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嵐の夜に、ご報告。

本日から、後楽園の東京ドームシティ全域を舞台にした『黄昏のまほろば遊園地』というイベントがはじまる…!予定でしたが、台風で中止になってしまいました。公演初日、お越しいただく予定だったお客様には大変申し訳ない気持ちです。

で、本来公演をしている予定だった時間に雨音を聞きながら、そういえば書きたいことがあったんだとnoteを開いております。公演にはまったく関係ない個人的なお話なので、興味のある方だけメリーゴーランドのその先にお進みください。笑


----------------------------------------この先----------------------------------------


『黄昏のまほろば遊園地』の制作期間であったここ数ヶ月。自分で自分の身体をコントロールできない問題と闘いながら制作をしていました。


妊娠したのであります。


いわゆる「安定期」という時期には突入したのですが、友人の「妊娠・出産に安定期なんてねえからな!!!」という決め台詞を心に留めて、いつ何があるかわからないぞという気持ちで日々を生きています。一応「そういう状態です」というご報告です。

なんで突然そんな報告をしたかといいますと、明日以降からトークショーで人前に立たせていただく機会が多く、お客さんに「あれ…?きださん太った??これ言っていいやつ???」と余計な気回しをさせてしまうんじゃないかという自意識過剰気味な心配からです。このインタビューも最近だったのですが、撮影の際に「ああ…いま撮影されるの絵的に辛すぎるでしょ…」とドギマギしていました。笑

妊娠がわかってからは、色々な新しい体験に出会いました。喜ばしいことも沢山あり、正直辛いなと思うことも沢山あります。

私の場合は「体験型イベントのディレクター」という職業上、妊娠・出産・子育てをしながらこれまで通り仕事を続けるのは難しいだろうと思い、悩みながらも避けてきた分野でもありました。周りから「子供産まないの?」と言われるたびに、悪気はまったくないとわかりつつ、心に矢が刺さったような気持ちになることもありました。


でも、どうしても決められなかった。


「体験型イベントのディレクター」って”頭脳4割:細かい作業3割:現場判断3割”みたいな仕事で、もちろん企画の骨子や脚本や謎の質などがベースにあるんですが、それを実現するための膨大な作業をするための体力や、現場で自分の目で確かめて体感して判断する力が必要で、現場に行けなくなったり時間が取れなくなったりすると、作るものの質が落ちてしまうのではないかという心配がありました。

一方で、子供は好きだし、生物的リミットがきてしまうことへの焦りもありました。


とはいえ考えなきゃなと思い、東京ミステリーサーカスという施設の立ち上げがひと段落したころ、妊娠したら行けなくなるからな〜とかねてから興味のあった謎解きじゃない体験型イベントを学びに海外に行きまくっていたのですが、その後すぐ未知のウイルスが世界を襲来し、会社では役員になり、自分の人生のことなんてすっかり忘れ、何かに取り憑かれたようにオンラインのイベントやサービスを作り、やっとリアルイベントが出来るようになってきたタイミングで「体験する物語project」を立ち上げ、次から次へとイベントが決まり、もう


このジェットコースターは止まらねえ!!


状態です。
そんな中転機になったのは、昨年ちょっぴり体調を崩してしまったことかもしれません。そのような状態でも制作は続けることができたこと、夫氏と今後のことについて話し合う時間が取れたこと、病院で聴いたAqoursの「何かを掴むことで、何かを諦めない」という歌詞に異常に励まされたこと(笑)などが、一歩進んでみてもいいかなと思うきっかけになりました。

また最近はトークイベントに登壇したときに、高校生や大学生ぐらいの女の子が来てくれることも多くなりました。きっと体験型イベントを作ることを仕事にしたい!と思っている子が増えてるんじゃないかと勝手に思っています。会社にも優秀な女性社員が沢山います。私はこの文化がもっともっと発展していくことに可能性を感じていて、そのためにはどのような状況になっても続けられる仕事である必要があります。自分が子育てしながら制作する環境も作れないようじゃダメだなとも考えるようになりました。
で、今はどうかというと


全然大変です!!😂


まだたった妊娠数ヶ月ぐらいなのに、まあまあ壁にぶちあたっています。特殊能力は持っておらず、アイデアの数と、現場での稼働量と、ゾーンに入った時の集中力でやってきた人間だったので、つわりが来て集中力が途切れたり、稼働できる時間が減ったり、アイデア出るスピード5秒ぐらい落ちてる?!というのは恐怖でしかないです。これらは自分の努力と慣れでなんとか出来るので良いのですが、やはり出産前後は物理的に動けなくなるというのもキツいです。実は秋頃に遠方でやるイベントが決まっていて、とてもお気に入りの案も出来てきていたのですが、実際に現地に行けないと作れず、体制を整えきることもできず、私の出産時期とイベントスタート時期がどんかぶりという原因で白紙にすることを選ぶしかなかったので、関係者の方々には申し訳なく思っていますし、やりたかったなという悔し涙を流しました。

一方で、同じく秋頃に大きなプロジェクトを抱えていても、身体的な変化はないのでそのまま続投できる夫氏やギリギリまで働ける男性陣を見ると、羨ましいな〜と思ったりもします。

※夫の名誉のために言っておくと、私はこの妊娠・出産PJにおいてマジで「体内で生物を育てる」「妊婦健診にいく」の2つしかやっておらず、仕事忙しい中、全体の進行管理や面倒な手続き関係、産院リサーチや葉酸などの物品補充、家事全般など全部担ってくれているので「神よ…仏よ…」という気持ちしか湧いていません🙏

notionで色々整理して、slackでリマインドする仕組み。絶対私より妊娠出産子育てに詳しい。

妊娠してみて思ったのは、まだまだ女性が思うように働き続けるのは大変な社会であること、世の中には色々な環境で生きている人がいるので、ちょっとした価値観の違いから出る言葉がお互いにとって分かり合えないものになってしまうこと、差別的な扱いを受けてもそれが双方の視点からは間違ってない場合もあること、自分にも社会にも、もっと多様性を受け止める力が必要だなということです。病院などでも妊娠・出産が女性中心に語られるのにもびっくりしました。

そして、大変なことばかり書いてしまいましたが、優しい人だって多くて、色々教えてくれるその道の先輩たちや家族、友達、一緒に制作してくれている仲間達の最高さを再実感しています。スケジュール調整を快く受け入れてくれた幾つかのパートナー企業さんにも感謝しています。自分と同じような悩みを抱える人も多いので、今はどんな人でも体験型イベントの制作を続けられる方法を探り、作っていきたいと思っています。

また、この機会にじっくり物語や企画と向き合い、昨年から進めているゲームや漫画、依頼いただいている脚本など、自分の手元で作れるものを仕上げていきたい気持ちです。面白いお話は今後もウエルカムです!そして今まで本当に制作一筋だったので、遊びにいったりもするぞ〜!と思っております。これからもぶちかましていきますんで、どちらも気軽にお誘いください◎

で、最後に。

少なく見積もっても、向こう1年は大きなリアルイベントをするのは難しいと思っています。ですので、明日からはじまる「黄昏のまほろば遊園地」が近い未来では最後のイベントになります。実は、東京ドームシティさんとのタイミングが奇跡的に合って、急遽1ヶ月だけ開催できる!となり、今年の2月頃から作りはじめたイベントで、スピードも持久力も必要だったので妊娠がわかった時に中止の選択肢も浮かびました。けれど、一緒に制作をしているメンバーや素晴らしいキャストさん達、沢山の協力してくださった方々のおかげで、開催することができます。

キャストさんもすごいし、衣装とかも可愛いんです!

舞台となる東京ドームシティという場所は、多様性においてとても勇気をもらえる場所です。特に黄昏時は最高で、ふざけあったりデートをしている高校生や、遊具で遊ぶ小さな子供達、その様子を見ながらお茶をされている親御さんたち、会社帰りのスーツ姿でビールを飲む人たち、好きなアーティストのライブに向かう人たち、本当に様々な境遇の人たちが、ひとつの空間で思い思いに楽しんでいます。

まさに自分が変わりゆく今、勇気をくれる場所でもあり、そうだ私は「自分に特殊な能力がなくても楽しめる」「体験する物語」を作りたかったんだと再確認させてくれた場所です。
誰でも参加していい、誰でも楽しめる。一人でもグループでも。大人も子供も。前のめりになりたい人も、後ろでそっと見ていたい人も。それが体現されている場所で、ぜひ体験してほしいストーリーになっています。期間は短いけれど、この瞬間しか体験できないので、遊びにきてくれたら嬉しいです!

そして、なんと6月はまほろば関係で3本トークがあります!面白い話しますし、次いつ人前に出没できるか未定なんで、今しか見れないきだを拝みにきてください〜!!!

6/2(明日)は団員限定、4日と10日は脚本の夢子さん、演出の佐野さんとのトークです!


長くなりましたが、妊娠のご報告でした。
読んでくれた方、ありがとうございました!

ぽこっとした近影@東京ドーム

ありがとうございます。面白い体験を作ることに還元していきたいと思います。