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大学や大学院への復学~学び直しやリスキリングとはまたひと味違う?

私は現在心理療法士・公認心理師をしていますが(「オープンマインド」という個人事業をしています)、そこに到るには長いキャリアチェンジのプロセスがありました。具体的には、大卒後就職したものの、そのときはモラトリアム的な気分で自分が何をやりたいとか、何が得意といったことを明確にしていなかったのです。おそらく今の学生さんに比べ、そういう機会や意識も少なかったかと思います。いわゆる「意識の高い」学生だけがやっているような印象でした。

ともあれ、機会があったためアメリカで、しかも修士・博士と学ぶことになりました。PhD(博士課程)に行ったというと最初からそれが可能だったとか、絶対やりたいと思っていたと思われるかもしれませんが、「行きながら」できてきた、ハッキリしてきたことだったのです。ですからまさに「プロセス」だったと言えます。

現在使われている学び直し、リスキリングという言葉面からだと現職にあるままスキルや資格などを身につけるというイメージが強いでしょう。本を読んだり、動画を見たり、オンラインの講座を取ったりということでも、少しずつ学んでいくことはできます。

それに比べ、大学や大学院に戻るというのは大きな決断と思われるかもしれません。在職しつつMBAなどのプログラムに行く人もいますが、特にいったん仕事を辞めてなどだとなおさらかと思います。(日本の会社側の離職を怖れる・止めるマインドもあるかと思いますが。)行き先が海外であれば、留学生は通常自動的にフルタイム学生であることを求められます。(労働時間の制限などがあることも通常かと思います。)しかし本や動画、講座などと違い、大学や大学院のプログラムではカリキュラムが組まれており、選んだ分野や専攻のことを体系的に学ぶことができます。また、大学・大学院の講師・教授陣はエキスパートであり、その人たちから直に教われるというのはやはり魅力です。

進学先が海外の場合、「安全」ではあるとは言え、片足を元の会社(お医者さんなどもいるので、大学や医療機関なども含みますが)に残したままだとある意味、もったいないとも言えます。吹っ切って現地の生活や人間関係に飛び込むことができなくなるからです。これは、精神的にもかなりタフな経験ともなり得ますが、得るものは非常に大きいと思います。特に修士の場合だいたい2年間なのであっという間です。もちろん学ぶ内容はある程度頭に入るとか、身につくといったことがあるとは思いますが、オンラインでなく現地なのであれば、むしろほかにできる経験の方がのちのち「財産」となるかもしれません。

家庭の事情、たとえば親の経済上の理由で当時無理だったとか、あるいはひとり親としてまず子どもを育てなければならなかったとか、そういう理由で大学進学が叶わなかった場合には、後からでも進学し学ぶのは大いに意味があると思います。大学を出るばかりがすべてではないとは言え、大学の勉強はやはり本質的にはもっともオープンな(つまり、即戦力になるとか、すぐ換金できるとかいったところを超えて、という意味です)ものであると思います。高校から直接進学した場合と違い、仕事や子育て等、社会での実経験を経て学ぶのであれば、なおさら新しい視点が加わって良いのではないでしょうか。こうした人たちを援助するような、奨学金や学費減免などももっとあるといいのかもしれません。

社会人になってからの大学院であれ、今書いたような大学への進学であれ、「主流」である「若い」人たちよりは年齢が上であることもふつうでしょう(私自身は、30代のかなりの部分を大学院で過ごしました)。日本には社会人大学院なるものがあり、これも最初聞いたとき「?」と思ったものです。学ぶ場を作るのはいいのですが、なぜわざわざ「社会人」という括りを作らなければいけないのか? これは両者、つまり大学院で学びたいと思う社会人と、社会人より若い年齢で大学院で学んでいる学生とに対し「過保護」であるように思います。

会社がダイバーシティ(多様性)で活性化し成長すると言われるように、大学や大学院もまた、いろいろな年齢や属性の人がいることにより視点が増し、活気を増す可能性があると思われるからです。とは言え、日本が年功序列というシステムで前からやってきたことや、言語として1年でも年が違ったら目上には敬語を使うといったところも、影響しているかと思います。

大学院進学後はその後仕事をどうするか? ということも考える必要はあるでしょう。特に修士はやはりあっという間なので、ある程度あらかじめ考えておく必要があります。博士は日本での受け皿がどうしても限られているので、もしかしたら現地や海外での就職まで視野に入れておくべきなのかもしれません。確立できる専門分野があるのであれば、それを活かして起業するという方向性もあるでしょう。

いずれにせよ知の探索は、その楽しみを味わった人にとっては楽しいものです。生涯学生のような人や、いろいろな分野の学位を取りまくる人もいますが、それも分からなくはないなと思います。しかしながらせっかく学んだのであれば、それを自分で抱えているだけでなく社会に還元していきたいものです。本や記事、動画等による発信、サービスや商品を通じての流通、一般に教えることやコンサルタントをすることなどが挙げられるでしょう。

最後に心理学についてですが、心理学を選んでいる人には学びや探索が好きな人が多く、資格によっては生涯教育ポイントを取っていくことが要求されますが(知る限りですが、日本だと臨床心理士や、アメリカのClinical/Counseling Psychologistを始めとする、大半の資格)、そんなことを言われなくても自主的に学んでいく、という人は多いのではと思われます。なぜなら実際に臨床や仕事をしていくと、突き当たる疑問符は増えていくからです。大学・大学院で学んだような技法や理論だけでは追いつかないところも出てくるため、学ぼうというようになるのだと思います。学ぶことが好き、という人には向いている分野かと思います。

面白いことに仕事をしていくことによって学ぶ機会をもらうこともあります。ここ数年は企業研修の仕事もしているため、契約先から勝手にプレゼン資料が送られてき、それを消化してプレゼンすることになります。こういうトピックや切り口、用語などがあるのかと、その都度学びになっています。まさに報酬をもらいながらも学ぶ機会があるというのは、有り難いことだと思っています。

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