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川柳の句集『菫橋』を読む。ー不思議な世界観ー

『菫橋』竹井紫乙著を読んだ。
不思議な川柳が多い句集。

その不思議さは表紙のイラストからも伝わってくる。
作者本人が作中主体と思われる句以外に、
姉、妹、フランケンシュタイン、他人など色々登場する。


五句選

どの路地を選べば行けるえれがんす

10ページ

えれがんすのひらがな表記が、
カタカナで書くよりも意味深。

「がんす」の部分のせいか、語尾の
「〜でがんす」
と空見した。

ぼったくり移動遊園地 行きたし

18ページ

ぼったくり移動遊園地に憤るでもなく
行きたいというズレ。

しかも移動遊園地なので、
ぼったくった後はもう跡形もなく移動していることだろう。

全角スペースが、遊園地について聞いた直後の、一瞬の逡巡の時間を表しているように思った。
そうだとしたら効果的なスペースの使い方だと思う。

失敗をみんなおいしいですと言う

55ページ

料理のことかと読んだが、よく考えたら料理とは明記されていない。

ひょっとしたら失敗全般のことかもしれない。
穿ち過ぎだろうか。

ジェネリック医薬品なりのモナ・リザ

69ページ

モナ・リザは人気ゆえにたくさんグッズがある。
Tシャツ、ポストカード、ミュージアムグッズ、ポスターなどなど。

それらのグッズはジェネリックのモナ・リザかもしれず、
そして本物以上の感動を人に与えることはないと思われる。

そういう意味で読んだ。

白線の内側鳩と待つ電車

80ページ


駅前や駅のホームで鳩をよく見かける。

餌が貰えるわけでもないのに不思議だ。
巣があるのだろうか。

この川柳の雰囲気だと、鳩もしれっと電車に乗りそうで、面白さと不気味さがある。


まとめ

割と生活感がある句を選んで紹介したが、
本編の不思議っぷりはすごい。

その不思議さが気になる方はご一読ください。



リンク

菫橋 https://amzn.asia/d/8kZ4s42

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