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手持ちの機器に見違える鮮度とパワーを。BURSON AUDIO Soloist SL MK2 レビュー

アユート扱いの新規ヘッドホンアンプブランド

BURSON AUDIO(バーソンオーディオ)のヘッドホンアンプ「Soloist SL MK2」をレビューします。BURSON AUDIOはオーストラリアに拠点を持つヘッドホンアンプのブランド。Astell&Kern、ChordやAZLAを扱う代理店アユートの新規商品とあって期待が高まります。

オーディオの楽しみの一つに、「代理店選び」というのがあると思っています。アユ―ト、ミックスウェーブ、エミライ、finalなど、「ここが扱うならとりあえず聴いてみよう」と思わせる輸入代理店。アユ―トは香港のAcoustuneなど、新しいトレンドを作っていくようなセレクトでも楽しませてくれる代理店ですね。

さて、Soloist SL MK2はヘッドホンアンプ。サイズはティッシュ箱ほどありずっしりと重く、電源は壁からとります。据え置き専用ですね。価格は10万円近く。DAPに優秀機が揃い、据え置きでも、USB-DACと一体のヘッドホンアンプで秀逸な機器がある中で、ヘッドホンアンプに全振りしています。

持ち運びができず、10万円近くして、USB-DACは別に用意しないといけない。率直なところ、相当にいいサウンドでないと買う気になれない設定です。近い価格帯のイヤホンがいいということで、音の出口にはCampfire Audio 「DORADO 2020」を用意しました。聴いていきましょう。

躍動するサウンドと高いS/N

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まずはDAPから。使用するLOTOOの「PAW5000 MK2」は、10万円以下のDAPの中ではいまもトップクラスのサウンドと考えていますが、BURSON AUDIOを噛ませると激変しましたね。全ての音の鮮度が高まり、エネルギーが増大します。従来聴こえなかった音も様々に沸き上がり、さっそくヘッドホンアンプの力を見せつけられることになりました。

「エネルギーが増大する」といっても、元々のサウンドをやたらに強調して、ドンシャリに変えるわけではありません。一つ一つの音を磨き直して、背中を叩いて活を入れる。うるさくなるのではなく、鮮度が増す。バスドラには重みが増し、ヴォーカルにはつやが乗り、弦楽器には色気が出てきます。

このように個々のサウンドを格上げするのに、全体としてはむしろ透明度が高くなった印象を与えます。鮮度が増しながら、音同士のほぐれはよくなる。エネルギーは高まっているのに、全体のクリアさが増している。これはS/Nのよさのなせる技でしょう。すべての音のヴェールを1枚はぎ、フレッシュに聴かせる一方、バックグラウンドの静寂性は高まり、音と音の隙間や、無音時の静謐を表現してきます。これは電源部に物量を投入できる据え置き機の強みでしょうね。いやー、楽しい。

USB-DACをつなぐ

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次に据え置きのUSB-DACを接続します。音源はノートPCのハイレゾ音源からとります。使用DACはアムレックという新潟のメーカーの「AL-38432DQ」です。

この機器は3万円台ながら、ES9028Q2Mをデュアル構成で搭載する価格破壊機。下手な海外の高級機より良い音を鳴らします。AL-38432DQのヘッドホンアンプも十分に良質なため、試聴としてはここが正念場だと思っていました。

結論からいうと、BURSON AUDIOの圧勝でしたね。価格帯が違うので比較してはいけないでしょうが、まるで見違えるサウンドです。変化の傾向はDAPの箇所と同じです。これまで聞いた音に変な味を付けず、鮮度とエネルギー、S/Nという基本的な部分で確実にランクアップさせてくれる。

このあとMYTEKの「Brooklyn DAC+」でも試聴しましたが、20万円以上の機器のサウンドも明らかに格を上げてくれました。手持ちの機器を、ここまで軒並みランクアップさせてくれることを考えると、10万円は安いのではと思えてきます。

ヘッドホンを繋いでみる

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ここでDORADO 2020をヘッドホンに替えます。MEZE audioの99 Classicsというヘッドホンです。3万円台ながらバランスよく聴かせる優秀機ですが、こちらはサウンドのチェックというより、「ヘッドホンが鳴るか」のチェックですね。

アンプとヘッドホンの関係が如実に出るのは低音です。このヘッドホンはドライバーが40mmあるのですが、イヤホンに比べるとはるかに大きい振動版をしっかりとグリップし、ドライブできるか。

こちらも満点回答でした。いたずらに量に逃げてボワボワさせず、きびきびと明瞭な低音を鳴らすことに成功。余裕のあるヘッドホンアンプで聴くヘッドホンは本当に気持ちがいいですね。

使い勝手について一言

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ここまで良いことばかりを書いてきましたが、マイナス点も指摘しておきます。それはやはり、でかい!!画像の通り、ノートパソコンと並べたらそれだけでスペースが埋まってしまいます。重いですし、高さもある。縦置きもできない。DAC内蔵ではないのでここにUSBーDACを追加することになります。機器が増える分、接続ケーブルや電源もわずらわしい。机周りは確実にしんどくなります。

ただ、それでも関係ないのがオーディオファンなんですよね。その証拠に私は試聴期間中ずっと机に置いていました。

机が狭くなろうとも、ケーブルが地面をはって家族に白い目で見られようとも、音が良ければいい。不便だし単機能だし10万円する。でも、それを全部乗り越えて欲しくなるサウンド。それが結論でした。多くの方に聴いていただきたい魅力的なヘッドホンアンプです。

https://onzo.co.jp/products/506/