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グルマン小説「だし巻き玉子」上梓する


僕は13年間、大阪の放送局でラジオ番組を持ち、いろんなことを話してきた。
職業は音楽家でテノール歌手である。音楽のことは専門なのであれこれ話すのは得意ではあるが、番組内では僕の『食』に関する話がとてもウケた。音楽のこと以上に『食』を熱く語るので、聴いている人はその世界に思わず曳きこまれてゆくとよく言われた。
以前から飲食に関するエッセイや紀行文はJALの機内誌や月刊誌でも掲載されてきたが、常に『食』を主軸に置いた小説を書きたいと思ってきた。
そして、23年の正月明けから執筆をスタートして夏の終わりごろに完成させたのが『だし巻き玉子』である。

小説の舞台は現代の大阪。
主人公は大学を卒業して就職した会社をすぐに辞めてしまった大輔。彼は自室に引き籠って悶々とした日々を過ごす。
そんな彼は京都でやもめ暮らしをしている祖父から自分の誕生日に弁当を作って持ってきてほしいと突然頼まれる。しかも『だし巻き玉子焼』をメインにした『だし巻き弁当』をとリクエストまでされた。
料理なんてしたことのない大輔は、母の幼友達で今は大阪で教室を持っている料理研究家の丹下涼子に弟子入りをする。
最初はたかが玉子焼きと高を括っていた大輔だが、作り出すとそうは簡単にいかない。料理の世界の幅広さと奥深さ、その厳しさと素晴らしさをしだいに学ぶ中で自分の姿を見出してゆく。
彼は納得できるまでだし巻き玉子を焼き続けて、とうとう祖父に約束のお弁当を届けて自分も一緒に食べる。そのとき祖父がなぜ彼にだし巻き玉子をリクエストしたかが明かされた。

とそんなあらすじである。
ドラえもんと同じ誕生日の9月3日に四六版の大きさで130ページの短編小説ができあがり僕は感無量と言った気分になる。
出版は2回目だが、今回は自力ですべてやった。これがまた試行錯誤の連続で、失敗してはやり直し、また失敗して……の連続であった。
今後、ここで出版を簡潔にできるようにやり方や注意点を記してゆこうと思う。

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