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栄でサシ飲みした 2024.3.19

春分の日の前日。

最近の飲み友であるポニー・マールくんとサシ飲みしました。ポニーくんは男ですが黒髪ポニーテールという分かりやすい特徴を持つため、勝手にポニーくんと呼んでいます。小説のキャラクター名に彼の名前から一文字取ってマールと名付けたことがあるため、彼はポニー・マール(仮)です。日本人。

場所は中区栄で、人情屋台という小さな厨房・カウンター10席ほどの構成の店がフロア内に幾つもある飲み処。ここにあるイタリアン居酒屋へ行きました。祝日前の夜ということもあって、人情屋台の各店舗は繁盛しています。

前回このイタリアン居酒屋を訪れたのは3月9日のこと。その顛末はNOVELDAYSにアップしてあります。

その日はワンオペだったこの店ですが、「再来週の火曜日なら二人体制なので凝ったものを出せますよ」と言われていて、その日を狙い再訪したというわけです。

席に着いて、女性店主さんから嬉しい声がかかります。

「あれっ……? 先々週に来てくださったお二人さんですよね?」

すごいなぁ、2週間前に一回来たきりの客の顔を覚えてるなんて。どうやらポニー・マールの特徴であるポニーテールを見て思い出された様子です。

「お任せ5皿(5品の意)を二人前で。あと、前回と違うものを食べたいです」
「分かりました。多分……できると思います」

前回は、ポニーくんが風邪引きさんだったため、僕・ハイボール、ポニー・烏龍茶というサシ飲みにならないサシ飲みでした。既に風邪から回復しているとのことでシン・サシ飲み、ポニーくんもハイボールを注文します。

ハイボール+レモン

乾杯をして、ハイボールをグビッと。
うっまああああ!
レモンの酸味と爽快感がハイボールの香りを引き立て、のどごしスッキリで飲みやすい。どんどん飲めてしまいます。しかしまだお通しも出ていないので、自重してポニーと近況の話やらなんやら、駄弁って待ちます。

「……そうだ最近、note始めたんだよ。日記を書くならそっちのがいいかなってさ。小説投稿サイトだけじゃなくて、環境を変えてみたかったのもあるし」
「 noteって、有料にもできるんだっけ。稼げそう?」
「僕は書くのが好きなだけで、物書きで収入を得ようとは思わないなぁ。どうなんだろうね。……ポニーくんはnoteに興味あるのかな」
「日記を書きたいとは思ってて。どっか人目につかないとこに置いとこうかなって。人に読ませるんじゃなく、自分用の日記ってとこ」
「それは勿体無い。別に減るもんじゃなし、公開してみたら面白いかもよ」

なんて話しながら、noteのクリエイターページやダッシュボードを見せているうち、お通しが出てきました。

お通し 砂肝のコンフィとワカザギの南蛮漬け

ワカサギの南蛮漬けは柔らかくて、鼻を抜ける酢の香りがお酒にピッタリな抜群のお通し。砂肝のコンフィもじっくり火が通っているのかホロホロ柔らかく口の中で溶け、ハイボールを減らすのに一役買います。

しばらくお互いの近況を話すなどしてハイボールが半分くらいになった頃、お任せ5皿(5品)のうち4品が一気に出てきました。

イノシシのパテ、知多牛のローストビーフ、アジのカルパッチョ、ホタルイカなど

二人分なので取り皿で分けて、食べます。特段美味かったのはイノシシのパテ・ド・カンパーニュ。

「イノシシ、うまっ。なんだろう、旨みがギュッと凝縮されたような味」
「これいいな。うん、美味いよ」

アルコールメニューを見始めるポニー・マール。しかしこのあと〆のラーメンを食べに行く予定なので、一応牽制します。

「今2杯目頼むと、多分余るよ。飲む?」
「いや、まぁ、大丈夫。酒が進む味だったから」

それには激しく同意で、イノシシも、知多牛のローストビーフも、ホタルイカも、アジも、ひと口ごとにアルコールへの渇きを生み出します。オリーブオイルと塩の加減が絶妙で、僕も〆の予定無しなら間違いなくもう一杯飲んでいたことでしょう。

5品目は別皿で。

スパイシーに焼き上げられた手羽先、二人分

箸でどうにかなるものでなし、両手で持って、広げてガブリ。
皮が! うますぎる!
濃く味付けされ焼き上げられたスパイシーな皮が、咀嚼するたび口の中で味を踊らせます。中の肉へと噛み進めたら柔らかジューシー。これ一本でハイボール一杯減らせるくらいのガツンと感。まさかポニーくんはこれを予期して……?

「やぁやぁ、一瞬でハイボールなくなっちった。これは強いなぁ」
「うん、美味い。全部美味かったよ」

ポニーくんがハイボールを呷り、飲み終えたところで終了。ここの支払いは僕がしました。前回もおいしかったし、今回もまた違ったおいしさを味わえました。ありがとうございました。

人情屋台から出て栄の大通りを歩く僕ら。明日は祝日とあって、今から飲みに向かう人や、飲み会終わりで別れていく人たち、二次会へ向かう雰囲気の集団、手を繋ぐカップル。ネオンや道端の店舗から漏れた光が煌めく中、身の上話をしたりなんかしてゆっくり歩き、ラーメン屋を目指します。

ポニーくんオススメの、麺処ぐり虎

栄をよく知るポニーくんオススメの一つであるラーメン屋へやって来ました。僕としては初めての店です。

「チェーン店で、どっかの店がミシュランガイドに掲載されたんだ。オススメのラーメン屋で最初に思いつくのはココかな」

店の中へ入ってすぐ右の券売機にポニーくんが数枚の千円札を突っ込みながら、こちらを見て口端を上げます。

「ここはオレが払うよ」
「おおお……。でもそれだとセットとか頼みにくいぞ」
「なんでだよ。好きなもの頼めばいいよ」
「おおお……(酔ってる)」

お言葉に甘えて、人気No.1というポップが貼り付けられている「特製 鶏塩ラーメン」、「平日Dinner明太子セット」と「生ビール」をポチポチ押してもらいました。一方、ポニーくん本人は「豚骨魚介ラーメン」のみ。

「ビール、要らない? 大丈夫?(酔いどれ)」
「まぁ、あと帰って寝るだけだし、いいよ」

自分だけ申し訳ないと思いつつも、〆のラーメンに生ビールは欠かせない。カウンターに座り食券を渡すと、店員さんが訊きます。

「生ビールは先にお出ししますか?」
「先で!(酔)」

シュワシュワのやつ

生ビールの泡を吸収しながら、スマホでnoteの画面を見ます。

「ほら、開いた時に通知アイコンが赤くなってるとさ、ちょっとドキッとするんだよね。こういうドキドキ感って多分ドーパミンを出すのかな。次は何を投稿しようかなってワクワクして考えられる。それが楽しくて。まぁ、始めたばっかだからなんだろうけど」
「いいじゃん。楽しそうで」
「楽しいよ。今、すごく楽しい」

特製 鶏塩ラーメン、明太子ごはんセット

まず透き通ったラーメンスープをゴクッといただきます。あっさり、それでいてしっかりとした旨みを持つ出汁がビールによく合う。味たま、とろっとろでビールによく合う。明太子のピリッとした辛さとご飯の甘さ、ビールと……よく合う。

「こりゃあヤバイ。最高の〆だよ。最高」
「うん。ここ、うまいんだよな」

普段使いのポニーくんが冷静な顔で食べ進める右横で、酔いどれが感嘆の声を上げながら麺を啜り、超美味いチャーシューをほおばり、ゴクゴクとビールを呷ります。

Webで確認すると、チャーシューは吊るし焼きの燻製チャーシューとのこと。うんうん、確かに燻製の香りが強く感じられます。とにかく手間をかけて食材の旨味を引き出しているようで、まさに「ひと味違う」といった印象。こんなうまいラーメンを食べたら、しばらく他のラーメンは食べられないぞ。……って言いながら食べるんですけどね。

ラーメンスープもビールも飲み干して、パンパンの腹を摩りながら退店。

また4月に飲もうと約束し、ポニーくんと別れて栄をあとにしたのであります。そんな3月中旬のサシ飲みでした。