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  • ベイズ深層学習と人工意識 哲学的・歴史的展望

    株式会社agbeeのつくる人間と協調するロボットagbeeの根幹部にあたるベイズ深層学習についての哲学的・歴史的展望について、エッセイ風に大切な本や面白い本、難しい論文などの紹介をしながらCEOの奥出直人が考え、書いていきます。 agbee社のサイトは下記です。 https://www.agbee.co.jp/

最近の記事

『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(3)

さて前回で序論ができあがった。ここに書いておく。 序章 ドラフト1 2024/04/29   科学技術の進歩は、人間の知のあり方に絶えざる変革を迫ってきた。だが、その変革の波は、時として予期せぬ暗礁に乗り上げる。20世紀、原子物理学の発展は、人類に計り知れない恩恵をもたらした一方で、広島と長崎の惨禍という形で、科学者の手を血に染めた。量子力学の確立を担ったアインシュタインとオッペンハイマーは、原爆開発に直接・間接に関与することで、科学と倫理の深淵な相克を体現する存在となっ

    • 『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(2)

      さてせっかくGPTstoreに『論文工房』を読み込ませて論文指導出来るようにしたのに文章生成中にシステム落ちまくりなので、プロンプトエンジニアリングをしてClaudeに論文指導できるようにひとつずつやってみた。 修士論文でも博士論文でも、なにをしたいのか?を考えなくてはいけない。まあ、じつは学生が何か書いてくればそれでいい。それから指導は始まる。最初の最初はオリジナリティであり、つぎはなにを論じたいのかのトピックである。しかしこうしたお題をだすと書けなくなってしまうので、好

      • 『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(1)

        これから暫く『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる:を連載する。 まずChatGPTstore に筆者が昔に学生の論文指導向けに書いた冊子のPDFを読み込ませた。 読み込ませた後、目次をつくってください、と聞くと目次が表示され、論文執筆の関する質疑応答を行なってくれる。 ChatGPTは対話が得意なので、しばらく興味のあることを対話して、ある程度量がたまったら、Claudeに読み込ませて整理させて清書をさせる。このあたりはCl

        • AIC生成AIプロモーション日記2024/03/14

          昨日は5時間にわたって、AICから生成AIの使い方を普及させる方法を企業に普及させるプロジェクトの構想を議論した。SFC奧出研一期生の二人とこれ以上状況分析は出来ない、というところまで議論して非常に充実した場を持てた。企業が組織としてもつ役割が3つあって、経営者がどう考えるか?これはドラッカーが古くはアリストテレスが言っているように、企業として組織として存在することが企業とそれが存在する「環境」つまりは社会なり自然環境なりにとって善きものであること。これは徳倫理学であり美徳で

        『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(3)

        • 『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(2)

        • 『生成AIとエピステモロジー』執筆日記:研究書を生成AIをアシスタントに書いてみる(1)

        • AIC生成AIプロモーション日記2024/03/14

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        • ベイズ深層学習と人工意識 哲学的・歴史的展望
          1本

        記事

          AIC生成AIプロモーション日記2024/03/13

          メタネーチャークラブ結成 昨晩はAICで半年ほど生成AIをつかったあたらしいヴィゴツキー型学習環境システムを作ってきたメンバーと今後の方向を議論した後、魚さんで食事。日𠮷の飲み屋はここにつきる。なんと四年半ぶりに通い始めた日𠮷の商店街の夜はキャバクラの客引きというみなれぬ雰囲気が。近くにタワマンもできてきて、サラリーマンも多く乗降する。街の生態系は面白い。生きているね。 さて、今回ははじめは集まる場所もなく有楽町でagbeeが借りることが出来るミーティングスペースで繰り返し

          AIC生成AIプロモーション日記2024/03/13

          AIC生成AIプロモーション日記2024/03/11

          本当の学術論文を書くTutorを作ろう 今日からAIC生成AIプロモーション日記を付けることにする。Facebookに書いたことを日々まとめていきたい。 いま研究者がやらなければならないことは、新しく知を創造することである。なにを当たり前のことを言っているのかと思うかもしれないが、今世の中が必要とされている領域で新しく知を創出することに研究者がどれほど向かっているか?何が世の中で必要とされているのか、そしてそれが何故なのか、そしてそれをどう実現するのか?こうした問題を立て

          AIC生成AIプロモーション日記2024/03/11

          大学院の学生なら出来なくてはいけない英語理解の秘訣(2)

          ディスコースをつかんでパラフレーズを作る さて、今回はディスコースをつかんでパラフレーズを作るということを学びたい。これが出来ないとDeepLで翻訳しても、自分も理解できないし、それを読んだ人も理解出来ない。これはサマリーとは違って、原文を短くするというよりは的確に理解するための方法で、なれるまでは時間がかかるが、この方法を知らないと複雑な文章をそのまま味わって読むことは出来ない。 では前回の続きから。第1パラグラフの残りである。 Today, we would have

          大学院の学生なら出来なくてはいけない英語理解の秘訣(2)

          大学院の学生なら出来なくてはいけない英語理解の秘訣(1)

          構造をつかむ技法 暫く大学院の学生が専門書を読むときに出来なくてはいけない読み方の技法を説明していきたいと思う。いままで一度もまとめたことはなく、専門書の輪読演習で教えてきたことなのだが、15年ぶりくらいに僕の研究領域を根幹から揺るがす本が出て、これを熟読して、いま慶應義塾大学AICの特任教授として手がけているプロジェクトの理論的なフレームワークに使おうとおもって自分のためにまとめるのだが、この本の翻訳をみて大学院生の輪読でDeepL等をつかって一生懸命作りました、とあって

          大学院の学生なら出来なくてはいけない英語理解の秘訣(1)

          研究室再構築日記(6)2024/03/02

          コンセプトペーパーを書くさて研究をはじめるまえにコンセプトペーパーを書くことが好ましい。コンセプトペーパーとは聞き慣れない言葉かもしれないが、これから行う研究のあいであをせつめいしたもので指導教員はこれをもとにアドバイスを行う。研究のアイデアは何か、それが与える影響はなにかを書いたものである。とりわけ、研究トピックの特定が大切であり、既存の研究をふまえた上でどこが新しいのか、つまり学会に貢献できるのかを検討したものである必要がある。また予備調査の報告も必要だが、これは次回に話

          研究室再構築日記(6)2024/03/02

          研究室再構築日記(5)2024/02/25

          Proposals that work大体の構想が出来てきたら、研究計画プロポーザルを書く。これは資金を調達するための書類である。20年近く使っている名著がある。最新版はコンピュータシステムに対応しているが、此方の方が文章を作るのに便利なので重宝している。1999年の出版である。 今回の目的はプロポーザルのフレームワークを正確に作ることにある。プロポーザルが果たす役割をしっかりと考えて、枠組みを作る。次回からその枠組みを構成するコンポーネントの作成に入る。 予備調査が終わ

          研究室再構築日記(5)2024/02/25

          研究室再構築日記(4)2024/02/24

          Preliminary research   さて、まだ行っていない調査や実験の前に論文のイントロを書くというのは、研究をデザインするという流れで大枠をきめる作業である。これを予備調査(Preliminary research)という。自分の経験を振り返ってみると、博士論文提出試験にひととおりパスすると、指導教授が、博士論文の目次を書くという課題を出してきた。まだ調査もしていないのに、目次はかけない、と言ったら、思いつく範囲で書けばいいということでやり取りをした。要するに論文

          研究室再構築日記(4)2024/02/24

          研究室再構築日記(3)2024/02/23

             さて、今日は構想から論文の序章イントロダクションの執筆に向かう。アイデアを文章にまとめてこんなことをしたい、と表明する。そして研究が始まる。すると、研究の立て付けを考えなくてはいけない。もたもたしていると堂々巡りになり研究は進まない。そこで、実際にアウトプットを考える。どのような論文にするかである。そのときに普通は何を書くかを考えるが、それは間違いである。この段階ではどうすれば論文になるかを考える。すると、現状何が不足かが見えてくる。この作業は論文のイントロダクションを

          研究室再構築日記(3)2024/02/23

          ウィリアム・ジェームズの『プラグマティズム』をシリアスRPGでクエストゲームにする(1)2024/02/23

          ウィリアム・ジェームズの『プラグマティズム』という本がある。有名な本であるが、これをcritical readingという読書技術を習得するためのRPGスタイルのクエストゲームとして作ってみた。暫く遊んでみたい。 英語で本を読むとはどのようなことかが目からうろこが落ちるように学べる。英文のテキストを用意してほしいがプロジェクトグーテンベルクで手に入るのでプリントアウトしてもいいし、アマゾンで紙の本を買ってもいい。 この中から第1章をまず読む。そこだけダウンロードしてプリン

          ウィリアム・ジェームズの『プラグマティズム』をシリアスRPGでクエストゲームにする(1)2024/02/23

          研究室再構築日記(2)2024/02/22

          研究を始める前に 研究宣言をする。   生成AIを慶應に普及させるための方法について、これから活動をして、それをもとに学術論文を書きたいと思う。当たり前だが、学術論文を書くには研究をしなくてはいけない。研究とはテーマも大事だが、人をあつめてチームをつくって行うことも意味する。そこで研究を始めるぞ、と呼びかける文章を作ることにした。これは大学院の博士課程の入学願書に書く声明でもある。 研究体制をつくり方向性を考える 'Computer Pedagogic Framewo

          研究室再構築日記(2)2024/02/22

          研究室再構築日記(1)2024/02/20

          日𠮷にある慶應大学の協生館の二階にAICという組織が有り、そこの一室の部屋に、慶應を退職してから4年ぶりに特任教授として戻り、しばらく生成AIの登場で高等教育の構造が大きく変わっていくことを想定して、様々な方法で生成AIとの共生の方法を開発し普及するミッションで仕事を始めることになった。 いろいろな活動を行うのだが、個人的には研究環境の再編が課題である。研究は研究室単位で行い、研究室には修士博士の学生がいて、外部から研究費を獲得して研究を行い、その成果を論文として発表する。

          研究室再構築日記(1)2024/02/20

          コンソーシアムをChatGPTと対話して企画する(1)

          慶應義塾大学にはAIC(AI・高度プログラミングコンソーシアム)という組織がある。この組織が生成AIにむけて活動を拡張するということになり、協生館という日𠮷駅前の慶應義塾大学の建物の二階に新しく場所を構えた。協生館は僕が慶應を定年でやめるまで務めた大学院KMDが入っている。生成AIを慶應として今後どのように向き合ってくかを考え、普及させていくミッションをもつ特任教授として昨年の10月に定年で引退退職した名誉教授からの異例の雇い戻しとなり、今年の3月ぐらいから定期的にこの場所に

          コンソーシアムをChatGPTと対話して企画する(1)