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2,000キロ離れた場所で繋がっていく想い出


 

岐阜県の世界遺産 白川郷でのエピソードです。

気温も低くなり、空気も澄んで合掌造りの町並みも、よりくっきり美しく見える12月。

ポカポカと太陽が降り注ぐ気持ちのいい昼すぎ、台湾からお越しのカップルが、白川郷が一望できる天守閣にお見えになられました。

 ようやく私たちにとって日常の風景が戻ってきました。

感染症が広がる前、白川郷は海外からのお客さまで溢れかえっていました。

「今日、久しぶりに日本語、話しましたよ!」なんてスタッフ同士の会話も日常の風景。

日本語よりも外国語を話している時間の方が長く、スタッフの中には10か国以上の言語で、記念撮影の案内ができるスタッフもいるほどです。

 こちらのカップルに、中国語で挨拶するとお二人から満面の笑みが返ってきました。お客さまは20代なかばぐらいでしょうか。とても仲が良さそうで、微笑ましい気持ちになりました。

 さっそく白川郷の合掌造りが一番綺麗に見えるフォトスポットにお客さまを案内。

男性が、女性の手をとってレディーファーストで。撮影コーナーへ案内した後、男性と目があいました。手には小さな可愛い小箱

 私に微笑みかけながら、箱をそっと開けて中身を見せてくれました。

「…?」

「…!!」

「ゆびわ…!」

 

ひと時たりとも、この瞬間を逃すわけにはいかない。鼓動の高鳴りを感じながら、すぐに撮影できるように慌ててカメラを構えました。

 

1カット目 

2人がギュッと寄り添って満面の笑顔の瞬間

2カット目 

同じ場所で女性が立ってピースサイン。

男性が女性の後ろで跪いて婚約指輪を構えた瞬間。


3カット目 

女性が、男性が持っている指輪に気づいてその場に飛び上がり喜んだ瞬間


4カット目 

プロポーズが無事成功してお二人が熱い抱擁を交わした瞬間


5カット目 

これ以上ない美しいキスの瞬間


6カット目 

男性が、女性の手に指輪を嵌めた瞬間


7カット目

キス中に指輪をこちらに見せてくれた瞬間

 

心の中で歓喜の声をあげ、こみ上げてくるものを必死でこらえながら、夢中でシャッターを押していました。

 
お二人は、目に涙を浮かべながら、私たちにカタコトの日本語で、何度も、何度もお礼の言葉を伝えてくれます。

気付けばスタッフだけでなく、自然と周りのお客さまも集まって、みんなで盛大な拍手でお祝いをしていました。

 台湾から2,000キロも離れたこの場所が、お二人にとって忘れられない想い出の場所になったこと、また人生の大切な1ページに携わらせていただいたことを誇りに感じました。

 
この仕事をしていてよかった。
と思えた最高の瞬間。


合掌造りの町並みが、いつもよりさらに輝いて見えました。 


ぜひまた二人で、想い出の場所に来てください。

 

 祝你幸福(幸せを願っています)