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なぜ、職場に「オープンダイアローグ」が有効だと思うのか?

フィンランドの精神医療現場で用いられているオープンダイアローグ(以下、ODと略す)を私は、職場に導入したい。

そう話すと、「ああ、メンタルヘルス対策ね」と捉えられがちだ。なぜなら、知る人ぞ知る、オープンダイアローグは、2019年にはNHKで、日経新聞では2021年に「メンタルケアの新手法」として紹介されているから。

1.オープンダイアローグとは?


フィンランドのケロプダス病院で開発された、急性期精神病に24時間以内にチームで介入し、対話中心で治療するシステム

オープンダイアローグ (日本評論社)

フィンランド西ラップランド地方で開発されてきた精神科医療の包括的なアプローチ

オープンダイアローグネットワークジャパン(以下、ODNJと略す)の㏋トップ画面

これが注目を集める理由は2つ。
一つ、薬物なし(※)で治る点。例えば、うつ病、パニック障害など精神疾患で困りごとを抱える人に、病名の通達と服用を提供する代わりに、対話だけを提供して、回復に導く点だ。

997年の間にケロプダス病院に相談した75名への調査では、
彼らの8割は精神病状の残存なし。
抗精神病薬を内服したことのある人は24%、内服継続者は20%…(略)
にわかに信じがたいと感じる人も多いかもしれません。…(略)しかしながら直感的に、このようなことは起こりうるとも感じていました。…(略)
そして今思うことは、やはり「オープンダイアローグとは、ただの対話だ」

オープンダイアローグ私たちはこうしている(森川すいめい著)から要約

もう一つは、困りごとを抱える人に、医師以外の助け手が、多く与えられる点。前述の、ODNJの「オープンダイアローグ対話実践のガイドラインウェブ版(第1版)」にある、下図を御覧頂きたい。

オープンダイアローグでは、患者、家族、専門家チーム(医師、看護師、心理士など)が輪になって「開かれた対話」を行います。また、その対話の最中、ときおり専門家同士がその場で感じたことを話し合い、それを当事者たちに聞いてもらうというリフレクティング(※後ほど説明)を挟みます。そこで生じる相互作用によって、自然に回復が起こるのです。

日本経済新聞2021年11月1日精神科医・斎藤環さん談

その様子がNHKの記事に取り上げられていて、参考になる。

2.オープンダイアローグが職場に有効と考える理由


ODは、精神医療の現場だけでなく、教育現場でも少しづつ、その輪が広がっていて、私は職場での応用に着目している。

私は、職場で業務の困りごとを抱える社員を、上記のフレームにそっくりそのまま当てはめられると考えた。つまり、個人の業務課題を、自己解決できないとき、その支援のフレームワークに、オープンダイアローグが適応できる。

具体的にはこんなふうにやる。

・Aさんが業務で困っている。→上司に訴える。
・上司は、AさんとAさんを取り囲むメンバー(課題解決に必要な人だけ招集)を一同に会させ、皆でフラットに、Aさんの話を聞く。

ポイントは、上司でさえも、対等な立場であるかのごとく、全員が発言しやすいように配慮しながら輪に入り、心理的安全性を担保してその場を促進すること。


なぜ、こんなことを書くかと言えば、このような事象に陥ったとき、解決の仕方に、個人差があるとわかったからだ。
誰もが何でも意見を言えるわけじゃない。一人で苦しむと、ストレスを一人で担って、パフォーマンスが低下する。

チームミーティング、という場で解決すればいいのだが、その会議では、別の業務課題があって、個人の課題を共有しづらいこともある。

メンバーの話を、どんなふうに聞き、解決するかは、上司次第で、手腕には当たり外れがある。だから、私は、上司のスキルによらず、全員で考える共創的なダイアローグ(対話)を推奨したいのだ。


3.リモートワークで表層化するコミュニケーション課題


リモートワークの定着で、社員同士、今日の体調が把握できなければ、何の仕事をしているか分からない課題も増えた。

総務省が21年に発表した調査には、職場のコミュニケーションの課題がラインクイン。企業にとって大きな損出だ。

だから、誰もが、安心して現状を職場にシェアできる環境を整えたい。


私は、人としての品性を養う観点からも、
職場において、協力と対話を通じて問題に取り組むために、ODがきっと有益と信じている。

by桜子

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