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垣根涼介「極楽征夷大将軍」感想~『野ブタをプロデュース』戦国版!?~

☆二段組546ページに挑戦!!

図書館で目が合い、手に取る。
本を開くと二段組みで546ページに怯んだが、直木賞候補作に出会えたのである。


歴史ものは得意じゃないが、ここであきらめたら女が廃る!?
よっしゃ!読んでやるぜ!
気合と鼻息は荒かったが...。

翻訳もの登場人物の名前を覚えるより苦戦した登場人物の多さ。
一体何人登場するんだよー!
登場人物の多さからなる、誰と誰が今戦ってるの?

戦の様子は、勝った負けたしか正直よくわからなかったのに面白かったYO!!

☆面白かったポイントを替え歌にて紹介🎤


♪SI俺達はいつでも2人で1つだった地元じゃ負け知らずそうだろ
SI俺達は昔から膠のようにべったりくっ付き合ってる仲良し兄弟で生きてきた
なぜだろう思いだした景色は由比ガ浜の波抱きしめて♪
(「青春アミーゴ」替え歌より)

修二と彰じゃなく、直義と高師直が尊氏というダメダメ男(『野ブタ』)をプロデュースする。
そう、『野ブタ。をプロデュース』戦国版だったのだ。

☆簡単あらすじ

第169回直木賞候補作。
楠木正成や新田義貞、後醍醐天皇などといった同時代の名将傑物を次々と下して、足利幕府を開いた足利尊氏。

やる気なし 使命感なし 執着なし
なぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか?


☆直義と高師直がダメダメ尊氏をプロデュース!?

武将といえば野心家だと思っていたのに、この方ったら( ˘ω˘ ; )
歴史音痴でも知ってい足利尊氏が、将軍なんて地位はしんどするぎるから嫌だよ。
やめたいやめたいよー!と、考えていた人なんて思ってもいなかった。

それというのも尊氏兄弟は、庶子(側室の子)だったので家督を継ぐ候補ではなく、よって誰からも期待されることもなく、弟と由比ガ浜でわちゃわちゃ遊んで暮らす日々だったが、家督を継いだ義兄が亡くなったことで神輿を担がれる。


やる気がないのに家督を継ぐことになった尊氏を支えるのは、弟の直義と足利家の執事である高師直。

物語はこの二人の二視点で描かれている。

いつまでたってもやる気のない尊氏を心の中で、たまには口にしてディスる二人の描写に笑える。
ディスり方は酷いのだが愛は感じる💛

何も考えなさそうにみえて戦には強い尊氏。
政に長けているのに戦には弱い直義と高師直。

意外とバランスのよい関係だったんじゃない?


我が弟があってこその、それがしがある。(by尊氏)

弟大好き💛好き好き💛直義大好きな尊氏。
ダメな兄が可愛くてしかたがない弟の直義。

家督の重圧から戦中なのに出家したーいと、髪の元結(髷)を切り落とした尊氏だったが、弟がピンチ!

もし直義が命を落とすようなことがあれば、わし一人生き残っても無益である。
わしは生きていけぬ( ;ᯅ; )エーン

戦場に向かうも、ざんばら髪の尊氏。
目立っちゃって敵の標的になっちゃうじゃんと、高師直はじめ将兵たちが次々と元結を切り落とした。

こうして、世にも妙ちきりんな髪形の丘団が、日本史上に初めて誕生した。(本文より)



笑った!笑った!
でも、これが史実にも驚いた。
身近な人には迷惑でしかない尊氏だが、キャラとしてはサイコー🎉

愛嬌があり、立場や利害によって人を見ない。
自分の気持ちに素直に従って生きている五歳児のまんまのような尊氏だが、側室との一夜の子を受け入れなかったことが、後々に尊氏と直義兄弟の間に...(´;ω;`)ウッ…

尊氏を支え(プロデュース)する直義と高師直も、国が大きくなれば立場も分かちあうようになる。

三人がどのような運命を歩んでいくのか...。
私は晩年の直義に泣いたよ。

兄弟愛、仲間愛。
愛を感じ、笑えて、泣けて、人間ドラマしても面白く読めた一冊。

歴史もの苦手、分厚い二段組みに躊躇してる人へ。
友情、努力、勝利という週刊少年ジャンプ要素もあるから読んでみて。


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