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コロナ後の時代: 武道館ライブはもはや目標ではなくなってしまうのか



とうとうというか、ようやく緊急事態宣言が出されました。今回の新型コロナウイルスに関しては、音楽の発信地であるライブハウスが震源地になったことが大きく取り上げられ、アマチュアやインディーズのアーティストたちは、活動の場がどんどん狭くなってしまい、息苦しい状態がずっと続いています。

個人的にも制作スケジュールが延期になったり、プロジェクトの足止めを食らったりしていて、影響はだんだんと大きくなっています。

3.11の後、 “音楽には何もできなかった” という自己嫌悪に陥り、しばらくの間、立ち直れなかった仲間たちが多くいました。今回は “目に見えない恐怖” との戦いです。日々の生活では徹底的に感染防止のための対策を取るのが第一優先ですが、次の段階で求められるのは、“心の防御” なのではないでしょうか。

ウイルスは目には見えないのですから、メンタルを守るためには、同じく目で見ることのできない「音楽」で対抗する手段は有効だと思うのです。音楽が盾になって心を防御する。“こころのマスク” の役割を担うことができるのは、音楽や楽曲なのだと思います。

現在「Grobal Citizen」と「WHO」がタッグを組んで、「One World: Together At Home」という企画が進められています。4月18日にレディ・ガガがキュレーターを務め、オンライン・チャリティライブを開催し、配信すると発表がありました。

被害が大きいスペインでは、1988年のスペインのヒット曲「Resistiré」(英訳: I will resist/日本語訳: 私は抵抗する)をアーティストたちが「Resistiré 2020」としてカバー。売り上げ金はカトリックの慈善団体のカリタスに寄付するなど、世界各国で様々なチャリティの動きが出てきています。日本でも同様の動きが出てくることを期待します。

そんな中、もう一つ考えなければならないのは、この戦いが終息したあとのアマチュアやインディーズで夢や目標を持って活動している人たちの未来です。

海外で音楽活動をしている日本人のアマチュア・ミュージシャンが「武道館を満員にする、という時代は過ぎた。次の時代の新たな目標を設定しなければならないんじゃないか」と考えているということを耳にしました。

気の合う仲間たちとのホーム・パフォーマンスによる分割画面をYouTubeに上げる人たちも増えています。こういった作品が浸透していくと、5Gの時代となった今、ライブ・パフォーマンスのストリーミング配信などが注目されてくるのは間違いありません。

時代はすでにミリオン・セラー(100万枚作品)からビリオン・ヴューズ(10億回再生)へと変化しています。日本では10億回再生を超えるミュージック・ビデオはまだありませんが、世界に目を向けると67億回再生を超えた曲もあり(Luis Fonsi - Despacito ft. Daddy Yankee)、また、AIを駆使したVRによるアーティスト・ライブの開発も加速しています。

今回のウイルスとの戦いの後、ビジネス上での収益構造に変化が出てくるように思います。これまでの常識が崩れ、リセットされてしまうだけに、柔軟な発想ができるアマチュア・アーティストにとっては、チャンスといえる時代になると思います。

この非常事態の下では、エンタテインメントは「ビジネス(カネモウケ)」よりも「メンタル(ココロモウケ)」が優先されます。「儲」という漢字は、ネットの世界では「熱心なファン」というスラングもあるそうです。

アマチュアミュージシャンにとっては、YouTubeやサブスクリプションの再生回数だけでは収入源にはならないのですが、人の心が寄りそってくれたかどうかの直接的な判断材料になり、次の展開へとアイディアを繋いでいくことは可能なのです。

活動がストップしてしまい、明日の食事、来月の家賃さえもどうするかを考えなければならないという声をたくさん聞きます。その一方で、好きなことをやっているのだから、それくらいの苦労は当たり前だろうという厳しい声も聞こえてきます。

この戦争が終息を迎えた時、「ココロ」をたくさん集めようと地道に活動していた人が、実生活でも笑顔になれる時代になる。その方法を今後、一緒に考えていきたいと思っています。


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