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従兄弟、友人、兄弟、そして…。

他人から仲間へ

私には従兄弟がいる。彼の名前は康太。

出生日が約半年しか変わらない私と康太だが、神奈川と長崎という地理的距離を隔てた私たちの幼少期は片手で数えられるくらいしか会ったことがないという状態で、感覚としては「遠いところに住んでいる親戚の子」程度のものだった。

しかし、私が大学進学を機に神奈川から長崎へ移ると、当時高校生で長崎に住んでいた彼とも距離が縮まる。

康太が就職して福岡で一人暮らしを始めた後も、私は就活を理由に康太の家に居候するようになった。
1ヶ月の半分近くを康太の家で過ごし、同じ部屋で寝る日々。夜遅くまで親族や互いの未来・人生について熱く語り合い、時には信号の明かりだけが差し込む暗いアパートの一室で掴み合いのケンカに発展することも。

普通の従兄弟同士ではなかなかない「濃い」関係性を築いていた。


康太のすごいところ

私と康太の関係における濃さ。その極め付きは、同業者であることだ。これは相当なレアケースだと思う。

康太も、まさか私が自分と同じ会社に入ってくるとは思っていなかっただろう。何かに導かれたとしか思えない。
就活でエントリーしていた航空系企業が全滅し、酒に溺れておぼろげな視界で見たパソコンの画面と締め切り5時間前にしたエントリーが今に繋がっているのだ(記憶もおぼろげ)。
占い嫌いな私でも、これは運命を信じざるをえない。

それから始まった福岡での生活は、康太を起点として進んでいたと言っていいだろう。
部署は違えど同じ会社で働き、徒歩10分程度の近所に住んでいた康太。

共に酒を呑み交わしたのは数知れず。
彼のおかげで素敵な友人にも恵まれた。
人付き合いがしんどい「社会」も体験した。
なにもかも康太と一緒に体験できてよかったと思っている。


康太は不思議な人間だ。頼りがいがあるんだかないんだか。
ただ、確実に言えることは、康太の周りには自然と人が集まり、その輪の中心には康太がいる。
人と人とを輪に繋ぐのだ。

人として無意識にあふれ出る「愛され力」と、しっかりと相手に想いを伝えられる「発信力」、そして人の良いところを発見できる「探知力」。
疑う余地なく、康太の尊敬できる点だ。 


noteの場を借りた康太への手紙

今年2月。康太から電話がかかって来た。
いつものように呑みの誘いかと思うと「ちょっと話したいことがある」に続けて彼は言った。

「この度、親族が増えます」

あいつが結婚する。父になる。
喜びも不安も、本人と奥さんが一番抱えているだろう。
私はただ祝福することしかできない。

でも康太よ。これだけは聞いてくれ。
これほどまでに人の幸せを自分ごとのように嬉しく感じられた経験はこれまでなかった。
これほどまでに新しい命の誕生が待ち遠しいことはこれまでなかった。

康太の持つ素晴らしい能力、人を繋げる力。その力を遺憾なく発揮し、今度は家族を繋げるのだ。

康太は婚姻届の証人を私にお願いしてくれた。
本当に嬉しかったよ。心の底から嬉しかった。
私が康太を特別な存在と思っているように、康太も私を唯一無二の存在と思っていてくれているようで本当に嬉しかった。

これまで数え切れないくらい書いてきた自分の名前だが、証人として署名するまでに何回も何回も練習した。
これまでの人生で積み重ねてきた想いを込めて書いた。
私たちを形作ってくれた尊敬する人たち。4年前に亡くなったカッコ良すぎるじいちゃんと、今も私たちの幸せを心から願ってくれる可愛すぎるばあちゃんの想いも背負って書いた。
ちなみに、署名用のペンは、そのばあちゃんが私たちに手紙を書いてくれる時に使っているペンを借りた。私が結婚する時は、同じペンで康太に証人欄を書いてもらうつもりだから、ぜひとも康太にも自分の名前を書く練習をしておいてほしい。



結婚報告からしばらく経ち、「おめでとう」の気持ち以外にも、康太と私の未来について考えるようなモードに入ってきた。

そしてこんな文章を書いている。
やっぱり私はクサいな。かっこつけすぎてるよな。
でもな、カッコ良すぎる康太に対抗する手段はこれしかないんだ。
康太ならケラケラ笑いながらバカにしてくるだろう。
「だっさ!きっしょ!」
私が感傷に浸っている時、康太はこう言って笑う。
まあ、康太も私と同じくらいカッコつけたことを言うきしょい人間だがな。似たもの同士だ。

これからも康太とそんなくだらないことで笑い合いたい。いや、笑い合うだろう。
私が得た素晴らしい財産、康太。
血の繋がりだけじゃない。血の通った唯一無二の関係だ。
従兄弟であり、友人であり、兄弟である。
私の拙い文章力では、私と康太との正確な関係性は言い表せない。

バカで、幼稚で、だらしなくて、くだらない愛すべき人間。
かっこよくて、気を遣えて、思いやりがあって、芯が通っている強い人間。

子どもの頃はほぼ他人だったのにな。
こんなに康太への想いが溢れるなんて不思議なもんだ。

この春、私は転職で福岡を離れ、地元神奈川へ戻った。
康太の近くで暮らした期間は6年。
再び長距離を隔てることになるが、私たちは子どもの頃とは違う。距離なんて関係なく、この血の通った関係は続く。


最高の従兄弟だ。
最高の友人だ。
最高の兄弟だ。
そして、クソ最高な仲間だ。

これからもよろしくな。

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