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自傷、あるいは頭の怪我



そんなに近づかなくても聞こえるから席を立たずに報告してくれない? 私あなたに近づいて欲しくないの。


暑い、水しか飲みたくなかった早く終わってほしかった、体育館の床に転ばされた、剣道の稽古で、夏の合同錬成会、で、面の隙間(あの鉄の部分)に、なだれかかってきた人の、お尻が、本藍染の綿袴じゃなくて、てろてろの、あの、ポリエステルかなにかでできた、布がみっちりと広がって、うわわ、となったのですよ、多分隣の地元剣友会の先生が、私の足と汗に引っかかってどうにかなってしまったんだと、で、瞬間、
「人がのしかかってきたんだ」
と、思ってちょっと面白くなったあのとき、私は顔を怪我した、死んだ、はずだったのに



私、前にもこれ教えたよね。どうしてミスしたかきちんと考えてみた?


剣道はわりと頭をパカスカ殴られるスポーツです、ごめんなさい、武道ですねすみません、でした、今確認しました、上手い人が相手なら、二人一組でやる打ち込みだって痛くない、パンを二重に重ね、膨張させたものを思いっきり、殺せばきっとこんな音がする、と思う、でも下手な人だとそうはいかない、殴られると頭が、頭が、死んでって耳鳴り、濃くなって、どんどん自分と肉体が離れていく、きっとそのまま放置してるとその断面、ちょうどまんなかは糸を引いててきれいだろうな、生々しい、どうしようもなく、火が通ってない人間とかに近いそういうものはいつだって、きれいだし、
「俺らはそういう事ないけど、面つけてない顔面を、竹刀で叩かれるんだってさ、〇〇中学の奴らは」
と、いう話を先輩にされて、体罰だな、と思った私も、美しいよね痛いけど、あの、剥がれるような感覚についてその子と小一時間語り合ってみたかった、地区大会会場の横の、ローソンで、ミルクティーを飲んで、いやいや体罰、殴られてるじゃんと考えられたのは剣道を辞めてから、ずいぶんとたった後、だったような気がする


お疲れ様でした。いいところ見つけて次のところでも頑張ってください。応援してます。


辞めてから、頭を殴られることはなくなってしまったし、自分も殴ることはなくなった、好きだった、あのスポ、ぶ、武道が、きっと、足を怪我して素振りした、棚を壊して顧問に殺された、下手なりにそれなりに評価、ひ、評価されてBチームのリーダーをしていた、先輩とも後輩とも仲良く(私がそう思ってるだけで本当はそうじゃなかったのかなんて調べることはできないけどそうでなくてはならないそうじゃないと私は頭を「きれいなもの」に昇華させる必要がある)していた、思い出が去来して、痛くなる、顔が、
「今まで蓄積した人体のダメージは、あなたの体を輪郭だけしかもたない、くらげのように包んでいる。これは事実。死にぞこなった、中途半端に欠損してしまったぶんだけ、それは大きくなります。本当は何回も、連続が、不連続になっているのに、あなたはそれを無視している。もう、不細工なあなたの肉、姿は無数の怪我で埋められている。お歳暮で届く変にやらかいゼリーのように。特に頭が。濃く沈んでいる。透明だって重ねればマスキングてきな効果を果たしますよ。あなたの顔、見えないです。かわいそうに。そんなに死んで、こ、殺して、し、死にたかったんですね」
と、

そんなの私知らない。聞かれても困る。
〇〇さんは中途半端にしか仕事ができない。
じゃま。どいて。
もういいです。席戻って自分の仕事して。


と、
剣道は辞めてしまった、
そういえば自傷行為をしていた、
でもこの話はしません、もう

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