見出し画像

【詩】 エデンのマーメイド 他3編

先月は、1ヶ月にぎゅっといろんなイベントや旅を凝縮させて慌ただしく過ごしていました。体が忙しい時は大抵気持ちも忙しく、考えるべき問題が山積みのような気がして落ち着きません。
その反動で6月に入ってから創作も停滞、仕事もどうもやる気が出ず…。(きっとこのジメジメした天気のせいでもある!と言い聞かせています。) 月の3分の1が過ぎ、ようやく通常通り動き出しました。
さて、今月の詩のコーナーです。例によって書き溜めたものの中から、今の気分にぴったりなものを選びました。

「エデンのマーメイド」

ペールブルーの水の色
可愛がってた下弦の月
流木に紛れたあの日のこと

胸の岸に波は行ったり来たり
何かを運んできたと思ったら
何かが失くなって
この星空と一緒に凍えてゆきたいと
ほんの少し思ったの

フラスコの中で見たオーロラ
水風船の弾ける音がして 私の中に響いた


「チョコレートシロップ・ラメラ」

あれからいとも簡単に月日は流れた
金魚の泳ぐ鉢に張り付いたまま
まだ 一歩も動けないうちに

朝食を 来る日も来る日も繰り返して
同じ目玉焼き 同じバターロール
不釣り合いな 同じチョコレートシロップ
飽和して 何も感じなくなってしまった

硝子の球体から 今も離れられずにいる
縛り付けられているわけでもないのに
近い未来への不安を募らせて 目をとろんとさせて
浮かぶようにして時空に乗る


「雨粒」

呼吸を数えて
雨の降った日を数えて
ぽーんと放り投げた右足の革靴
さようならって言ったこと
もう会えないねって塞ぎ込んだこと

雨粒は今日も薄情だなあ
君ばかりあの人のところへ飛んでいける
淡白なジョークはよしてくれよ
声を届けることすら ままならないんだ

夜はいつまでも崩れそうな笑顔でここにいてくれた
僕は君といた部屋で
青くも黒くもない音楽を でたらめに奏でるんだ

ギター バルーン 糸 ヨーヨー
努々 白けてゆく 窓の外


「街廃れて」

噴水広場の木曜日
バス通りなく人通りなく
空は空っぽに抜けていた

ミルキーブラウンなラヴ・ホテル
歴史地区の静けさに巻かれながら
ファンキーに首を傾げている

これでいいの?
このままでいいの?

埋もれてしまったシンパシーが声を荒げて
やりきれない気持ちが 真昼の空気に反響する
突き抜ける空に フェスティバルは風船を掲げる
わたしは あなたに 平和の旗を手向ける

わたしはどこへいくのだろう
街廃れて


ここまで読んでくださってありがとうございました。1つ目と3つ目の詩は対になっているイメージです。
雨続きの毎日。なんとか気分を上げたいところです。

この記事が参加している募集

私の作品紹介

今こんな気分

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?