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オクトパストラベラーはニンジャの名前ではなかった(レビゥー記事)

ドーモ、あごるんです。
一年を掛けてロード・トゥ・ドラゴンの全キャラクターについて
振り返っていく記事を企画・完遂した後も自分の旅は終わっていない。例えコメントオーに「スーパーコピーブランド専門店」「高級サングラース レイバン」などのファッキン・スパムが降り積もり風情のある電子墓標と化しても、まだ自分の道は続いている。具体的には新大陸であるこのnoteに道が繋がっており、最近たどりついた。

さて、今回ここへ砦を築いたのはSwitchで発売されたRPG、「オクトパストラベラー」のレビゥーをしたいからだ。いきなりロードラと関係のないゲームの名前が出てきたことに違和感を覚え、陰謀論……やがて宇宙の意志を疑う所まで行き着く者も出るかもしれないが、オクトパストラベラーとロードラは全くの無関係ではない。まずはそこから話しておこう。

オクトパストラベラーはニンジャの名前ではなかった

日頃ニンジャの脅威に怯える者、また備える者がこの横文字、「オクトパストラベラー」を読めばその響きからタコかなんかに類する邪悪なニンジャを
想起させ、すぐさま家に帰って早く戸締まりをすることを考えるだろう。しかし、恐れることはない。これはれっきとした新作ゲームであり、そして我らが愛するロード・トゥ・ドラゴンのディレクターを務めていた宮内継介氏がディレクターを任されているのだ。

しかし実のところ自分はすぐには飛びつかなかった。どころか最初は評判が出るまで静観する立場だったと言っておこう。確かに自分はロードラが終わってからの一年と三ヶ月、自らが納得するコンテンツを探す長い旅に出ていて、率直に言うと飢えていた。渇き切っていた。だが、宮内Dが関与するからと言って自分が愛していたロードラのミームをこのゲームが内包しているのか? と言われると全くの不明であり、偏った期待感のままにゲームを購入し、安易にプレイする……それはゲームを創り上げた人々へ対しても、そして自らに対してもシツレイな態度だという気持ちがあった。踏みとどまっていた理由はそれだ。

ゲームを買うカネでオキナワ旅行にでも行こう。パイナップルをもいだりなどの活動に専念し、オクトパストラベラーについては様子を見よう。当初はそう考えていた。だが今にして思えばその考えは甘かったと言わざるを得ない。

⇒【『オクトパストラベラー』インタビュー】1年弱かけて作ったシナリオを捨てる英断。そこから生まれた“ロールプレイ”の旅(ファミ通)

このファミ通のインタビュー記事の2ページ目を見て自分の考えは大きく変わった。オクトパストラベラーに存在する会話可能な町人……その全てには背景があり、幾つかのコマンドを活用することでそのストーリーを垣間見ることが出来る。このほぼ全ての町人のバックグラウンドを考えたのは宮内Dであり、これらの町人にスポットが当たる「サブストーリー」と呼ばれるクエスト群にはアクワイアチームが大きく関わっているという。

(番犬にもストーリーが付いている)

自分はたまに冗談交じりで「実質ロードラ」という言葉を使うが、本当は良くない。一部のエッセンスだけを切り取り、異なるコンテンツを同一視するような言葉を使うのはその双方に対して真摯な態度とは言えないからだ。
そしてハッキリと言っておきたいのはロードラとオクトパストラベラーは全く違うコンテンツだ。宮内Dが関わろうと、アクワイアチームが関わろうとそれは変わらない。

だが、オクトパストラベラーにロードラで得た体験を感じさせる何かがあるのならば貪欲に摂取し、自らの糧としていきたい。それがロードラから連なっている自分の道でもあり、欲望の正しい在り方でもあるからだ。

相変わらず前置きが長くはなったが自分はオクトパストラベラーを購入に踏み切り、これを書いている現在も楽しんでプレイしている! そこでゲームとしてと言うよりもロード・トゥ・ドラゴンを知っているユーザーにオススメしたいポイントに絞ってコメントしていく。

NPCが生きている

まず最初に断っておきたいのだが自分はRPGを全くと言って良いほどプレイしたことがない。なので「JRPGの本質が~」みたいな小難しい眠たいことを言ってダラダラと語ることへは欠片も興味がない。当然この暗がりの世界、悪しきインターネッツ界隈でそんな知識をひけらかすやつはしこたま頭を殴られてザクロジュースに変わるだろう。今回はそんな話ではない。

ここで自分がアッピールしたいのはインタビュー記事だけでは分からないふんいき……NPCの息づきについてだ。

自分がオクトパストラベラーの真髄、そしてロードラのミームを感じた最初の瞬間はこの老人との出会いだった。この記事そのものを書くきっかけになったと言っても過言ではない。この老人は町の入口に立ち、この一言だけを喋る。RPGを知る人々ならば既視感のある光景なのではないだろうか。
オクトパストラベラーの町の入口には確実に一人は町の紹介をするNPCが立っている。当然、自分にとっても新鮮みのないNPCに見えた。

オクトパストラベラーには「コマンド」というシステムが存在し、8人のキャラクターごとに異なるコマンドを持っている。踊子・プリムロゼの固有コマンドは「誘惑」という。「誘惑」に成功するとNPCはパーティーの仲間となり、戦闘に駆り出させることが可能となる。

最序盤ではあったのだが老人の強さは何故か他の若いNPCよりも一段高く、
周りのNPCの強さをある程度抜け目なく確認してから自分は再び「誘惑」で
老人をパーティーへと誘った。

戦闘で加勢を頼むと老人には確かなカラテがあり、この当時のメンバーよりもかなり高めのダメージを敵に与えることができた。これに対して自分は特に何も思うことはなく、ロースンのフラッペのマンゴー味を食べながら「そういうものか」と適当に流していた。

この直後メインシナリオの序章が一段落を終え、町へ戻った時に自分は目を疑うこととなる。

これは「探る」「聞き出す」というコマンドを使って知ることのできる
NPCのストーリーだ。つまり例の宮内Dが担当した部分だ。
これを読んで老人を見る目が一変したのはもはや言うまでもない。

温厚な老人だが若かりし頃は「砂漠の死神」の異名を持つ暗殺者だった……そういう背景を持っているのだ。遅まきながら他のNPCよりも戦闘における強さが高かった理由を自分は理解した。主婦、兵士、商人、砂漠の死神。このラインナップで誰のカラテが抜きん出ているかは一目瞭然だからだ。

これは魔物を「けしかける」というコマンド。NPCと魔物で一騎打ちし、勝てば経験値をもらえる。このコマンドへの反応もキャラクターごとにまちまちであり、かつて砂漠の死神と呼ばれていた老人はさほど動じていない。

「買い取る」「盗む」、これらのコマンドを使うことでNPCが所持しているアイテムを手に入れることができる。老人が持つのは察知のピアス。
強者のアトモスフィアを確かに感じられる……。

ひとしきりのコマンドを試してようやく理解したのは各NPCごとにそれぞれ、コマンドへのリアクションが違うということだ。少なくとも、
「試合」「けしかける」「探る(聞き出す)」「誘惑」「導く」「買い取る」「盗む(失敗)」の七種類は確実に用意されている。旅を進めていき様々な場所を回れば分かることだがNPCの数は決して少なくはなく、膨大なキャラクターが世界に点在している。

この老人はかつては砂漠の死神と呼ばれた暗殺者だったが依頼主に裏切られ、自らの娘を亡くしたことで稼業から手を引き……今は町の入口に立って
人々を見守っている。「試合」「けしかける」などの戦闘にさほど動じないのはその戦闘経験があってこそだ。そして老齢となった今も、若く戦闘経験がない町人には比較にならないカラテの覚えがある……。

自分はそんな人物のことを一NPCとして「そういうもの」と定義し、背景を知るまでその強さに何の感慨も抱いてなかった。間抜けな顔をして画面の向こうを見つめクリームにマンゴーの果肉を浸して悦に浸っていたというわけだ。だが老人は愛する者を亡くした痛みを堪え、深い失意の中で高いカラテを少しずつ錆びつかせていった者であり、自らの業が愛する者の命を奪ったのだという苦悩を抱えて生きてきた。

言うまでもなくそこにはドラマがある。真の男の物語がある。
フラッペを食べている場合ではないことを自分はわからされたということだ。真の男のドラマ、そしてカラテによって骨の髄まで理解した。
そこから自分の本当のオクトパストラベラーが始まった。

「試合」を申し込まれた老人はかつての過去を想起させながらこの
言葉を呟いているのだろうか……そういうことに思いを馳せることができるのがこのオクトパストラベラーの大きな魅力だ。だきょうのない情報量でカヴァーされた人々は本物の人生を生きており、このゲームは一人ずつのNPCを血の通った人間だと思わせるだけの描写の暴力によってなめくさったプレイヤーの頭をじゅんばんに殴りつけている。

この洗礼を受けた自分が思い出したのはレオニードが洞窟を内側からばくはしたときの気持ちや、記憶をなくしたエドガーとワルプルギスが出会ったときの空気の停滞感……そういうことを想像する気持ちだ。スマッホンの予測変換や夏の暑さで惰弱になっていた心が再び火にくべられ、溶け、叩き直され、くべられ……オクトパストラベラーは短期間で自分を一本のりっぱな槍にした。折れない槍だ。しかも飛んでいく。鋭い投槍だ。

話が長くなったのでもう記事としては終わろうと思うがまだまだ熱が冷めやらず、書ききれない魅力がある。なのでこのnoteを使ってオクトパストラベラーの記事を幾つか殴り書いては置いていく予定だ。言うまでもないがゲームとしてオススメだ。ロードラがどうとかそういう話とは関係なくよく出来たゲームであり、紹介を続けていく。

ロードラをプレイしていてこのゲームが気になるというユーザーには
AMAZONのレビューの上から4つを見てしたり顔をしたり、配信者の動画を見てゴキゲンなコメントをしたりなどの精神腐食行為の中でこのコンテンツを消化して欲しくはない。そういう目線へ立ちたくなるほど素晴らしいゲームだと分かって欲しい。そして誰かがわかってくれるまで自分は戦うのをやめるつもりはない。掛かってこい!

では以上だ。

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