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イラストレーター、手芸作家向け「仕事とお金の授業」#2 打席に立つ

こんにちは大図まことです。今回の授業は前回の続きになります。まだ読んでいない方は是非これまでのを読んでください。

▼前回までのnote

前回の続き

せっかく見つけたと思った自分の仕事(手芸作家)がお金にならないというジレンマを打開するために行動に出ました。

アポ無しで手芸専門の出版社に作品の持ち込みをすることにしたのです。大人になった今は絶対出来ません。アポを取らずに行くのは相手の貴重な時間を奪うとても失礼なことなので絶対にアポ無しは真似をしないでください。当時アポを取らなかったのは単純に作品を見てもらう前に断られると思ったからです。

当時の私は手芸作家として定期的な収入を得ていく術が全くわかりませんでした。それでもなんとなく上手くいってそうな作家はみんな本を出し手芸教室を開きたまにNHKに出演しているという事だけはわかっていました。

まずは本です。とにかく本です。そう考えたら妄想が止まりません。今はまだ見つけられていないだけで自分の作品をその道のプロである編集者が見たらすぐに出版が決まりその本は全国の書店に平積みされ、増刷増刷で巨万の富を得る事ができ、教室を開けば満席で、先生ここはどうすればいいのですか?と質問攻めにあっている姿まで浮かんできます。

自分を原石だと信じ込んだ私は当時とても好きだった手芸本を何冊も出していた雄鶏社(残念ながら今は無いです)へ実家の父親から送ってもらった大きな登山用のリュックに作品を沢山詰め込んで向かったのでした。会社が近づくにつれて心臓がドキドキバクバクするのがわかります。犬の散歩途中に河原でエロ本を見つけた中学生以来のドキバクです。この気持ちわかりますよね?いざ目的地のビルを見つけると踏ん切りがつかずその周辺を何度も行ったり来たりしました。完全に不審者です。

意を決して中に入ると受付は無くセキュリティも緩くてあっさり上の階にあった編集部にたどり着きました。突然現れた登山者にびっくりする編集者に怪しいものではございませんと挨拶し、恥ずかしがりながらも作品を持ってきたので見て欲しいと伝えました。少し待たされたあと編集部の横にあったソファーがあるスペースに通されました。

やばい奴が来たという噂はあっという間にフロアに拡がり6名くらいの編集者に囲まれながら作品を見ていただく機会を得ました。出されたお茶に口をつけることも出来ずただ緊張しながら持ってきた作品を見てもらいます。

色々なアドバイスや感想をもらい、たくさん褒めてももらいました。しかしながら本の話は一向に先方から出てきません。もうここまで来てしまったし、このままでは帰れないのでこちらから本を出して欲しいと話を振りました。困った編集部の1人が当時雄鶏社が出していた「刺繡通信」というガチ刺繍好きに向けた雑誌の1コーナーで記事にするのはどうかと提案をしてくれました。酒屋さんでアルバイトをしながら刺繍を楽しんでいる若者が編集部に作品を持って来てくれましたよ的な内容で記事にしたいと。写真も今撮りましょうと。

今考えると突然現れた登山者に対してすごく丁寧で優しい対応をしてもらったと思いますが若かった自分は手芸作家として活動をしていきたいのであってそういう色物的な取り上げられ方は嫌だと提案を断り、バッグに作品を無理やり押し込んでお礼を言い編集部を後にしました。

持ち込み営業は自分が思った通りにはならない残念な結果でしたが、不思議な事に気分は晴ればれしていました。自分の意思で一歩踏み出せたということが自信になっていたのです。そして決断をします。3年働いて居心地も時給も良かった酒屋のバイトを辞めて少しでも手芸に関わる仕事をしようと。今いる環境を変えようと。

家に帰り、とりあえず手芸関連であればどこでも良かったので手芸協会のHPにあった会社リストを元に履歴書を片っ端から送りました。当時不景気だったのでどこも社員募集はしていませんでした。

このやり方は今でもあまり自分の中で変わっていないかもしれません。実績の無い新しい分野で仕事を始めようとする時はとにかく数が重要だと思っています。実績が無いのだから待ってても仕事が来ないのは当たり前です。三振してもフライを打ち上げても何回も打席に立つことでチャンスが回ってきます。打席に立ちさえすればデッドボールで塁に出られることだってあると思っています。

その後無事デッドボールを受けて新宿にある手芸材料店で働き始めることになるのでした。

本日の課題
仕事が来るのを待つのでは無く自分からどんどん積極的に売り込んでみよう!反応があるまで打席に立ち続けよう!
※アポ無し営業は絶対真似しないで!

▼宣伝
現在私が運営している蔵前のギャラリー「TOKYO PiXEL. shop & gallery」では1/28(日)まで手芸作家むくり個展『POYAPOYA WORLD』とイラストレーターかわべしおん 初個展 「Catnap」を開催中です!

むくりさん展示風景
かわべしおんさん展示風景

タイミングよく手芸作家とイラストレーターとして活動をしているお二方の展示を同時開催しています。作家さん全日在廊予定です。金土日とレジに大図もいます。
是非お時間がある方は遊びに来てくださいね。

※展示最終日28(日)は17時終了となります。

TOKYO PiXEL. shop & gallery
〒111-0042東京都台東区寿3-14-13-1F
大江戸線蔵前駅、浅草線浅草駅、銀座線田原町駅が徒歩圏内です。
TEL:03-6802-8219
12:00~19:00
※展示最終日はギャラリー、ショップ共に17:00閉店となります。


通販もやっているので遠方の方は是非ご利用ください!
展示全作品の画像も掲載中です。


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