青空の下、永福町の公園で思ったこと
6年前の夏の終わり。
パワハラにあって、自主退職に追い込まれた。
一時期は無職になってしまうかと思われたけれど、なんとかギリギリのところで次の転職先が決まった。
その転職先で働き始める、前日のことである。
初出勤日が近づけば近づくほど、僕は超不安になっていた。
ひょっとすると、転職先にも同じような気質の上司がいて、まためちゃくちゃに否定される毎日が待ち受けているのではないか。
食事が喉を通らなかったり、夜に眠ることができなかったり、あの不安定な日々に戻ってしまうのではないか。
パワハラだと思っていたのは自分の勘違いで、あの上司が言っていたことが100%正しくて、結局自分の能力や人間性がダメだという現実を突きつけられてしまうのではないか。
考えれば考えるほど、明るい未来が見えてこない気がした。
そんな自分の様子を見かねてか、当時付き合い始めたばかりだった奥さんが、外に連れ出してくれた。
向かったのは永福町の和田堀公園。
とても天気が良くて気持ちの良い日だった。
井の頭線に乗って駅に着くと、歩いて公園に向かった。
空は雲ひとつない、青空だった。
公園に着いて、空いている芝生スペースに、シートを広げて寝そべった。
家で作ってきたお弁当を広げて、他愛もない話をしながら、美味しく食べた。
だし巻き卵とウィンナーが美味しくて、おにぎりを食べるペースが早かった。
ご飯を食べた後はフリスビーで少し遊んで、公園の中を散歩した。
親子連れが遊具で遊んでいたり、老夫婦が散歩していたり、若者がベンチに一人で座って本を読んでいたりした。
不安な気持ちが消え失せた訳ではなかったけれど、帰る頃には緊張し過ぎていた気持ちがほぐれていた。
次の職場も、うまくいかないかもしれない。前よりもっとひどいことが起こってしまうかもしれない。
そうだったとしても、だ。
食事を作って、誰かと食べる。
少し外に出て、見知らぬ誰かが自分だけの時間を過ごしているのを目にする。
自分が生きているその瞬間、他人が生きているその瞬間に目を向けることされ忘れずにいれば、やっていけるんじゃないか。
「っていうか、やっていけないと困るよなあ」
と当時の僕は思っていたし、この文章を書きながら今も思っている。
青い空 / andymori
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