たこ焼きを丸くしてよ
2023.12月のある週
Aさんは旦那さんの強引なところが本当に嫌なんだって。
Bさんは、旦那さんの優柔不断なところが嫌だし、Cさんは旦那さんの愚痴っぽいところがたまらなく嫌らしい。
(今週のスタッフとの会話より。)
「でも、結婚前からそうだったでしょう?」
当たり前の質問をしてみたら、結婚前はそこが好きだったんだよねってみんな口を揃えて言った。
「男らしいと感じたんだよね(強引さ)」
「優しいと思ってた(優柔不断さ)」
「可愛いなぁと思ってさ(愚痴)」だって。
「結婚して、好きだったところが嫌いなところになるのは"あるある"だからね。」と、これもみんなが口を揃えた。
わかんないなと思う。
結婚前、夫の1番好きだったところは顔なので、そこはラッキーだ。夫は一緒にいた分の年齢を重ねて、そりゃ老けた。老けたけれど、老けって『味』って変換できるから(男の人はずるいけれど)ラッキーだった。
夫の好きだったところ、顔と優しさ、自由にさせてくれるところ。
顔は味になり、優しさは増した気がするし、そして私は今も程よく自由だ。
私はラッキーだった。
※※※
2023.12.17 日曜日。
たこ焼きを作った。たこ焼きを家で作ったのは5年ぶりぐらい。
たこの他に、納豆+梅、明太子+チーズ、変わり種も混ぜながらたこ焼きを作った。
プレートは1回20個、何度だってくるくるしたいのに、私たちは2人っきりなので1回20個で終わってしまう。
はじめはたいがい少し失敗するので、次やったら、絶対上手くできるのになぁと悔しい思いをしながら、また(たぶん)5年後に、失敗からはじめなくてはいけない。こんな時だけ少し2人っきりってつまんないなと思うのだ。
5年ぶりのたこ焼き作りで、ああそうだったと思い出した事がある。
私は、夫のたこ焼きの焼き方が嫌いだった。
5年前も嫌いだった、その5年前も嫌いだったし、きっと今日から5年後も嫌いだと思う。
夫は不器用なのだ。不器用さにイラつく。なんで出来ないのかと、そうそう前も出来なかったと、5年前10年前を鮮明に思い出しながら、今日もイラつく。
不器用な上に夫は綺麗に作ろうとするあまり、丸の周りに溢れた生地を見捨てようとする。
夫の方の鉄板には真ん中だけくり抜かれた四角のガワが散々に残る。
「それも入れるんだよ。ひっくり返す時入れるの」
「それ残してどうするのよ」
思わず口を出してしまう。手も出してしまい修復を図ろうとする。
夫の丸に見捨てられた四角のガワを押し込む。
その上夫は、まんまるになる前に諦めるのだ。
「まあこんなもんか」って。
素人の割には良く出来たよなって。
「丸くしてよ丸く」
夫の不器用さも、ガワを見捨てる姿勢も、8割の丸で諦める事も、イライラする。たこ焼き以外の不器用さはある程度許容できるのに、とても不思議だけれど。
もうこれは、結婚前もそうだったし、たぶん5年後も10年後もそうで、他に嫌いな部分をパッとは思い出せないけれど、私は夫のたこ焼きの焼き方がとても嫌いだ。
嫌いな部分はいつまでも嫌いなままだなぁと、歪なたこ焼きを眺めながら思うのだ。
あなたのたこ焼きの焼き方が本当にきらい。と言ったら夫が笑った。
写真*歪さがひどいたこ焼きは夫作か納豆梅です。私のたこ焼きだって満点とは言えないけれど
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