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交通量調査システムご紹介

オンキヨー開発部の河村です。

改めましてこんにちは



前回の記事は見ていただけましたでしょうか。日本経済新聞の記事も参照いただいた方、私がアヤシゲな人間ではない、とわかっていただければ十分です。
初回、当社の技術の一端を紹介しましたが、それを使って、どんなことをやっているのか、を紹介したいと思います。お待たせしました(誰も待ってない、、、はい、失礼しました)。
 
今回ご紹介するのは、交通量調査を行うシステムです。
皆さんは、道路の横で、カチカチ、ボタンを押している人を見たことはないでしょうか。道路に車が何台通っているのか、確認する方々です。地味で根気がいる作業です。実は、このITが進んだ現在でも、かなりの割合で人が測定しています。国土交通省からは、ITやAIを活用して自動化を進めるようにお達しが出ていますが、まだまだ解決できる仕組みが少ないです。

その自動化の中で、最近取り組まれているのは、「カメラ」で録画して、その画像から車の台数や車種を判別する技術です。昨今の画像認識技術は進んでいますので、”車”の判別には最適なソリューションと言えます。
ただ、カメラにもデメリットがあります。
・    設置が大変
・    夜が苦手
・    画像はデータ量が多い
などなど、苦手な部分があります。あとはプライバシーを懸念する声もあります。
 
そこで当社独自の技術として、振動を検知してカウントする方法を提案しています。車が通る際の道路の微小な振動を検知して、車の交通量を確認するシステム「オトトルクン」です。(ベタな名前で恐縮です)
 

オトトルクン

 
どこにでも持ち運べるタイプで、測定したい道路の横に置くだけで、車の通過台数、大型、小型の車種判別ができるようになっています。すでに、いくつかの自治体ではご利用いただいており、また、国土交通省が提供する新技術に関係する情報を一般の方々に共有、提供するために新技術情報提供システム(NETIS)にも登録されています。

簡単に設置でき、昼夜問わず取得できますし、画像と違いプライバシーの心配もありません。

 
この「オトトルクン」、どういう仕組みになっているのか、説明します。

車が道路を通るとき、タイヤと地面は接触しているので、通過すると振動が発生します。木の板を人が歩くと振動するのはわかると思いますが、アスファルトで舗装された道でも微小ながら振動しています。この振動を取得します。得られた振動を増幅させて振動エネルギー波形にするとこのようになります。こちらが普通乗用車(小型車)が通過した時の波形です

普通乗用車の通過波形

これがトラックなど大型車両になると、このようなデータになります。

 

トラックの通過波形

はい、波形、だいぶちがいますね。

このような通過車両のデータを取得し、機械学習やディープラーニングなどのAI技術を活用して、小型車/大型車であるかを判断し、車種ごとに台数をカウントしています。
このとき、データにノイズが乗っていると、判断を誤ることになります。微小な信号をきれいに増幅する当社の技術が、精度向上に役立っています。また、振動をうまく取得するにもコツがあり、当社のオーディオで培った機構設計技術を用いて、効果的な取得が可能になっています。
現在、カウントの精度95%以上を実現できています(道路、気候条件によります)。私が手作業でカウントするより精度が良いと思います。いやホントに。
 
この「オトトルクン」はすでに自治体ではご活用いただいておりますので、興味のある自治体の方、ぜひ当社にご連絡ください。人手観測よりもお手軽な価格で実施できます。機械計測なので、暑いとか寒いとか文句も言いませんし、さぼりません。(笑)

設置例

オトトルクン、こんな感じで設置していますので、見つけたら、皆様、蹴ったりしないでください。頑張って測定中ですので、優しく見守っていただければ嬉しいです。

今後、歩行者や自転車のカウントもできるように開発中です。これも結構ニーズがあります。
当社だけではなく、大阪市や大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学などと共同研究を実施しています。また、論文も海外の研究会を含め多数発表しています。

詳しく知りたい方は当社のWebサイトをご覧ください。
https://onkyo.net/ototorukun/

オーディオ技術を交通量調査へ応用、ってなかなか結び付かないと思いますが、こんな使い道がある、というのがわかっていただければ。


次回も新たな事業を紹介しますね。お楽しみに~