2020年、新人シンガー・ソングライターに期待すること
2019年のJ-POP年間チャートを見ると、今年も新人シンガー・ソングライターが入り込む隙間はほとんどありませんでした。
“アイドルの時代”、“グループの時代”、“ビジュアルの時代” だからなど、後付けの言葉はたくさん出てきますが、世界に目を向ければ、ソロ・アーティストのヒット曲は今年もたくさん生まれています。
今回は “シンガー・ソングライターの楽曲” と “衛星写真” のたとえです。
Google Earthやドローンの登場によって、高いところからの景色を見ることができるようになりました。家の周りの景色も上空から見るとまた違って見えたり、いつも走っているジョギング・コースも、上から見れば、違ったルートも見えてくるわけです。
よくプロデューサーは「物事を俯瞰してみなければダメだ」なんていうことを言います。
それは言い換えると、“どの高さから衛星写真を撮れば、第三者が興味を持ってくれるかを考えろ” ということなのです。
たとえば一度も行ったことのない、フロリダにあるディズニー・ワールドにフォーカスした衛星写真を見ると、どれ位広いのか、どんなアトラクションがあるのか、東京ディズニーランドとどう違うのか、個別にフォーカスすることによって様々な楽しみ方ができます。
“まずは全体の雰囲気を楽しそうに見せる”
この発想が、今のJ-POPでは入口になっているように思います。
一方、ソロのシンガー・ソングライターの曲を衛星写真に例えると、自分が住んでいる家、街、空間、地域などに上空からフォーカスしているようなものです。
その場所には誰も気づいていない宝物が隠れているかもしれませんが、よほどの “得” がない限り、第三者は興味を持ってくれないのです。
もちろん何を歌おうが、何を表現しようがその人の自由です。しかし、いつの時代もリスナーが共感するのは、第三者の影響によって、感情、行動が劇的に移り変わっていく心象風景です。
今は他人の “目“ を見なくてもコミュニケーションが可能な時代です。そんな中、第三者の興味を惹くテーマは、上空から撮った衛星写真ではなく、対象となる人の内側に入り込んで、心模様を映し出すことではないかと思います。
自分ではそんな心模様を歌っているつもりでも、実際には上空から見た近くの風景だけを歌っているようなケースがよくあります。それを冷静に判断する役割として、プロデューサーは存在しているのです。
シンガー・ソングライターにとっては、厳しい状況が続いていますが、2020年の年間チャートでは、ソロ・アーティストの曲がたくさんランクインしていることを願います。
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