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そのサッカーを疑え!

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#サッカー日本代表

4980人の鹿島スタジアムと64922人の国立競技場にスタジアム論が深化しない日本の現状を見た

4980人の鹿島スタジアムと64922人の国立競技場にスタジアム論が深化しない日本の現状を見た

 川崎フロンターレ対パリサンジェルマン(PSG)戦の舞台となった国立競技場の、その記者席に着席するや、筆者の脳裏には24時間前に観戦した日本代表対香港のスタンド風景が蘇った。

 国立競技場と鹿島スタジアムは、同じ競技が行われる舞台には見えなかった。この日、国立競技場を埋めた観衆は64922人。先月行われたブラジル戦の観衆(63638人)を上回る、新しくなった国立競技場の最多入場者を記録したのに対

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東アジアE1選手権。上がり馬は誰だ。日本代表は最後の最後まで固めない方がいい

東アジアE1選手権。上がり馬は誰だ。日本代表は最後の最後まで固めない方がいい

 東アジアE1選手権、最大の見どころは、大会後にある。9月に欧州で行われるとされる国際試合のメンバーに、ここから何人が食い込めるかという点だ。極端に言えば、多ければ多いほど好ましいい。W杯本大会にプラスに作用すると考える。

 今回のカタールW杯はこれまでとは異なり欧州シーズンの真っ只中に行われる。日本代表が最後に戦うテストマッチは9月で、大会直前に実施されたスパーリングマッチは今回、行われないと

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森保Jポジション別に見る強みと弱み

森保Jポジション別に見る強みと弱み

 せっかく予選を突破したのだから、重箱の隅を突くような真似は慎めと言うお叱りの声がどこからともなく聞こえてくるが、それでもやはり一言いいたくなる。先のオーストラリア戦の森保采配についてだ。

 選手交代は、この試合でも4人しか行われなかった。

 後半44分。山根視来の折り返しを三笘薫が流し込んだ瞬間、日本のW杯本大会出場は決定的となった。追加タイムは4分。そこからでも5枚目の交代カードを切ること

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サッカーはレギュラーとサブに分けない方がおもしろい

サッカーはレギュラーとサブに分けない方がおもしろい

 日本はW杯において1998年フランス大会以降、6大会連続本大会出場をはたしている。そのうちベスト16(決勝トーナメント1回戦)に進出したのは3大会(2002年日韓共催大会、2010年南アフリカ大会、2018年ロシア大会)。突破確率はちょうど50%だ。

 グループリーグを突破できるか。決勝トーナメントに進出できるか。目標値としてこれほど分かりやすいものはない。だが、突破できなかった3大会(199

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五輪男子サッカー。最大の関心は18人の顔ぶれより森保采配。日本の成績は監督で決まる

五輪男子サッカー。最大の関心は18人の顔ぶれより森保采配。日本の成績は監督で決まる

 本日、女子の五輪代表メンバーが発表された。男子(U-24)は22日。誰が選ばれるか。当落を予想する報道を目にするが、男子は接戦だ。U-24日本代表の試合を今月3試合観戦したが、候補選手たちは、よく言えば粒ぞろい。当選者と落選者の間に大きな差はない。突出した選手はいないが、特別落ちる選手もいない。平均点以上の選手がひしめいている。

 A代表についても同じことが言える。粒ぞろい。僅差で多くの選手が

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日本代表監督。過去の解任騒動に見る傾向と森保Jの関係

日本代表監督。過去の解任騒動に見る傾向と森保Jの関係

 森保監督への逆風。引き金になったのは、昨年12月に行われたE1選手権対韓国戦の敗戦だった。この段階では「このままでは4年持たないのではないか。心配だ」と述べるに止めたのは筆者だが、巷にはそれ以上に敏感な反応を示した人も多くいた。解任の声は湧き始めていた。グループリーグ最下位に終わったU-23アジア選手権を経て強まることになった解任論だが、この時すでに抑えは効かない状態になっていた。

 歴代の監

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森保式3バックはハリルホジッチ的サッカーの方が適していると言いたくなる理由

森保式3バックはハリルホジッチ的サッカーの方が適していると言いたくなる理由

 森保監督は来る10日から始まるE1サッカー選手権の代表メンバー発表会見で「3バック、4バックどちらでも戦えるようにシミュレーションしています」と述べた。雑な言い回しだと思った。

 この日に限った話ではない。布陣を語る時、具体的な表記ではなく森保監督は「3バック」、「4バック」と言う。これまで森保監督が披露した4バックは4-4-2と4-2-3-1で、3バックは3-4-2-1だ。しかし4バックと一

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ベネズエラの3点目に日本代表サポーター席から感嘆の声が漏れた理由

ベネズエラの3点目に日本代表サポーター席から感嘆の声が漏れた理由

 日本U-22がコロンビアU-22に0-2で敗れた試合。その2日後に日本代表が1-4でベネズエラに大敗した試合をそれぞれ広島と大阪で続けて観戦した。スタンドは、エディオンスタジアム(広島)、パナソニック吹田スタジアム(大阪)とも完全には埋まらなかった。サッカー人気が上昇傾向にはないことを示す事象だとすれば、残念というしかない。

 完敗した試合を見に行かなくてよかったとか、テレビでも見なかったとか

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日本代表はなぜ毎度、失速パターンを繰り返すのか

 開催国の特権で予選を免除された2002年日韓共催W杯は別にして、それ以降の各代表は毎度、同じような事態に必ずや陥っている。第4コーナーを回り、直線に向かうと勢いは低下。W杯が接近するにつれ、期待値を下げるパターンだ。ジーコジャパン、第2次岡田ジャパン、ザックジャパン、そしてハリルジャパン。98年フランスW杯を目指した加茂ジャパン+第1次岡田ジャパンにもその傾向は強く、加茂監督解任はその産物と言え

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