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ふっと自信を失くして。


寛二は影響を受けやすい。
暗い物語の漫画を読めば、暗い気持ちになり、イライラしている人が近くにいたら、寛二もイライラ。

「ああ、世界ってのはくだらない」
なんて、嘆いたと思えば、

「幸せを掴むことを忘れちゃ終わりさ」
なんて、語りかけてくる。

寛二もなんとなく自覚している。
そして、日によっては深刻に落ち込み、別の日にはまったく気にしていない。

「まあ、素直ってことだね」
と、同級生の韮山が言った。
「でもさ、こう、真っ赤に燃え上がってさ、真っ白な灰が残るだけみたいな、そんな青春を送りたいのさ」
と、寛二が言う。
また、何か読んだ後なのだろう。

「音楽を聴くといい。だけど、手広くなんて思っちゃ、また色々と影響されちゃうからさ」
「音楽?」
「出来るだけ、心が弾むように、それでいて深めていくと、また色々な側面を知っていき、動揺したときのために、フラットな立ち位置に戻れるような曲を二、三曲用意しておくんだ」
「なるほど」
「僕のおすすめは、浅香唯だね。一年中、浅香唯を聴き続けると、必ず世界に彩りを感じ、楽しい場所だと思えるようになる」
「浅香唯?」
「アルバムもいっぱい出しているし、きっと飽きない。もし不安だったら、八割を浅香唯、二割、小沢健二にすると、最強だよ。もう、安易なネガティブで、自虐することはきっとなくなる」
「八割、浅香唯。二割、小沢健二」

自信たっぷりに言う、韮山に影響されて、寛二はさっそく、浅香唯を集め始めた。

最初は半信半疑だったが、時間が出来る度にイヤホンをして聴き続けていくと、

「ん?」

あの、漠然とした「空っぽ」から、いつしか何かが満たされ、心が弾んでいることに気がついた。
八割、浅香唯、二割、小沢健二の割合で、プレイリストを作り、シャッフルで聴き続ける。

「そうか……」

寛二は、ふとあることに気づいた。
「だから、友達以上の愛を捜すのか……」

「セシル」が好きだと。






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