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暗室、水の音、数学者の言葉~『月へ行く30の方法』レビュー

『月へ行く30の方法』展 地下1階の展示室。
今回の展示で一番好きな空間。
何時間でもそこにいたいくらい。
そんな気持ちでその空間にいたのは私だけじゃないと思う。
作品を見ていた人たちは同じ気持ちでその場にいたのじゃないかな。
そんなことを感じさせる、静かでじっくりと作品に向き合う空間だった。

数学者・岡潔の人間の情緒の成長について述べたエッセイを主軸とした構成で、音と映像のインスターレション。
幻想的に映し出され流れていく言葉たちに目をじっと凝らす。
聞こえてくるのは水の音。
水の音は本当に心を落ち着かせる。
ふと、水をテーマにした作品をいろいろ創作した坂本龍一氏のことを思い出す。
彼も水を向き合いながら、その音を聞きながらこんな風な心持ちになったのだろうか。
だからテーマに据えたのだろうか。

水は、根源。液体の流れはいつもある。私の周りも、私の中にも。
生きている間も、死んだあとにも、きっと。



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