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久しぶりに居酒屋に行った

 居酒屋さんでワイワイ飲んだのはいつだったろうか?

 すでに記憶からも薄れてしまうくらい前のような気がする。少なくとも、引っ越してきた福岡では一度も行っていない。ということは、広島での小さな送別会が最後かもしれない。それからは、有に半年以上は経過している。送別会を除けば一年半くらいは足を運んでいないことになる。

 今回、広島から一緒に仕事をしていた同僚が大阪に戻ることになったということで、有休を取って福岡まで会いに来てくれた。とはいっても、繁華街で飲むのは憚られるので、博多から電車で10分ほど離れたところの駅そばの居酒屋を予約していった。同僚とは店の前で待ち合わせだ。

 焼き鳥とか生簀の鮮魚を売りにしている居酒屋だったので、イカの活き造りを期待して二人で行った。もちろん、個室である。四人がけの個室を二人で使う贅沢。このご時世の粋な計らい。そして、クーポン利用で一割引が使えることも大きい。会計の時に見せるだけでいいらしい。ホットペッパーのクーポンだ。

 初めていく居酒屋だったので勝手がわからなかったが、タブレットが各テーブルに設置されており、どうやらそれでオーダーするようだ。だいぶ前からこのスタイルは増えている。店員を呼ばなくていいので効率的ではあるが、少し寂しさを感じる。店員との無駄なおしゃべりも居酒屋の楽しみの一つだったような気がしてならない。

 入店するときに生簀の中が空っぽだったのが気になっていたので、おしぼりを運んできた店員に聞いてみた。

「今日、イカの活き造りできるかな」
「申し訳ありません。コロナのせいで鮮魚が入荷してないんです」
「・・・」二人して固まってしまった。すると同僚が冗談で言った。
「えー、それを楽しみに来たのに、無いんだったら帰ろうかなぁ」仕方ないのでフォローする。
「気にしないでね。冗談だから、じゃあおすすめは何かな」
「焼き鳥が美味しいです」

 きっとコロナのせいというより、ちょっと前まで緊急事態宣言中だったので、仕入れていないのだろうと察しはついたが、出鼻を完全に挫かれた。仕方ないので、焼き鳥の盛り合わせを二つ注文したあと、生ビールで乾杯し飲み始めた。居酒屋でのアルコールも久しぶりなので、生ビールが格別に美味しかった。その後は、焼酎に切り替えである。一杯ずつ注文するのは効率が悪いので、ボトルで注文。二人だからハーフサイズなら何とかなるだろうと考えた。飲みやすい木挽ブルーを注文。スーパーで買う値段の倍だったが仕方ない。同時に、ロックとお湯割りセットも注文。さぁ、焼酎に切り替えようとポットに入ったお湯をグラスに注いだ。

「ん、茶色いぞ、これお湯じゃなくてお茶じゃないか」
「あーーー、お茶だ。店員さんを呼ぼう」ボタンを押して店員を呼んだ。
「これ、お湯じゃなくお茶だよ」女性店員は申し訳なさそうに謝罪した。
「申し訳ありません、すぐにお持ちします」

 ポットに入っていたので区別がつかなかったのだろう。めくじらを立てる必要もないのでしばし待って、仕切り直し。お湯割りを作ることができた。

 アルコールの勢いも手伝って、話が盛り上がる。今置かれている会社の状況など差し障りない内容だが楽しかった。もちろん、私は今noteを楽しんでいるよとも伝えた。そうそう、「松浦 照葉」の名詞も作っていたので渡したら不思議そうな顔をしていたな。noteの存在は知らないようだったので、ちょっとだけ教えてあげたけど興味はなさそうだったかな。というより、そんな余裕はなさそうだった。

 もつ鍋もメニューにあったので、一人前を注文することにした。二人でシェアするにはモツの量が足りないだろうということで、モツのみ追加オーダーをしたらその量にびっくり。追加しなくてもよかったかもしれないと思ったほど入っていた。

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 驚きながらおじさん二人で食べたのだが、綺麗になくなってしまった。
そろそろ焼酎の瓶も空になりそうな状況になり、飲み干して帰ることに。今回はせっかく会いにきてくれたからとレジに行ってお勘定。ほろ酔い状態を通過して気持ちいい状態になっていた。無事支払いを終えて店外へ出て、夜風に当たり歩き出した。気持ちいいから、ちょっと遠いけど歩いて帰ろうと思い、40分くらいの道のりを綺麗な夜景を見ながらテクテク歩いていて、はたと思い出した。

「あっ、クーポン使うの忘れた。失敗したなぁ」


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