧雨の降る寒い日だった。
硫黄山の方へ歩いていると、ご夫婦で行商をされている車が拾ってくれた。硫黄山でゆで玉子を買ってくれ、そのまま霧の摩周湖へ連れていってくれ、弟子屈の街に下ろしてくれた。
フランスパンとサラミをかじりながら別海への何にもない国道を歩いた。走る車もめっきり減った。
共済の仕事中の人が拾ってくれ別海駅で下ろしてくれた。もう夕方で、列車もなく、仕方なく海岸でキャンプしたいという気持ちだけで本別海へと歩いて向かった。

灰色の空と重圧感のある北方領土がみえるさみしい海岸線でキャンプ地をさがしていると根室から羅臼へ帰るご夫婦が拾ってくれ、羅臼の自宅へ泊めてくれた。自転車を貸してくれ露天風呂へ行くよう勧めてくれた。TVもある地下の一室を与えてくれ、夕食は赤飯を炊いてくれた。カレイの煮付けが美味しかった。ご主人は、信用金庫に勤めるS崎さんという人だった。

翌日の朝、S崎さんはおにぎりまでにぎってくれて見送ってくれた。知床横断道路を3時間かけて峠まで歩いた。
峠ではこないだ地区大会で登った羅臼岳が望めて、自分の山のようになつかしく思えた。
峠からは新婚旅行でドライブしているご夫婦が拾ってくれ、ウトロで下ろしてくれた。記念写真をとってくれた。

まだ陽も高かったけれど、里心がついてしまい、翌日は斜里駅から帰ろうと思い、ウトロのキャンプ場でカラスに囲まれ迷惑しながら、洗濯をしたり、紅茶を沸かしたりしてゆっくり過ごした。


知床横断道路

(カバー写真は、知床横断道路から見る羅臼岳)

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