“ヒット曲“ ではなく “認知曲“ を目指す理由
子供の頃、双眼鏡と星座早見盤を持って、夜空に輝く星座を探した経験が一度はあると思います。
北斗七星、オリオン座、カシオペア座などは有名で見つけやすく、大人になった今でも、見つけるとちょっと嬉しい気分になります。
一方、音楽シーンでは、星の数ほどある楽曲が、今日もあてもなく空を彷徨っています。
天体観測と違って、屋上に出て耳をすまし、空を見上げても、何も聞こえてきません。
今回は “ヒット曲“ と “認知曲” の違いについて、夜空に輝く“星“ の例えで考えてみようと思います。
空気が澄んでいる山の近くなどでは、灯りがなく、周囲が暗ければ、まるで「点描(てんびょう)」のような無数の星が空に散らばっているのを見ることができます。
都会の空では、明るく目立っている星座しか認識できませんが、空気が澄んでいる場所では、小さな星が無数にひしめき合っていて、まるで空が混雑しているかのように見えます。
その中でもはっきりと認識できる有名な星座は、いわゆるメジャー・アーティストが出した “ヒット曲“ のようなものです。語り継がれるストーリーがあり、いつの時代でも、どこにいても聴きたくなるもので、決して忘れられることはありません。
しかし、残念ながら他の星は認識されることなく、その場でひそやかに光を発し続けているだけです。
天文学者や天体ファンの中には、毎晩巨大望遠鏡を使って空を眺め、新しい星を発見しようとしている人たちがいます。
新しい星を見つけたら、自らの名前をつけることもできるのです。そうすれば、その星は「認知」されたことになります。
そう考えると、星を巡る空の状況は、楽曲を巡る音楽シーンと似ているように感じます。
かつて、ラジオから新しい曲を知る時代がありました。その後はテレビCM、ドラマなどのタイアップで新曲を知る時代が来て、今ではYouTubeやサブスクリプション・サービスで知る時代です。
プレイリストに入っているまだ聴いたことのない曲は、認知される時をじっと待ち続けている星のように感じます。
サブスクリプションでは1位の曲を聴いた後、自分だけしか知らない amazon での順位が50万位台の曲も聴くことができるわけです。
順位の差を別にすれば、どちらの曲も平等に「認知された」ことになるわけです。
しかし、そこには大きな違いがあります。
1位の曲は、不特定多数に認知されていますが、50万位台の曲は、特定の個人に一度認知されただけであり、他人に伝わらない限り、その場に閉じ込められたままです。
そう考えると、ストリーミング・チャートで長期間1位を続けている曲などは、日本全国どこから見ても “輝く星座“ であり、認知曲の最たるものといえるでしょう。
私はコーチの立場として、今の時代は “ヒット曲“ ではなく “認知曲“ を書く重要性を教えています。
認知されれば、新たなビジネスチャンスが広がり、日本だけでなく、一夜にして世界中に知られる可能性があるのです。
これまでは “認知曲“ の中から “ヒット曲“ が生まれていました。しかし、今は “認知曲“ を “ビジネス“ に発展させていく時代です。
だからこそしっかりと緯度、経度を確認してから、夜空に映し出す必要があるのです。
是非とも「果実が刺さったペン」に負けない、新しいジャンルでの “認知曲“ を誕生させて欲しいと願っています。
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