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誰のためのデザイン?をまとめた。

本の詳細

誰のためのデザイン?
認知科学者のデザイン原論

著 D.A.ノーマン
野島久雄訳

新曜社

2018.5.21読了

この本を読んだ経緯


デザインを専攻するにあたって、ゼミの先生の勧めと、デザインの歴史を学ぶという意味合いも含めてこの本を購入した。しかしながら今回読んだ本は、改訂版ではなく初版なので、アフォーダンス等の意味のズレがあるかもしれない。改訂版はまた購入しようと思う。


まとめ

本全体を通して、認知心理学の視点で「デザインとはなにか」ということを実例を交えながら述べでいる。

一章
日常生活で使っている道具を例にあげながらアフォーダンスとは何かを説明し、アフォーダンスと制約の対応づけにより、正しい概念モデル(その道具がどういったものか、どういう動きをするのか等、その道具への理解の仕方?)を構築する重要性を説いている。
アフォーダンスとは「物事の知覚された特徴あるいは現実の特徴、とりわけ、そのものをどのように使うことができるかを決定する最も基礎的な特徴の意味」(p14、8)と記載されている。
後半ではフィードバックの重要性も述べている。

二章
行為のミスについての説明を認知心理学の視点で行っている。
機器を扱う際、誤った操作をしてしまったことを自身の責任と捉えてしまうことについて述べている。また、アリストテレスの素朴物理学や学習された無力感、教えられた無力感等をそれぞれ説明している。
後半では、行為を七つの段階に分けて説明している。
・ゴールの形成
・意図の形成
・行為の詳細化
・行為の実行
・外界の状況の知覚
・外界の状況の解釈
・結果の評価
そして「行為の7段階理論」が、一章のデザイン原則にどう関わっているかを述べている。

三章
道具に対する正確な知識を完璧に持っていないにも関わらず、正確な行動を行うことができるのは
・情報は外界にある
・極度の精密さは必要ではない
・自然な制約が存在する
・文化的な制約が存在する
の四つの理由による。
その後、道具の使い方と動作の自然な対応づけが大切であると述べている。

四章
これまでに述べられた、制約とアフォーダンスについて深く掘り下げられている。
制約は
・物理的
・意味的
・論理的
・文化的
の四つですべて網羅される。
制約がとのようにデザインに影響を与えるか、ドアやスイッチを例に挙げて説明されている。

五章
人間のエラーをslipとmistakeに分けている。
slipは自動化された行動でのエラー、mistakeは意識的によく考えることによって発生するエラーのことを言う。
slipを防ぐためには、slipが生じる前での対策と、生じたあとの対策が必要である。
slipの発見は容易であるが、mistakeは発見が遅れる傾向がある。というのもエラーを起こした時点ではその解釈が極めてもっともらしいと判断しているためである。

六章
実際のデザインの流れに沿って、試作と評価のサイクルを回すことが重要であると述べている。しかしながら改良の際には、様々な力に従わざるを得ない場面があるということも説明している。
デザインするにあたって、そのユーザーをデザイナー自身としてしまうことがあることや、美しさを第一としてしまうこと、特定の人々のデザインを例に挙げ、デザインの複雑さを述べている。

7章
全体を通してのまとめを行い、ユーザー中心のデザインが重要であることを説明している。また、難しい作業を単純にするための七つの原則を改めて説明している。
七つの原則に記載されている標準化は、文化的な制約の一側面にすぎないことを述べている。
最後には、デザインを通してどう社会を変えていくかを説明している。

感想

デザインが社会的にどのような立ち位置に存在するかを理解することができた。
内容は実例を用いた方法論が多いが、デザインをする上て重要なポイントを漏れなく抑えられている本であると思った。
しかしながらまだ理解が不完全な項目があるので、繰り返し読み込んでいきたい。

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