見出し画像

事変

日本で一番ミニシアターと呼ばれる映画館がある街は渋谷だろう。
その渋谷のミニシアターで一番歴史があるのがユーロスペース。
そんなことを考えてい見たりすると、わあ!ってなる。
映画「演者」がユーロスペースで上映されるだなんて!となる。

渋谷という街は不思議な街だ。
最先端のアートの街であったりファッションの街であったり。
若者文化の生まれる場所と呼ばれたり。
その時代時代で何かが生まれていく場所。
子供の頃から渋谷に足を運ぶ機会はあったけれど。
街はどんどん景色を変えていくのに、源泉は変わっていないかのような場所。
東急が切り拓き、西武がアートの街にした。

11月なんかあれでしょ?渋谷事変が盛り上がってる頃でしょ?

オシャレなイメージがつきすぎていて避けていた頃もあったけど。
でも実際に来てみると想像以上に人間の匂いがする。
これはなんなのだろう?
新宿のあの感じとも違うんだよなぁ。

色々な一角がある。
センター街とかさ、奥渋とかさ、宇田川沿いとかさ、道玄坂とかさ。
まぁ、想像よりもずっと広い。原宿や表参道まで拡がればもっと。
僕にとって一番思い出が多いのは代々木公園なのかなぁ。
あそこは最高だよな。

映画「演者」は渋谷じゃない?と言われた言葉についてずっと考えてる。
考えてもあんまりまともな回答は出てこない。

なんかさ。ここのところ不思議な感覚を持っているんだけれどもさ。
是枝監督の「怪物」とか、宮崎監督の「君たちはどう生きるか」とか、その、なんというか話題になった作品には、内的なベクトルがとても強いんじゃないかって感覚がある。
いや、スカッとするような作品もいくつも話題になってるんだけどさ。
アトラクション的にただただ楽しい映画も素晴らしいのだけれど、それだけじゃなくて何かの思考に触れるような作品が浮上してくる感じ。
いや、そんなこと言ったら毎年そうだよ!と言われそうだけれど、ビッグネームな監督たちがその色を強くするということが重なるっていうこと。
両方、観たのだけれどやっぱり意図的にそういう何かを表現していると僕は思う。いつもよりもより作家性が強いというか。

僕の中から出てきた「演者」という作品もそういう何かを受信してこんな作品になったのかもしれないなぁなんて思う。

日本で一番ミニシアターが多い街。
何かが生まれてくる街の渋谷が合っていると言われたのはその辺かもしれないと思い始めている。
わからないよ。わからないんだけれど。
集合無意識のようなものがあったりしてさ。
それが形になったのがあらゆる作品なのだとしたら。
何かそういう電波が集まる街だと思うの、渋谷は。

パーソナルが揺らいでいるのかな。
作家性が強い作品が生まれるというのはそういう背景の時代が強いと聞いたことがある。
全てが同じ色に塗りつぶされるような同調圧力が強くなるほど、それを作家たちは打ち破ろうとする。
確かに僕たちはそんな徹底的な同調圧力の三年間を過ごしてきた。
渋谷は自由だもんな。コロナなんかなかったかのように活力がある。

どこかでみたことがあるような映画ではないと思っている。
いや、みたことがありそうで、ない映画というか。

こっちこそ渋谷事変だぜ。


映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
題字 豊田利晃

「嘘ばかりの世界」だ
  「ほんとう」はどこにある

【上映館】
・2023年11月18日(土)より
ユーロスペース(東京・渋谷)
http://www.eurospace.co.jp/

出演
藤井菜魚子 河原幸子 広田あきほ
中野圭 織田稚成 金子透
安藤聖 樋口真衣
大多和麦 西本早輝 小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟
録音 高島良太 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希
制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

◆終映(特別限定先行上映)◆
・2023年4月15日(土)16日(日)※限定2日間
シアターセブン(大阪・十三)
・2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)※限定3日間
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
・2023年3月25日(土)~31日(金) ※限定1週間
K'sシネマ (東京・新宿)

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。