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オクトパストラベラーでジョブシステムを乗りこなす(レビゥー記事)

ウッドランド地方の奥深くへと進んでいく危険な道中の中で宿屋に泊まったときのことだ。自分はある夢を見た。それはこれまでのRPG体験のおぼろげな記憶を反芻する内容だった。
ビジュアルやパーソナリティを気に入ったキャラクターがいるのに戦闘では意外と腰抜けでパーティーの負担になり……実際他のヤツを入れたほうがうまく回る。それを分かっていながらも愛着から無理をしてそいつを組み込むが……何が足りないのかをわかってしまっているので、結局旅路は釈然としない感覚を抱えながら進んでいく……。

こういう事態に遭遇したことのある者はいないだろうか? いるはずだ。こういうのを自らの実力や覚悟不足だと思い、修行僧めいた自罰的な気分に陥ったりしがちだった……だが今思い返してみると悪いのはどう考えても自分ではなく、そのRPGのキャラごとの戦闘バランスなのだ。そういう開き直りのスタンスをオクトパストラベラーの旅の中で自分は学んだ。その切っ掛けこそがジョブシステムということになる。

幼い頃のRぴーGの記憶の中での自分はべそをかいている子どもに過ぎなかったが、幾つもゲーム体験の中でかなり危険な冒険者として成長を遂げた。オクトパストラベラーの8人と出会ったときの自分は猛禽じみた鋭い視線を8人に投げかけ、挑発的な言葉を口にした。使えなければ切り捨てる……そのようなことだ。だが8人は挑発に乗ることはなく、堂々と己の強さ、そして正しさをしょうめいした……自分は帽子を脱ぎ、ぬるくなったエールを一度だけ呷り、バーのカうンターに金貨を数枚叩きつけ……こう言った。「こいつらに、自分の奢りで」共に旅するに相応しい8人だと悟ったとき、警戒は深い信頼へ変わった。

旅は一芸では務まらない

自分が選んだ主人公、ハンイットは狩人だ。しなやかな筋肉が付いており背中がHOTで……そしてユキヒョウを連れている。ハンイットは魔物と心を通わせる稀有な力を持つ狩人であり、戦闘経験もほうふだと言える。だが、思い出して欲しい。これまでのRPGで強がっていたが戦闘において腰抜けだったヤツも肩書きだけはご立派な奴らが多かった。つまり歴戦の騎士だとか……賢者だとか……そういう一芸だけで生きていける時代は終わったということだ。そもそもこのオクトパストラベラーの大地では町の人々ですら戦いに駆り出すと大魔術を使いだしたりするのに弓矢が使えるだとか魔物を使えるだとかそういうことだけをウリにしてやっていくのは無謀だというデーターが出ている。もっとマルチに活躍の幅を広げていくべきだ、とユキヒョウのリンデもきっと思っている。リンデとハンイットは心が通じ合っている……魂の相棒だからだ。だからこそハンイットはリンデのイワンとしていることがわかった……狩人だけではダメだと理解したのだ。それは自らと仲間、そしてリンデを守るための尊い決断だったと言えよう。

オクトパストラベラーではジョブシステムが採用されていることを自分は旅の中で理解した。つまりベースジョブに加えてサブジョブを追加することで二つの能力を併せ持つせんしが誕生するというわけだ。当然、サブジョブの方の武器も装備できるようになり、相手の様々な弱点に対応できるようになる。筋肉で剣を振るい物理的破壊力を生む剣士と学術的視点から理解した呪文によって魔法を放つ学者……そういう一見すると反りの合わなそうな二つのジョブを同時にモノにできるということだ。ベースジョブに加えて他の7職があるので組み合わせを計算すると……かなり多いということをわかっただろう。

ここで震え上がり、がくがくと膝を揺らしてへたり込むやつが現れることを自分はもう想定済みだ。こいつは最近のバトル体験をすべて要素の薄いスマッホ・ゲームで済ましてきたからだ。どこかのスカム攻略サイトで見たリセッマラランキングの上から順にキャラを手に入れ「こいつは回復がつよくてこいつはかりょくがあるから……」みたいな単純な足し算しかできなくなってしまいどうしようもない。オクトパストラベラーは掛け算の世界だから入門した瞬間に失禁する者もいるだろう。だが、本来は誰もがバトル掛け算ができる。母親の胎内にいる時は誰もがジョブシステムのことを考えていたからだ。今はただ現代社会のストレスやスマッホのしすぎで忘却してしまっただけだ。それを思いだせ。いや、否が応でも思い出すことになるだろう。できなければ即ち死がおとずれるからだ。

クソッタレの盗人野郎はオルベリクのことをナメていた。頭の中まで筋肉だと思ってしまったのだ。それは大きな間違いだ。状態異常をしかけてオルベリクが混乱しているうちに棒で叩けば勝てるなどと勘違いした結果がこの大雷撃魔法だ。オルベリクはツー・ハンデッドソードを振り回す以外の飛び道具を懐に隠し持っており、卑怯な投げナイフを指でつかみへし折ると、魔法を唱え盗人を消し炭に変えた……こういうことができるのがジョブシステムだ。

ジョブは最初から使えるわけではない。第一章の範囲ではたぶんないがレベルが上がり探索の範囲が広がったとき、たまに神殿などが存在しそこには太古のプロフェェッショナルたちの魂が眠っている。そのインストラクションを手に入れることでそのジョブを付与することができるというわけだ。ちなみに同じサブジョブは一つしか付けられない。つまり全員のサブを戦士にして筋肉祭りなどの行為は不可能というわけだ。

クヨクヨせず役割を決めてしまう

ジョブスキルを習得するためにはJPというポインツが必要になり、覚えれば覚えるほど次のスキル習得に必要なポインツが上がる。つまり中途半端に色んなジョブのスキルを覚えても肝心のスキルを覚えられなくなったりであまり意味はないということだ。つまりジョブシステムが開放されたら即座にメインに合わせるジョブを決めてしまうのが望ましい。ここで心の弱い者はWikiサイトなどに頼ろうとし……そういう集合知に聞くのが絶対いいなどと腰抜けの言い訳をして岩場の陰でスマッホからブザウザを立ち上げて検索タブに「オクトパストラベラー こうりゃく」などと文字をタイプしようとしたところで……動けなくなる。なぜだ? 何が起こった? スマホを取り落とし、口を陸に上がった魚のようにパクパクとさせ、一拍の間の後にようやく足に毒サソリの危険な毒針が刺さっていることに気づき……視界は暗闇の中に閉じる。そういうことが起こると言っておこう。オクトパストラベラーの危険な旅の中で攻略サイトを見る余裕があると思っている者は全員修行し直すか、バスでスマッホランドへ帰れ。そこで永遠にピコピコとスマホをして、TiKtoKなどで動画でも撮りながらゆっくり老後をむかえればいい。

そうしてスマッホランドへと向かうバスが土煙を上げて走っていくのを一瞥すらもしない真の戦士のみがその場に残る。面構えが違う。こいつらは早晩、ジョブシステムの真髄を理解し各々のやり方で適応していくだろうと思う。だがこういう話をせっかく始めたので自分はこうした、というジョブの決め方を一応書き残しておく。この危険なメモは読んだらすぐに燃やしておいてくれ。

メインパーティーを決める

自分はかなり早い段階で気づいたように思うが、実はこのオクトパストラベラーは8人全員のレベルを均すことがかなり難しい。何故なら主人公の一人は固定であり、残る三人だけが自由枠だからだ。自分は8キャラ全員のストーリーを完遂させることを前提にしつつもメインパーティーを作ることに決めた。主人公であるハンイット+テリオン+サイラス+プリムロゼ。この4人だ。残るオフィーリア、アーふぇン、トレサ、オルベリクのレベルは4人に比べると一段は低くなる。なるべく均そうとレベリングをしてもうまくはいかなかったので早めに諦めた。

狩人、盗賊、学者、踊子をメインとし余ったジョブである神官、薬師、商人、剣士をそれぞれのメインに付けた。

ハンイット(狩人+神官)
テリオン(盗賊+薬師)
サイラス(学者+商人)
プリムロゼ(踊子+剣士)
という具合にだ。何の飾り気もないアイデアではあるが迷わずに済む。

あとは一つ言っておきたいこととして戦闘中のドット絵はメイン+サブジョブの固有になるというところだ。踊子+剣士のプリムロゼはこのようになる。各ジョブとキャラクターのメインカラーは一貫しており、剣士はオルベリクをイメージした青を基調としているので剣士をサブに据えればプリムロゼも青い衣装となる。細やかなドットのあたたかみ、そして各キャラに全ての組み合わせ分のグラフィックが用意されていることに自分はまぶたをふるわせ……一筋の涙がコントローラに落ちていった。

ちなみにサブジョブのスキルにも専用ヴォイスがある。これは実際凄いことだ。キャラクターのドット絵や各スキルのヴォイスなどからジョブの組み合わせを決めるのはかなり良いアイデアと言える。それこそ渇いた大地を生き抜くためのサバイバルに必要なロールプレイという潤いであり癒やしだからだ。実は自分のプリムロゼ+剣士も完全にドットからの選択だがこの真実は墓まで持っていくので誰にも伝えないつもりだ。

実はRPGにはサブジョブは割りとよくある的な話を耳にすることもあり、オクトパストラベラーのジョブシステムも目新しいものではないのかもしれない。だが自分は全職のスキルを扱ってみて明らかにこいつだけが腰抜けでお荷物だな、みたいなブルシットは発生しなかったし全員が覚悟を決めた本物の冒険者だということが既に自分の心には刻まれている。かなり後半までの過酷な生存競争の中で戦ってきた結果、自分のメインパーティーのカラテがいかほどかということもわかっている。だが、あえてそのジョブごとの組み合わせの強さとか使い勝手みたいなことは書かない。その化学反応は一人で探していく中でこそ本物の楽しみを見出だせる冒険の宝とも言うべき黄金体験だからだ。だがせっかくなのでそれぞれのジョブのアビリティの中で隠しきれないパワーを感じたものについてピックアッポして書いておく。

・狩人
ねんちゃく糸→あほみたいな名前で第一印象では弱そうだが油断をするな。敵単体の行動順を確定で最後にしてしまう効果が2ターンも付与でき、BOOOSTすればもっと長く続く。ボスにも利く。これがどういうことかわかるか? 恐ろしいことが起こる……。
どしゃぶり矢→たぶんこのゲームの中で一番あほな技名だがやってる本人はかなり真剣だ。敵全体に矢を降らせるが結構外す。鳥とかコウモリで弓が弱点な奴らが出てくる場所で適当に撃つとBREAKが重なり、アドレナリんが噴き出す。

・盗賊
ライフスティールダガー&マジックスティールダガー→それぞれHP、SPを回復させる短剣二連撃だ。これがあるだけでかなり盗賊は便利が良い。手数もあるし、薬抜きでもコンディションを調整できる。
コウモリ&フクロウ→コウモリは敵の攻撃、フクロウは防御を下げる。やることがないときに定期的に掛けるだけで敵はかなりじゃくたいかすると考えていい。しつこくやれ。

・学者
しらべる→相手の弱点をひとつ開示する。開示された弱点はずっとそのままなのでよく知らないエネミーが出てきたらまっさきに掛ける。危険なBOSSバトルでもかなり有用だ。他の魔法はかなりシンプルな技なので説明はいらない。

・踊子
孔雀の舞→味方の属性攻撃力を上げる。攻撃力をあげるスキルはいくつかあるが属性攻撃に関してはめずらしいのでそれだけでも価値があると言わざるを得ない。
摩訶不思議の舞→なにがおこるのかわからない。自分は3BOOOSTして使ったらさんざんな結果に終わった。

・神官
大回復魔法→せつめいするりゆうはおそらくない。
反射のヴェール→味方単体に属性攻撃を1回反射するバフを掛ける。たまに意味不明に属性魔法を連打されて筋肉という鎧の上を通され、かなり怒り心頭になることがあるのでそういうときにこれを掛けてボコボこにする。

・薬師
応急手当→味方単体の回復する。
健全化→味方単体に状態異常無効(回復)の効果を2ターン掛ける。自分はRPGをやっていて2ターン連続で同じ状態異常を掛けられ、キャラもまんまと治した直後にハマってしまうということに超ストレスを受けるがこいつは素で2ターン防いでくれるのでそういうクソが起こりえない。

・商人
BPパサー→味方単体のBPを増やす。商人自身はトリッキーなスキルばかりであんまり火力的に役に立てないときもこういうBPトス行為でけっかてきに殲滅を早めたりできる。
緊急回避→自身にのみ物理ダメージを回避する効果を与える。つまりひらめきだ。後半のボスは息もつかせぬ連続攻撃を放ってくることが多いので暇なときに掛けるだけで継戦能力がたかまる。

・剣士
ためる→自分の物理攻撃力を3たーん上げる。シンプルだが強い。
千本槍→かなり外すが槍による連撃を行う。思った相手に当たらなかったりするけど気にするな。

ジョブシステムは無限の可能性を秘める

色々と言ったがオクトパストラベラーのバトルバランスはかなりよくできたもので、ジョブの組み合わせなどに正解や不正解はない。もしも手応えを感じたらその時は諸手を挙げて喜んでおけばいいということだ。オクトパストラベラーはロールプレイに特化した良質なRPGたいけんを提供しており、バトルやジョブシステムはその妨げにならないように工夫を凝らされている。全力で8人を信頼するのが正解だ。もし明らかにこいつは腰抜けだ……となったらたぶん装備が悪い。自分もテリおンがあまりにもだらしないと思ってくまなく理由を探したら短剣がしょうもないものだったという経験がある。

ベストな装備を渡してやることが重要だ。金とかの問題で序盤はあまり装備がないので装備が被らないようにジョブを配置するのも手だ。そうすれば自ずと様々な攻撃手段を得られるのでてきかくに弱点を突ける機会も自然と増えていく。自分は金を貯めテリオンに高品質な短剣と斧、そしてフルプレートメイルを手渡した。ヤツは何かお礼の言葉を言ったかもしれないが声が小さくて聞き取れなかった。とにかくそれからのヤツはかなり頼もしかったとだけ言っておこう。テリオンは自分の傷はライフスティールだガーで治し、味方には薬を塗って回復させた……装備の充実、そして複合ジョブがテリオンを本物の男に変えたことはもはや疑うべくもなかった。

今回は以上だ。
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