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上映素材納品

完成したDCPを持って

完成したDCPの入ったハードディスクを受け取ったので早速ケイズシネマに持っていく。
一本連絡を入れて預ければいい。
早めに納品できるのであれば早めの方がいいだろう。
実際、時々、上映機にDCPを入れることをインジェクションというのだけれどエラーが出ることがあるという。何が起きるかわからない以上、渡せるうちに渡した方がいい。
それに家に置いたままにする意味がまったくない。

今のハードディスクはそれにしても堅牢性が高い。
知らないうちに科学者たちが新しい素材をみつけて商品化して搭載されているのだろう。かつては機械だから運ぶのに細心の注意をしていたけれど、今はそもそもパッケージとして耐衝撃性能が上がっている。

Coming Soon

ケイズシネマに到着してみると、外にポスターが貼ってあることを確認する。ついでだと思って掲示板を見ると、Coming Soonの列の末席にチラシも掲示されていた。
この辺に来た時は僕はこの掲示板を必ずと言っていいほどみる。
今、何をやってるのかなぁなんて思いながら。

エレベーターをあがって受付に渡そうとすると、ロビーで打ち合わせをされていた。近日上映の作品だろうか?わからないけれど、ロビー設置のポスターの前に座っていたから写真は撮影できず断念。
そのまま上映素材を手渡して、お疲れ様ですと退去する。
あっという間に納品は終わった。
もうスクリーンで上映される準備は終わったのだ。
もう編集も出来ないし、やっぱり直したいなんてことも出来ない。
一つ自分の手を離れた。
そしてそれはどんどん加速していく。
完成したその日から作品は自分の手から遠く離れていく。

いずれ鑑賞してくださったお客様の心の中に。

スケジュール

毎日のようにケイズシネマのスケジュールを確認する。
3月初旬のスケジュールまでは既に確定して掲載してある。
中旬に一週間ほど上映会があってそれが夕方までだから、ほぼ直前までのスケジュールが発表されている状況ということだろう。

映画『演者』上映最終日の翌日から上映される作品のニュースも確認した。へえ、この作品が直後から上映されるのか。なんて思う。
もう間もなくかな?
スケジュールが見えてくるだろう。

世界は前に進んでいる

厭なニュースが毎日流れてくる。
前時代的な犯罪まで増えている気がする。
それでも僕はやはり世界は少しずつ前に進んでいるのだと感じる。
かつて新宿昭和館があった地にケイズシネマという綺麗なミニシアターが出来ている。あのいかがわしくて馬券が落ちていた一角はもうかなり美しくなった。
フィルムを現像して運ぶのではなく、コンパクトなハードディスクになった。そのハードディスクさえ堅牢に進化している。

例えば今の道路のアスファルト。雨が降ってもあっという間に乾くのは実は科学者たちが研究を重ねて新しい素材を発見してくれたからだったりする。どうしてアスファルトなのに水はけがよいのか僕にはさっぱりわからないけれど、そうやってあらゆるものが進化して、あらゆる不便が解消されて行っている。コンクリートに猫の足跡がつかなくなったのも速乾になったからだ。それも僕たちが気付かないところで、僕たちの知らないうちに世界は前に進んでる。

映画がハードディスクから映写機にデータをコピーされる。
確かに僕たちは子供の頃にみたアトムやドラえもんの世界をすでに生きている。
今、21世紀なんだもんな。

信念と転向と更新と

最近は何かといえば時代が違うのだからアップデートしろなんて言われる。頭の中がアップデートされていないと大変なことになるらしい。
そんなことを言われながら、でも実は、そんなにお前、大して変わってねぇぜ?って思うことの方が多い。自分たちの生きる世界が新しいと思い込みたいのかもしれないが、まぁ五十歩百歩だよ。
だってかつては王様やら殿様やら専制君主制だったんだぜ、世界中。どこもかしこも。
王様の悪口なんか言おうものならすぐに投獄さ。
それが今じゃ誰だって自由に発言出来て、こうして自由に映画も創れる。
そんな社会の変革をこの数十年していないじゃないかって思うよ。

アップデートも必要かもしれないけれど。でも今日まで生きてきて思うのは、やっぱりブレない信念は大事なものだよ。それがないとさ。なんか空っぽじゃん。なんだかわからなくなっちゃうよ。
大事なことは信念を持つことさ。その上で更新していけばいい。気付かないうちにね。
大事なことがアップデートみたいな考え方はそのうち元がなんだったのかわすれてしまうよ。
そして信念を貫くなら貫けばいい。
まぁ、ある日、転向することもあるかもしれない。それもいい。
矛盾してるように思えるかもしれない。
変わらないことと変わることが両方大事だなんて。

Coming Soon+

厭なニュースが終わらない。
老人を縛って殴るなんてこと、考えるのも嫌だ。
戦争が終わらない。
今も空襲警報に怯えて暮らしている人がいるだなんて。

それでも地球は回っていて。
それでも世界は一歩ずつ前に進んでる。

信じるべきだと思うの。
世界が前に進んでいることを。
そしてそれが良い方向だということを。
もうすぐだ。
もうすぐだ。
そう思いながら重くても一歩だけ足を前に運ぶ。

気付いたら意外な場所まで進んでいるよ。
だってほら。

僕みたいなものが映画を公開できる日が迫っているんだから。

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。