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喜びたいけど喜べないとき

 受験の時期だ。子供が、高校受験をした。公立高校の前期試験の内定は、学校で知らされる。自分が中学生のときからは変わってしまっている部分があるので、子供が受験することになって、新たに知る事も多い。
 結果が渡されたら、その日は誰とも話をせずに下校しないといけないらしい。内定が決まる子、望まない結果だった子が出てしまうが、決まって喜んでしまうと、決まらなかった子が傷つくからだろう。その日は他の学年の生徒は早めに下校し、すべての先生が廊下に並んで、話をしないか見張っていたそうだ。喜びを出してしまうのもいけないから、無表情で帰る。
 ただ、その後高校が決まった子のみの集会があるので、その時に前期試験で決まらなかった子は分かってしまうそうだ。
 大学受験の高校生も、早く決まっている子は、なるべく公表しないように静かにしているらしい。知っている子は知っているという状態なのだと思う。
 卒業するとき進路が決まっているのと、どうなるか分からないのでは子も親も落ち着かない。ただ、決まっている子は、静かにはしているけど余裕が出ているように思う。自分、友人が決まっていれば一緒に喜べるけど、片方だけ合格だと、結果を知った時、難しい空気になる。親もそうだ。次はうまくいく、大丈夫、と言うけど、傷つけてはいないか。
 自分にとって嬉しいことが起こったら、喜びたい気持ちはある。人のことを考えて黙っておく、という出来事は、なかなかないだろう。こうやって、大人になっていくのかと思う。

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