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Library Of Ruinaでたった一冊の本を探せ(あごぶろぐ)

自分は最近めちゃくちゃ充実した生活を送っている。自らが命名した無人島……アゴッチ島での生活が軌道に乗ってきたからだ。朝起きて、冷蔵庫で着替えて、広場に向かう。すると住人たちがすでにヨガ体操などをしているので、リングコンを持って混じる……そういう心身ともに満ち足りた日々を過ごしている。だがしかし牙を抜かれたわけでは断じて無い。その証拠に島に持ち込んだノートPCにより、常にINDEPENDENT GAMEの新しい風を探し続けている。なぜならあつ森の面白さとインディーゲームの面白さは別腹であり、おそらくは毎日特にお知らせがないと言いつつもしずえも裏ではインディーゲームをやっている……それぐらい黄金体験にあふれた宝の山だからだ。そして最近は鋭敏な肌感覚により、いくつもの有益な情報とただならぬ気配を察知した。それはSlay the SpireのiOS版発売だったり、今回紹介するLibrary Of Ruinaだったりする。

・Library Of RUINA...??

これは何をするゲームなのか? このトレイラーを見れば一発で分かることだがルイナは図書館が舞台のゲームだ。我々プレイヤーは司書になり、図書館の主であるアンジェラが求むる一冊の本を手にするために文字通り粉骨砕身で戦うことになる。自分は買ってから気づいたが、どこかで聞いた話だ。そう、このルイナは古のスマホアプリであるロード・トゥ・ドラゴンを想起させる設定と、シャープな切れ味を併せ持ちし真のゲームであり、遥か海の向こうの洋上に位置するアゴッチ島まで猛烈な死の気配が漂ってきたのも無理からぬ話だ。トレイラーは綺麗だが同時にただならぬ空気が流れ出てきてもいる。ルイナの世界観はいわゆるディストピアであり、都市伝説や怪異が蔓延る都市の中で紡がれし物語だ。なので血生臭さはお墨付きであり、そもそもその辺りは前作ゆずりと言えよう。

ルイナには前作があり、それは「ロボトミーコーポレーション」というゲームだ。これはSCPみたいなやつを管理してエネルギーを得るというシュミュレーションゲームであり、一部界隈では有名なやつだ。ここは国語の勉強をするところではないのでSCPとかロボトミーコーポレーションについて詳しく説明する気はない。ロボトミからルイナは地続きの話であり、世界観も物語も連続している。自分はロボトミについては触りくらいしか知らなかったしプレイしたこともなかったが、気になったので少しだけ調べた。一つ確かなのはゲームは試験勉強でもなんでもないので前作を知らなくてもルイナは1000%楽しめるということだ。続編とかだと変に尻ゴミするやつもいるが、知らなくても胸を張って遊べ。自分はそうする。ただ、ロボトミの物語がどうなるかを自分の目で確かめたいやつはルイナを後回しにするほうがいいと思った。

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主人公はローランという男だ。こいつは不運にも開店準備中の図書館に迷い込んだことでアンジェラの召使いに認定されてしまった。OPで血みどろになっているのもコイツ、人形になって吊り上げられているのもこいつだ。こいつは自称こそ9級フィクサー(フィクサーというのは都市の便利屋のことだ)で佇まいもモブっぽいが飄々とした態度がカッコよく、真の戦士とくゆうの輝けるオーラを放っている。ローランはアンジェラのゴキゲンを伺いながら司書の中心として指揮を執り、図書館に来るゲストをどんどん接待する。接待とは? 次はその話だ。

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アンジェラは一冊の本を求めて都市の住人へと招待状を送る。招待状は不可思議な方法でゲストの元に届き、ゲストは確実に図書館に行きたくなり、サインをすることで異空間にある図書館へと足を踏み入れることができるという寸法だ。招待状はめちゃめちゃ自然に来る。例えば内臓を抜いて売っているゴロツキのところにはバラした死体の中から出てくる。そういう自然さだ。招待されて図書館にやってくるゲストの経緯はまちまちだが、切羽詰まっていたり調査の名目で来るやつもいる。まともなやつも、サイコパス野郎もいる。現実と同じだ。

接待というのはそうしてやってきたゲストと司書で殺し合いをするということだ。ゴルフとかキャバクラとか、そういう穏便な解決方法はここにはない。カフェ運営ゲームとかじゃないので、うまい料理を配膳したらお土産を置いて帰ってくれるとかそういうこともない。図書館でゲストが死ぬと、ゲストは本となって図書館の蔵書の一部になる。ゲストが勝てば、ゲストは欲しい本を手に入れて生きて帰れる。だが、実際図書館側は不死身なのでゲストは図書館に来た時点で大抵の場合、死が確定している。ここで行われるのはそういう命をかけた本の奪い合いだ。招待状はあらゆるやつのもとに届くので我々も気を抜いたら引っ張ったトイレットペーパーや、食ったラーメンの麺から招待状が自然に現れるかもしれない。そうなったら、辞世の句を用意しておけ。逃げることは不可能だ。

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図書館における殺し合いの作法はダイスバトルだ。ゲストに適した階層(数人の司書によって編成された、いわゆるパーティー)を選んで接待を開始する。司書の頭の上で回転しているのがダイスであり、この出目によって行動順が決定する。つまり、移動速度に各々の筋肉とか気合とかそういうのが全然関係しない。ダイスの出目の差ひとつでいともたやすく命を落とす危険性があるということだ。これは絵面よりもめちゃめちゃ緊迫感があり、吐き気をもよおすような悲惨な出目をだして大事な司書がいっしゅんでバラバラにされたり、逆にたった1の出目の差で命を救えたりもする。指でてきとうにポチポチしながらYOUTUBEを見れるスマホゲーの作業ではなく、真の命のやりとりなので、自然とマウスを握る手は汗ばみ、動悸がしてきて、意識を強く保たないと失禁するかもしれない。

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行動順を決める速度ダイスを振り終えて一仕事した気になっても、まだまだこんなものは戦いの火蓋を切って落としただけに過ぎない。ダイスを振り終えたら次のダイスロールが始まる。ルイナの戦闘はカードによって行われ、そのカードごとの攻撃力やしゅびりょくもダイスの目で決定付けられるからだ。自分が相手を狙っているということは相手もこっちを狙ってるので、相手の攻撃をある程度はいなすことも考えないといけない。一転攻勢に出るか? それとも防御を固めるか……的確な状況判断が必要だ。戦闘には今ザッと説明した以外にもいろんな要素があり、複合的に絡み合っていて面白いのだが、ちゃんと説明しようと思ったらスクショをたくさん貼って色々言わないといけないのでここでは一々説明しない。

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接待において使用するカードはバトルページと呼ばれ、9枚一組のデッキとして構成する。これらのカードを入手するのは実際無料であり、ゲストを接待したときに手に入る本から得られるので、0.1%とかのレアカードとかを天井まで回すとかそういう邪悪な展開は待ち受けていない。どの司書にどういう役割を持ったデッキを与えるか? そういう采配からすでに勝負は始まっていると言っていいだろう。では、曲はどうだ? 曲は重要だ。接待のときに掛かるBGMはそれぞれの階層で違い、めちゃくちゃテンションが上がり、興奮し、ダイスが鳴る音も相まってアドレナリンがどんどん湧いてくることうけあいだ。ダイスがマッチしあうと、鍔迫り合いが起こる。その甲高い金属音を聞きながら、自分はグラスを煽る。そしてダイスをフル。グラスを煽る。ダイスを……。

・都市の謎が待つ

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都市にはさまざまな組織があり、それぞれの思惑がある。都市は完全なディストピアだ。翼と呼ばれるバカでかい暗黒メガコーポみたいなのの下である程度の人間は庇護され、その枠組みに入れない人々はすったもんだをしている。アンジェラの目的は都市の情報を集め、束ねることで至高の一冊へとたどり着くことだ。つまり内臓漁りで糊口をしのいでいるようなチンピラや、武器をブンブン振って喜んでいる程度のやつらを何百匹集めても目標にはたどり着けない。だが、こういう奴らを呼び、噂話が都市を駆け巡るようになって図書館が有名になるにつれてだんだんと都市の対応は変化しはじめる。ゴロツキは便利屋になり、便利屋は組織でやってくる。そうしてやってきたやつを殺して本に変え、有用な情報を得る。それをエサにしてまた新たな情報をおびき寄せる。図書館はよくできた捕食動物の習性めいたシステムで成り立っている。

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ゲストの情報は本にならなければ図書館に還元されないが、司書たちはゲストが図書館に向かう経緯を断片的に見ることができる。ローラン曰く盗み見であり、このヴィジョンを見ることでそれぞれのゲストの性格や組織の一端に触れることができるだろう。ローランはそれを見てなにかしらのコメントをし、アンジェラへと都市の生きた風景を伝えていくわけだ。当然のことながら戦闘前のゲストたちは生きており、いつものように仕事に向かい、図書館で戦い、そして死ぬ。この工程を経て本となる。その生と死が淡々と処理され、軽口とともにローランによって伝えられていくさまはまるでアンジェラと旅の観光をしているような気安さがある。この独特の読み味はクセになるはずだ。当然、図書館とは何ら関係のない事件に巻き込まれているゲストもいるし、図書館だけが主人公ということは一切ない。そういう群像劇の面白さも内包せし物語だということをわからされるだろう。

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戦闘を通じて手に入れたゲストたちの本は燃やしことで「コアページ」という装備になる。これはロード・トゥ・ドラゴンにおけるユニット的なものであり、一つ一つにストーリーが付いている。その内容はゲストが組織で担っている役割や、あるいは都市に生けるもののありふれた生活や常識。そして気の置けない仲間との交流や、出会いの記憶だったりする。ゲストたちの生きた肉体は失われるが、そういう輝かしいものは図書館へと蓄えられる。そのさまは残酷だが魅力的だ。やがてキャラクターのストーリーを読むためだけにゲストの本を得たいと思ったとき、我々は一プレイヤーから司書となる。精神的にだ。

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ローランとそれぞれの階層を指揮する司書であるセフィラたちとの交流も興味深い。セフィラは前作であるロボトミーコーポレーションでも幹部をやっていた連中で、正直あまり気乗りしない感じでアンジェラに付き従っている。アンジェラとセフィラの仲は最悪で、何が起こったのかは断片的にセフィラの語ってくれるから前作をやっていなくてもわかるはずだ。ローランは振り切れたコミュニケーション能力と共感力でそれぞれのセフィラに対応し、アンジェラとの緩衝材になったり、カウンセラーめいて悩みを聞いたりする。そういう中間管理職的な能力に秀でたローランがいることで図書館の歯車はなんとか回っているわけだ。現行のストーリーまで見た感じでは、あともう少し仲が深まればローランを中心に全員でBBQをしてもおかしくはないと自分は思った。ローランはそのくらいヌルヌル潤滑油かつクッションだ。

・司書のカスタマイズが止まらなくなる

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それぞれの階層を担当するリーダーはローランとセフィラたちだが、一般戦闘メンバーの司書のことも忘れてもらっては困る。こいつらにはカスタマイズが施せる。名前、称号、外見、さらにはシーンごとのセリフも自由自在だ。ゲーム内に存在するセリフを見たところ、一般司書たちは設定上は前作でロボトミーコーポレーションの職員をやっていたやつらのようだ。だが、すべてをカスタマイズできるということは己の思う司書が作れるということに他ならない。この司書は腕利きのやつか? あるいは腰抜けだが幸運にも生き残ってきたやつか? あるいはそもそもロボトミに全然関係してないやつでもいい。そうして我々の脳内に生きている何者かを司書として出力することができる。これは好きなやつにとってはたまらないはずだ。

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(画像の中央ネタバレ防止)

胴体のヴィジュアルは装備であるコアページが反映される。これは本となったゲストの見た目が採用されるということだ。だがアップデートによりLvMaxにしたコアページの外見であればどれでも投影できるように便利機能が搭載され、装備とは別に外見を好きに設定できるようになった。「強い装備を付けたいけどやっぱりローランは黒のスーツでビシッと決めてるのが……いい……」そういうこだわりを一つ一つちゃんと追求できるということだ。だが、装備の見た目ということは自由度が低いのでは? そんなことはない。大抵のゲストは三人一組くらいで行動し、男女ともにバリエーションがあるのでアーリーアクセスである現段階でも司書の服装にはかなりの幅が持たされている。今のところはトンチキ衣装は少なく、現代的なスーツ姿などが多くて使いやすい。

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装備であるコアページのカスタマイズも司書の個性を出す重要なファクターだ。こいつは斬撃を得意とするのか? 貫通か? 打撃か? あるいは守備や回避に長けているのか? 火傷や麻痺のような状態異常専門業者か? ラーメンは塩か? 醤油か? そういう創作意欲……脳内から出力する際の解像度を求めるやつなら、こうした戦闘要素も余すところなく理想の司書作成に取り入れていけるはずだ。好きにやるといい。実際にできあがった司書が強くなるかはともかく、出力したときの喜びは望外のものだ。
そしてカスタマイズにはさらなる深奥が存在する。

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何だこれは……? これはつまり、そういうことだ。ルイナでは公式にカスタム素材を用いてのキャラクリエイトが認められており、髪や眉、目や口などのパーツを作って単純にフォルダにぶちこむことで創作性を1000%発揮できる。これは自分がロードラで一番お気に入りだったオズワルドを参考にして描いたものだ。これは一応は髪パーツだが、デカすぎるので顔を覆い、結果的にマスクのようになっている。好きな髪、顔を作ることができるということがどういうことかわかったはずだ。もともとあった自由度という枠組みを破壊し、遥かなる地平線の先までの景色が見えたか? ここからがこのゲームの真骨頂というわけだ。

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セリフも変更した。違和感がまったくない。

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オズワルドが……司書になって……立っている。

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カスタム素材の自作というのは一見では敷居が高そうに見えるが、基本的には髪ならば「デフォルト」「サイド」の二枚を作ってフォルダに放り込むだけで簡単だし、戦闘はかなり引きの画面の上にアップデオートの度に加速化しているので多少ズレていたり顔がデカすぎていても何の問題もない。事実、このオズワルドは頭がデカすぎるが戦っているところを見ると自分は感動したし、これにケチをつけるやつには容赦をしないだろう。だが後でズレくらいは直すかもしれない。要するにそういう気軽さで自分の描いたものを取り入れられるということだ。ハッキリ言って画面上における司書はかなりちっさいし、その中で髪とか目とかをちゃんと見る機会はそんなにない。描いたときに「ここの線がヘニャヘニャだ!」と思っても実際見ると些末なことで、画面上まったく気にならない。。つまりある程度は雰囲気でなんとかなるので、通信簿の図工が1だとかでクヨクヨ悩んでやらないのは無駄だ。まずはやってみろ。なんとかなる。

これは頭だけだが、やる気が噴水のように湧き上がってとめどないやつであれば胴体であるコアページを自力で作成する方法も公式が紹介している。こっちは攻撃や回避、防御とかの差分を全て描かないといけないはずなので、2枚ずつくらいの画像で事足りる髪や目よりもむつかしいことは確実だ。コアページのカスタムについては自分もまだやってないので詳しくは知らない。ただ一つ言えるとしたらこのカスタマイズ機能の度重なる追加によってついに司書は頭からつまさきまで自由を得たということだ。自分の脳の中でもうれつにやりたいキャラがいるなら、全力でやってみるのも手だ。

・ルイナはどんどん更新される

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今回文章にして説明したのはルイナという巨大図書館のごくごく一部に過ぎない。実際自分もシステムを把握するのには時間を要したし、未だ様々なアップデートによってゲームそのものが生き物のようにグネグネと姿を変えている。だが全体的には着実に良くなっているし、バグなどの修正も早い。昔は文章の中に小さな□がたくさん入っていて読みづらいことこの上なかったが、それもある程度ちゃんと直った。アーリーアクセスということは正式版ではないということなのでこれから思いがけないことが起こる可能性もあるが、このライブ感は他では味わえないだろう。自分はルイナを見つけたとき、ある魅力的な文言に目を奪われた。それが次の文だ。

“漫画、小説が連載されるような形でストーリーをアップデートする予定です。プレイヤーのフィードバックを迅速に受けつつ改善を施し、完成させる予定です。”

自分はマンガの連載や小説の連載が好きだ。一時期やっていたロードラやスドリカのようなスマホゲームも、恒常的なアップデートが一番の楽しみでプレイしていた。少しずつでもコンテンツが拡張されていき、世界が広がっていく。その最前線を眺めるのは他にはない楽しさだ。この魅力はわかるやつにはわかるだろう。いまのところルイナはだいたい一週間に一回はアップデートされ、めちゃめちゃ強い敵が出てきてビビったり、攻略を練ったりしている。他の時間ではカスタム素材を作ったり、そもそもルイナのことを考えずに生活していたりする。この独特の距離感は正式版となってからは味わえないかもしれない。自分はアーリオーアクセスだからやらないやつは腰抜け、みたいなくだらないあほの決めつけや古参司書マウントには興味がない。そんなのは人それぞれだ。自分は今、やりたいからやる。

今日のところはもうアゴッチ島に帰るが、これからやる気になったらダイスバトルの戦略とかデッキレシピみたいな攻略記事をすることも十二分にありえる。だがそもそもアーリーアクセスなのでこの記事に書いたことも全て遠き過去の情報になり、次に図書館にたどり着いたらそこはローランの図書館ハーレム帝国AVGになっているかもしれない。だが自分はそういうことも織り込み済み、覚悟の上でこうして記事をやっている。大事なのは今だからだ。今……自分は確かにこの図書館で懐かしい記憶の中の一冊を見つけ出そうとしている。そういう体験がしたいなら、迷うことなく飛び込んでこい。今回は以上だ。

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ドーモ! ドネートは常時受け付けています。 ドネートはときにおやつやお茶代に使われます。