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お念仏とインターネット②『交通』と父

今回は、以前インターネットで見つけた「深いい話」から、私たちがお称えする南無阿弥陀仏のお念仏には、この上ない功徳が込められていることを味わいました。
この文章は多分、創作なのでしょうが、一つ謎というか仕掛けがあります。
この仕掛けが分かった時私は泣くほど心動かされました。

274 :名無し戦隊ナノレンジャー!:2011/04/14(木) 18:14:46.55 
たかしの奴また猫背になりやがって!男ならビシッと構えとけよ!
今日は授業参観だってのに、手すら一回も挙げてねえじゃねえか。
俺が男手一つで育てたのが悪かったってえのもあるが、
喧嘩はするわ、学校から呼び出しはくらうわ、本当にやんちゃに育っちまいやがった。
母ちゃんがいないのに泣きべそかかなくなったのは立派だが、勉強だけは俺と似てダメなんだよな~。
「たかし!手挙げろ!」
あいつ、顔真っ赤にしやがって!
後ろに貼ってある書道の字もきったねえなぁ。
他の子は『希望』とか『未来』とか、漢字二文字できれいな文字書いてる中、
たかしの奴『交通』って何だよ!
しかも、『交通』の『交』の字でか過ぎじゃねえか!『通』が全然スペース足りてないし・・・
馬鹿だなぁ!
たかしごめんな。母ちゃんいたら、もっと字もうまく書けてたかもしれねえな。
今日は帰ったら、たかしの好きなカレー作ってやろう。
たかし、授業頑張れよ!

皆さんは、この文章の仕掛けが分かりましたか?

たかし君には、ちゃんとお父さんの愛情が届いてるのです。
ヒントは、教室の後ろに貼ってある書道作品です。

たかし君が一番書きたかった字は何だと思いますか。
「たかしの奴『交通』って何だよ!
しかも、『交通』の『交』の字でか過ぎじゃねえか!『通』が全然スペース足りてないし・・・」

きっと先生は書道の時間に、「皆さん、今日は自分にとって大事な言葉を書きましょう」と言われたのだと思います。

そして、たかし君が書いた字は「父」の一文字だったのです。大きく書いた「交」の字の中には「父」という字がありますね。

しかし、この作品は、参観日に展示されると気づいて、父親が来るから恥ずかしくなって、後でつけたして「交通」という字にしたのでしょう。

たかし君にとって、父という一字は何よりも大切だったのです。
お母さんが亡くなって、お父さんが頑張って自分を育ててくれました。
仕事をしながら、ご飯も作ってくれました。

たかし君は、お母さんがいなくなった寂しさから、辛さから、お友達と喧嘩をしたり、自棄をおこすこともあったでしょう。
しかし、そんな時もお父さんは学校まで謝りに来てくれたのでしょう。

父とは生活費、給食費を払ってやるというものではなく、何かお前にあったらわしが出ていく。どんなにお前が勉強ができなくて、落ちこぼれても、わしがカレーを作ってお前を待っている!お前の責任をわしが持つ!という覚悟だと思いました。

父と書いたのは、たかし君。しかし、父と書かしめたはたらきは、お父さんの愛情です。

このお父さんは、たかし君が本当に書いた字が『父』だと知った時、きっと涙を流して喜ぶことでしょう。
それは、たかし君から「ありがとう」と感謝されたいというよりは、「たかしは、一人じゃないということを、ちゃんと知ってくれている」というのが何よりの喜びなのです。

浄土真宗八代目の御門主の蓮如上人は、全国の御門徒さんに、やさしい言葉でお手紙を書かれて、真宗のおみのりの要を伝道してくださいました。

それ、南無阿弥陀仏と申す文字は、その数わづかに六字なれば、さのみ功能のあるべきともおぼえざるに、この六字の名号のうちには無上甚深の功徳利益の広大なること、さらにそのきはまりなきものなり。
されば信心をとるといふも、この六字のうちにこもれりとしるべし。さらに別に信心とて六字のほかにはあるべからざるものなり。


蓮如上人はおっしゃるのです。
「南無阿弥陀仏という文字は、その字数はわずか六字ですから、そんなに功徳があるようには思えませんが、実はこの六字の名号の中には、この上なく深い功徳と利益とが込められていて、その広大なことは、きわまりありません。
ですから、信心を獲るということも、この六字のはたらきの中にあるのであって、信心といってもこの六字と別には決してありません。」


たかし君が書いた「父」の一字には、お父さんのたかし君に向けた愛情とはたらきのありったけがそこに込められていました。

それと同じように、私達のお称えする「南無阿弥陀仏」のお念仏もまた、漢字ではわずか六文字、声にすればたった一声ではありますが、「あなたを、お浄土へ生まれさせて、仏さまにします」という功徳が満ち満ちています。アミダ様の私への、お慈悲のありったけが込められているのです。

南無阿弥陀仏と称えるものを救うというのではなく「あなたのいのちの責任は私がとった」ということを知らせ、今現にこの私の身の上に働かれているのが「南無阿弥陀仏」のお念仏です。

「南無阿弥陀仏」とお称えするのは私達ですが、称えさせるのはアミダ様のはたらきです。その称えさせるはたらきそのまんまが、私達をお浄土へ生まれさせ、おさとりの仏さまに仕上げてくださるのです。

お称えするまんまが包まれていたという大転換を、たかし君の「交通」の「父」の字に知らせていただきました。

最後までお読みくださって、有難うございました。南無阿弥陀仏

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