【海の日】実はよくわかっていない? 海の神様「ワタツミ」に迫る
7月の第3月曜日は国民の祝日・海の日。令和4年は7月18日です。
海の日は「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨とする日です。
実は日本が唯一!? 国民の祝日「海の日」
世界的に見てカナダのOceanDay(6月8日)やアメリカのNational Maritime Day(5月22日)など「海の日」に相当する日は存在するものの、国民の祝日として「海の日」を迎えているのは日本だけなのだそうです。
海の日はもともと、1876年(明治9年)に明治天皇が東北地方に巡幸した際に、灯台視察船「明治丸」で航海し、7月20日に横浜港に帰着したことを発露とし、海運の重要性を認識し、海運・海事関係者に感謝する「海の記念日」として制定されていました。
「海の日」として国民の祝日に制定された当初は7月20日でしたが、2003年に改正された祝日法のハッピーマンデー制度により、7月の第3月曜日へと変更されて現在に至ります。
海の神「ワタツミ」
島国で海洋国家であり、海が生活の身近にある日本。
古来より八百万の神様を敬い、崇拝して生きてきた日本では、海の神をはじめ山の神、田の神、水の神とあらゆる所に神が宿ると考えられています。
日本神話に出てくる海の神様といえば、「ワタツミ(大綿津見神」です。
「ワタツミ」は日本神話では神産みの段でイザナギノミコト・イザナミノミコトの二神の間に生まれる海の神様ですが、実はワタツミという名を持つ神様は複数存在し、古事記や日本書紀など、登場する作品ごとに様々な別名があります。
「ワタ」は海の古語、「ツ」は「の」を表す上代語の格助詞、「ミ」は神霊を表す言葉です。つまり、「ワタツミ」は「海の神霊」という意味です。
そんなワタツミという神様は、その実態はよくわかっていないという「謎の神様」でもあります…!
「神産み」で生まれた「ワタツミ」の他にも、イザナミを追って黄泉の国に行ったイザナギが、帰りに海で禊ぎをした際にワタツミの名前を持つ3柱の神々がお生まれになられます。
この3柱の神々は、海を司り海面・海中・海底を守護する神々というだけでなく、身禊で生まれた「祓えの神」という性質をもった神々でもあります。
海と祓えとは関係が深く、古くは記紀神話に黄泉の国から戻ったイザナギが黄泉の国の穢を、海水で禊祓をおこなって落としたことが記されています。
また、神社では海の恵みに感謝して、海産物や塩を神様へのお供え(神饌)として捧げたり、祓えにも塩が用いられるなど、神社と海とは切っても切り離せない密接な関係にあります。
私たちは自然に対する畏敬の念や感謝の心を、身近な実際の体験だけでなく信仰や説話を通して学び表してきました。
神話以外にも、浦島太郎、海坊主など海を題材にした伝説はたくさん残っています。
各地に残る伝承や民間儀礼からは、海からもたらされる恵みへの感謝と畏敬の念が表れ、その信仰を今に伝えます。
海の日には私たちの生活にも身近な海のこと、考えてみてはいかがでしょうか。
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