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よだかになった日

11月のある土曜日、東京が突然冬になった日。
2023.11.11

「トンネルを抜けると雪国であった。ぐらいに突然の冬だね。」
環七を走り出して何個目かの陸橋の上、頂上から少し下ったあたりで夫に言った。

幹線道路の陸橋(下の交差が道路の場合のやつ)を私はワープだと思っていて、もしくはズルだと思っていて(大概は陸橋横の道の方が信号待ちで並んでいるから)、少しの罪悪感をいつも抱えてしまう。けれど今日は不意の開放感。トンネルを抜けたみたいな。雪は降ってなかったけれど。

「そうだね、突然寒くなったよね。」
夫と(たぶん)通じ合えて嬉しい。

すっかり治ったと思っていた2週間ほど前の風邪がぶり返し伏せっていて、火曜日から外に出ていなかったので、本当にワープの気分だ。

夏から冬へ、「11月なのに夏日です。」から「冬用タイヤへの交換が殺到し…」へ、朝のニュースで言うと。

日曜日、風邪は続く。

録ってあったNHKの『72時間』をみる(週末の楽しみ、72時間同じ場所でインタビューを繰り返すドキュメント)。今週は『タカを見上げる峠で』で、タカを見上げる峠に飼っている鳶(の一種)を連れて来ている人がいて、なんだか残酷だなぁと思う。

自由に飛ぶ鷹を鳶はどんな気持ちで見ているのか。目の前の大空を、大空の前で足を繋がれた自分を。

これって傲慢かなとも思う。
鳶は今に満足しているかもしれないし、飛びたくも無いかもしれない。鷹こそがもうくたびれきっているかもしれないし、それこそ飛びたくも無いかもしれない。

鷹は渡り鳥らしく(知らなかった!)、上昇気流に上手く乗って上まで行ってから滑空、昇ってから滑空を繰り返す事で長距離の移動を可能にしている。らしい。

私が鷹だったら5回に1回ぐらいしか上昇気流にうまく乗れなくて、後の4回は羽ばたいて羽ばたいて、めちゃくちゃに羽ばたいてめちゃくちゃに疲労困憊するだろうな、と思う。妙な確信がある。

きっと私が魚だったら、海の中で溺れ死ぬタイプの魚だっただろうな。と、小学校のプールの時間先生に「後ろに進んでんのか」って聞かれた事を思い出す。中学のプールの時間25メートルのタイムを報告したら「100メートルか?」と聞き返された事を、大人になって、グアムのプールで平泳ぎをしていたら友達に「溺れてるのかと思った」って助けられた事も合わせて。

息苦しいから、だけかもしれない。
私は喘息持ちなのだ。

夜中に咳が止まらなくって全然眠れない。
眠れないままベットの中で、宮沢賢治の『よだかの星』を思い出した。完全に見たテレビのせい。ああ、やるせない気分でいっぱい。

風邪ってやるせ無いもので、後ろ向きな気分になるのだ。
でも私はまだ燃えてはいない(熱はない)。



風邪の間に唯一書いた文章はぐちゃぐちゃだった、体調を崩したり思い悩んだりしている時、私からは何も出てこない事を知った。
取り繕って生きているからな。。
唯一出てきたぐちゃぐちゃをなんとなくまとめてみました。

トンネルを抜けた様に、やっと、元気です。
元気になって食べたビビン麺(辛め、素麺で代用)を添えて。
2023.11.21

最後までありがとうございます☺︎ 「スキ」を押したらランダムで昔描いた落書き(想像込み)が出ます。