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空間のグラデーション。


5月も下旬にさしかかってきた土曜日。
久しぶりに森美術館へ行って参りました。



建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの



午後2時に六本木ヒルズで待ち合わせをして館内へ。

土曜日ということもあって混雑はしていたけど、全員が食い入るように展示に張り付き、それぞれの発見や気づきを一緒に来たであろう人達と共有しているステキな場所だった。


建築を全面的に押し出したテーマということもあって、きっとその関係のお仕事や大学に通っている人も多かったんじゃないかな。


周りから聞こえてくる声は、専門的な言葉や見解ばかり。一般人のわたしは「あれ、場違いだった?」と途中少し不安になったり。


それでも1つ1つを味わいながら、ゆっくりと順路を進んだ。


「そろそろ終わりかな?」と思い時計を見ると17時を過ぎて10分。

あっという間の3時間。圧巻でした。


先にも申し上げたように、わたしは建築学科を卒業したわけでもないし、仕事も建築関係とは全く関係ないので詳しい知識なんて1つもありません。


ただ、建造物を見るのは好きです。
街を歩いている時に変わった建物が街中にあると、自然と惹かれてしまいます。



そんなわたしが建築の日本展に行って思ったこと。


お、奥深すぎる。


てっきり建造物についてのあれこれを展示して建物についての解説があるんだと思っていたら、360度あらゆる角度から建築、そして空間についてのイロハを叩き込まれました。
人間にとって“空間”がどんな存在かなんて考えたこともなかったから、最初はすごく戸惑ったし解説も難しくて理解できないことも多かった。


だけど1つずつ進んでいくうちに、この世界の空気感に馴染めてくる。徐々に言葉のニュアンスが分かってきて、来場者に伝えたいことは建造物の知識だけではないことに気がついた。



中でも、空間の境界線は一本の線ではなく、グラデーションだ。という言葉がとても印象に残っています。


“空間”を作るにあたって一本の境界線というものを引かず、グラデーションのように建物全体と馴染ませ、周囲と一体化するようなものとして空間を成り立たせるという考え方。


たしかに、完全な間仕切りがある【個の空間】よりも、外に開けているお部屋はなんだか居心地がいい。ですよね。


人工的に作り上げた空間を出来るだけその場所に馴染ませる、仕切りをグラデーションにする、という考え方はハッとしました。


わたし達が暮らすために必要不可欠な空間、なんだか当たり前にあるものだけど、この場所が居場所として出来上がるまでには様々な仕組みがあるんだねェ。


きっと今回の展示の10分の1も理解しきれていないんだろうけど、建物の意義というものを再確認できた気がします。


自分の専門とは違う分野の物に対しても興味を持って、少し入り込んだ部分にまで目を向けてみたりすると、広い学びに繋がって自分の人生を豊かにするなぁと改めて思いました。


楽しかったァ。



#エッセイ #日常 #森美術館 #建築の日本展

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