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センスは知識からはじまる を読んで

本の詳細

センスは知識からはじまる 

著 水野学

朝日新聞出版

2018.5.24 読了

感想

センスの解釈について

この本を読んで、センスというものは数値化できない物事の良し悪しを自身に蓄積された知識を用いて判断することであると、僕は解釈しました。
センスは大方知識で決まるという考え方自体は、ゼミの先生から教えていただいたことがなんどもありましたが、改めて自身で言語化する機会を得たことで腑に落ちた気がします。


知識を増やし、センスを磨くトレーニング

本書の中には「知識を増やすコツ」として、王道を解く、流行を解く、共通項を探すといったことが示されています。

これは少し思いついただけですが、現在自分が取り組んでいる「#観察スケッチ」にちょっと一手間加えることができるんじゃないかと思いました。
観察スケッチとは、まだ理解が及ばないことも多々あるとは思いますが、ざっくりいうと世の中にあるものを観察して、特徴、形状、その他諸々観察を通じて思ったことや感じたことを絵や文字を通して紙にかく、というものです。
これに加えて、「その製品が目指す立ち位置はどこにあるか」ということを考えるのも面白いんじゃないかと思いました。
というのも、その製品の「王道」と「流行」を逆算して考えることは、センスの使い方を学ぶいい練習になるのではないかと考えたためです。
これは自分なりに形にして見ようと思っています。


デザインの切り口について

この本の中に『みんなが「へぇー」と思うものは、ある程度知っているものの延長線上にありながら、画期的に異なっている「ありそうでなかったもの」です。』という一文があります。
これに関係することがつい最近ありました。僕の所属するデザイン工学科の製品デザインの授業で、ボタン電池のブリスターパックのデザインに関する課題が出ました。
その中で僕は、自身の趣味である自転車から「自転車アクセサリー(サイクルコンピュータ、ライト類、ペダリングモニターなど)で使われているボタン電池はCR2032だ!」ということに着目し、それを活かしたデザインを考えつきました。
このデザインを他の人に見せた時、なかなか反応がよかったと思います。

この本の後半で書かれていましたが、自分が趣味、研究等で持っている深い知識と、デザインしようとする対象をうまくかけ合わすことができれば、自分だけが発想できるものになる、という内容も、自身が行ったデザインの何がよかったのかを振り返る機会となりました。

思考停止の「良い」

『「感覚的にこれが良いと思うんです」は禁句。かっこいいから、可愛いからといった漠然とした表現は一切しません。』といったことがこの本には書かれています。

これには自分でも思い当たる節はありましたし、それにもまして、iPhoneのようなものに対する権威主義的な崇拝から「この曲線は良い」や「フラットな面が美しい」といった発言への、なんとも言えない気持ちが言語化されてしっくりきました。
スティーブ・ジョブズがiPhoneをはじめ様々な製品の細部をこだわり抜いて世に送り出していたことはこの本にも書かれている通りです。しかし、なぜその形状はそうなっているのか、またそのためにどういった工程を経ているのかを自分で思考し、デザインの過程を自分なりに噛み砕いて解釈することもせず、おうむ返しのようにかっこよさげなセリフを吐いている人への憤りではないのかと思います。盛大に私怨も混じっていますが。

センスを磨く


本書の後半に、センスを磨くにはコツコツ時間をかけなければならない、といった節のことが示されています。
僕もほんの一ヶ月前から様々なことに精力的に取り組めるよう心がけてはいますが、たった一ヶ月と言いつつも結構変化していると自負しています。それは毎日観察スケッチや読書等を続けているからこそ得られた変化であり、一朝一夕で磨かれるものではないと思います。センス、からは逸れるかもしれませんが、毎日何かを続けることの重要性を再認識することができました。

ps.
本書に影響されて女性向け雑誌を買ってみました。店員さんの目がちょっと辛かったです。頑張って読みます。


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