「体育びらき」は,たのしい授業で!
●体つくり運動プラン〈着地と飛び下り〉
子どもたちが「たのしい!」と言って取り組んでくれる運動課題を提供したいと思っています。出会いの時期ですから,子どもたちのいろんな顔を見たいですよね。体育のときだけは笑顔を見せてくれるって子だっていますから,けっこう大事なことです。
子どもたちの笑顔に出会えたら,その子のことをかわいいと思えますし,そんな笑顔をみつけられた自分もうれしくなって,もっともっと楽しいことを提供してあげたくなります。
「あ~,体を動かすのってたのしいなぁ」と思ってもらえる授業。得意な子も,苦手な子も,一緒にたのしめるような運動課題。それにはまず,「周りは気にせずに,自分が動きたい」って思えるような運動がいいですね。
いろんな動きをしながら周回する「サーキット」だったり,何度も飛び下りたり,跳び上がったりするたのしさを味わえる運動は,最初の体育にピッタリな気がします。
そこで,今回紹介するのは,ぼくの出会いの体育授業の定番で,〈着地と飛び下り〉という,体つくり運動の授業プランです。
これは,低学年から高学年まで,いろんな学年で,子どもたちのレベルに合わせてできるので,どんなクラスでもたのしめます。特別支援の先生からも高い評価をいただいています。
どんな内容なのか簡単に説明すると,1時間ずっと「ステージから飛び下りるだけ」という授業なんです(笑)。「それって,おもしろいの?」と思うかもしれませんが,ぜひやってみてほしいです。
実施した後で,「これにしなければよかった…」と思うことは,今まで一度もありません。例外なく「またこれやりたい!」と子どもたちから言われるでしょう。やってよかったなぁと思えるはずです。
まずは,簡単に授業の流れを説明しますね。
①ステージの下にエバーマットを用意しておき,「なにこれー」と思わせます。
②「今日はここに飛び下りる授業をします!」と発表し,意欲をかき立てます。
③「ケガをするとつまらなくなるので,安全に飛び下りられるように,最初に着地の練習をします」と言って,着地の仕方を説明します。
④ここで問題です。「音のしない,ふわっとしたやわらかい着地」と「体育館中に音がひびくような,大きな音た立てる着地」,どちらがピタッと止まるでしょう?
ア,音のない着地
イ,大きい音の着地
…手をあげてもらった後,意見を聞いて,答えを教えます。
⑤こたえは「大きな音を立てる着地」です!と言って,どうしてなのか説明します。自分から音をさせようと「べた足」の着地をすると,重心が床に乗るようになり,止まりやすいのです。
⑥そのあと,みんなで大きな音をたてて着地を止める練習をします。せーの(ジャンプ),「ドン!」1・2・決めポーズ。全員がピタッと止まるまで,何度も練習します。コツは,手を前に出して着地をすること。バランスがとれて,動かなくてすみます。
⑦5回くらい一緒にやっていると,全員がピタッと止まれて,みんなで拍手して,気持ちよく練習をクリアできます。
⑧いよいよ,ステージからジャンプして下ります。「着地の時に,足に力をいれておかないと,自分の膝が顔に当たって鼻血が出ます」と教えます。「つまり,ひざを自分から曲げないで着地した方が安全なのです」と説明します。ステージの上からジャンプしても,「着地を止める」という意識を大切にさせ,飛び下ります。
※この活動は,十分たのしいので,ほうっておいてもずっと飛んでいます。でも,横や前に回転を入れたりし始めたら,「それはケガにつながるから,やめよう」と,注意してください。やめない場合は,危険なので厳しく注意したり,やらせない処置も考えてください。
⑨だんだんと飛ぶことや着地に慣れてきたら(1人2~3回くらいが適当),あきない子が出ないうちに,少しずつ課題を出していきます。はじめは,横に並んでいる子が,「せーの」で一緒に飛んで,同時に着地できるか,やってみるとたのしいです。
⑩ジャンプして「手を頭の上で3回たたけるか」をやってみます。頭の上でたたくのは,ジャンプするときに体を上に引き上げるためです。着地を止めることも,必ず意識させます。
⑪「上・後・前で3回たたけるか」やってみます。上が最初に来るのは,体を上に引き上げるためです。意識がそちらにいっても,着地は力を入れておくことができるように,常に声かけします。やっているうちに,無意識に安全な着地ができるようになります。
⑫学年によっては,ステージの上に跳び箱を置いて,高さを上げていくとよいでしょう。だんだんと高くなって,恐怖心も増しますが,それだけたのしさも増します。あとで自分が飛んでいる写真をみて,「こんなことができたのか!」と驚いてくれます。でも,高さをあげなくてもたのしい活動です。
⑬ラスト5分になったら終わりを告げて,みんなで片付けをします。「もっとやりたい!」って言ってたら大成功。「早く片付けられたら,次回はもっと長くできるから,どのくらい早く片付けられるのか,実験してみよう」って言って,一緒に片付けます。
⑭早く片付け終わったら,たのしかったことの振り返り。「どんなことがたのしかった?」と聞いてみます。人によって,たのしかったことは違っていて,そのいろいろなたのしみ方を知ると,「次に試したい,またやってみたい」を引き出せることがあります。
出典:月刊『たのしい授業』2018年6月号(仮説社)https://www.fujisan.co.jp/product/1567/b/1680476/
詳細や,注意事項が知りたい場合は,以下に「授業プラン」の形で紹介しています。
また,体育館での準備の仕方なども,動画で詳しく説明しています。
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