楽 らく

空気も電波も心もこの世は見えないものばかり。透明な詩を書いてみたい。

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空気も電波も心もこの世は見えないものばかり。透明な詩を書いてみたい。

最近の記事

口を塞ぐ

良かれと取り組んた でも、 否定された 心を運んだ しかし、 伝わらない善きことをしただけど、 拒否された でも、しかし、だけど 逆接の接続詞をつける 思い通りの結果は出ない 自分に都合のよい世界はない 分かっているはずなのに 逆接につなげる 逆接の接続詞 でも、しかし、だけど つなげそうになると 口を塞ぐ

    • 柿の木に残った実は 木の守り 烏が食べる 今年は豊作 あちこちから 柿の実が届く 1日1個ずつ 完熟になる 台所でも熟れる 熟した柿の実は 秋を存分に纏って 体内に入る 体は秋に満たされる 秋は柿色 心も柿色

      • カビゴン

        貢物を食べて カビゴンは眠る 朝昼晩に 食事を取って カビゴンは眠る 眠れば眠るほど カビゴンは成長する 貢げば貢ぐほど カビゴンは巨大化する 眠りの大事さ 食事の大事さ 欠落する運動 カビゴンは食べる カビゴンは眠る どこまでいくのか カビゴンよ

        • 検定

          検定は終わった 結果を待たずに 教科書を捨てる 体内に残った知識が 役立つならば 検定の意味はある 法律に縛られた日常よ 法律に守られた生活よ 少しずつ進化する 法治国家よ 検定は終わった 一夜漬けでもいい 役立たずともいい 透明な検定は終わった

          比べない

          比べない 比べない 比べたとたんに 矢印は方向を見失い ぐるぐる回る 比べない 比べない 今、ここに この一点に 矢印の先を定めよ

          DNA

          過去は 切り捨てられないけれど 変わろうと 変えようと 螺旋階段を上る 巡りくる景色は 受け止める心で変わる 過去の過ちと よく似た失敗を 繰り返しながら もう、考えまい もう、悔やむまい もゔ、恨むまい 螺旋階段の下に 見える過去は過去 未来への階段は これから作る

          表面張力3

          表面張力の 中身はなんだ 妥協の塊? 辛抱の怨念? 我慢の炎? 表面張力が破れた時 毎回溢れ出すのは 無味、無臭、常温で 透明の液体だ 表面張力も 10年の歳月をかけたら おぞましき中身も 浄化できるのか

          表面張力1

          あなたの一滴が落ちた時 表面張力は破れて 突然私は暴れ出す 目前の豹変した化け物を 初めて見るように目を丸くして見つめるあなた 私にとっては 日常茶飯事の化け物 一滴、一滴を集めて、 まあいいかと妥協して、溜め込んだ日常 あなたの最後の一滴で溢れ出すのは当然だ 初めて知ったと 驚く必要はない

          表面張力2

          母は言った あの子はこんな子ではなかったと 姉は言った 妹は突然おかしくなったと 義母は言った 全然知らなかった もっと早く言ってほしかったと 自分でさえ知らぬ 表面張力の周期 10年か20年か 表面張力を破って 暴れ出す わ た く し

          表面張力

          表面張力が破れて 泉のように溢れ出す 日常よ どうにか自分の枠内に 満ち満ちていたものよ ギリギリまで時間を使い ギリギリまで心を使い 死に物狂いに生きた後に 突然、日常は溢れ出す 無味無臭で熱くもなく粘りもない 透明度の高い液体だ 自分の中に後生大事と取り組んでいたものは あふれて透明の彼方に消える ああ、あれも ああ、これも しなくてもよいものだったのかと 限界の壁を越えて自由に溢れ出す日常 表面張力を破った後に 残るものはなんだ

          犬も歩けば

          犬も歩けば棒に当たる この棒は 災難か幸福か 災難と思えば 犬は在宅 幸福と思えば 犬は外出 この棒は 災難か幸福か どちらでもいい 歩くのだ 災難なら幸福に変えればいい 幸福なら分け与えればいい どちらでもいい 歩くのだ 恐れと共に佇むより 勇気と共に踏み出すのだ 犬も歩けば棒に当たる 歩くのだ 歩くのだ

          満月の1日前

          満月の1日前だから 明日が待ち遠しい 満月の1日前だから 少し努力を付け足せる 満月の1日前だから 感じる満ちゆく幸せ 満月の1日前だから 足りなくても充実 満月の1日前だから ほんの少し謙虚になれる

          満月の1日前

          頭はぐちゃぐちゃ

          四方八方+天地で十方 思いを巡らせ 体を運ぶ あれもしなくちゃ これもしなくちゃ Todoリストは 午前、午後、夜、 真夜中、早朝 今日はこれして 明日はあれして 見開きのカレンダー 予定で真っ黒 1日1日 自転車操業 あの人にはこれを この人にはあれを 楽しさ共有 時間を割いて 会いにいく 溢れかえる思い 頭はぐちゃぐちゃ 時間がたりない 頭はぐちゃぐちゃ 寝ても覚めても 頭はぐちゃぐちゃ 四方八方+天地で十方 応現に救い渡すという 十一面観音様の おつむりは整

          頭はぐちゃぐちゃ

          ぐんぐん片付く

          体の中央を 貫く光 頭のてっぺんから 足先へ 水平に広げた両手のゆびさきにも広がって 放射する すべてがうまくいく すべてがぐんぐん片付く ああでもない こうでもないを やめただけで 貫く光は屈折しない ただただ真っ直ぐに 全身を貫くのだ

          ぐんぐん片付く

          幸あれと

          幸あれと 願った瞬間は 螺旋状階段のように 繋がっているのかもしれない 十歳経てもなお 幸あれと 願う私がいる 成長した姿に 願いの螺旋階段を降りてみる 白き点の繋がる階段の下には 確かに 屈託なく笑う君がいた

          あんなに生きたのに

          あんなに大騒ぎして 生きたのに 抜け殻のような空間ばかり 何もない 何もないのだ 人生の大半において 確かに 影響を与えたはずだった 一喜一憂して その言動に人は 対峙したはずだった だが 何もないのだ 何も残っていないのだ 今 死の意味を問う 生きた意味を問う あんなに 大騒ぎして生きたのに

          あんなに生きたのに