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半導体について 〜設計から製造までのプロセス〜 ⑥ウェハー加工/光リソグラフィ(露光)編

どうも、おらうです!
今回は半導体 ⑥ウェハー加工/光リソグラフィ(露光)編についてまとめました。
*本記事は全て無料でお読みいただけますので、ご安心ください☺️

本作はシリーズ物となり、以下は前回分とマガジンになります。
半導体への理解が進むかと思いますので、こちらもご活用ください😄


光リソグラフィ(露光)

光リソグラフィ(露光)とは

光リソグラフィは、半導体デバイスの製造において、紫外線(UV)や極端紫外線(EUV)などの光を使用して、微細な回路パターンをウェハー上に転写する技術です。
フォトマスクと呼ばれるパターンが刻まれた板を使用して、光を通し、感光性のフォトレジストが塗布されたウェハー上に回路のデザインを転写します。

写真:光リソグラフィ(手に持ってるスプレー)、ステンシル(フォトマスク)、キャンバス(ウェハー)

写真でいえば、光リソグラフィは手に持っているスプレーにあたります。
ステンシル(設計回路が描かれたフォトマスク)を通して、キャンバス(ウェハー)に転写するんですね🧐

フォトレジスト:
フォトレジストは感光性材料です。
この材料は、ウェハー上に均一に塗布され、特定の波長の光(主に紫外線)に露光されることで、その化学的性質が変化します。
露光されたエリアは極めて微細なトランジスタや回路のパターン形成に利用されます。

『絵を描く』に例えると、
キャンバス(ウェハー)全体に透明なインク(フォトレジスト)を塗ります。
次に、あらかじめ決められたパターン(フォトマスク)に従って、そのインクに特別な光(光リソグラフィ/露光)を当てます。
この光を受けたインクは硬化または溶解し、光を当てなかった部分との違いを生じさせます。
最後に、光を当てなかった部分のインクを洗い流すことで、細かな電子回路のパターンがキャンバス上に現れます。

ですので、上の画像でいうとキャンバス全体にフォトレジストが塗られているイメージですね☺️

光リソグラフィまたフォトレジストに関する理解が深まれば幸いです☺️


重要性

光リソグラフィのプロセスを通じて、トランジスタやその他の電子デバイスの機能を担う微細な回路パターンがウェハー上に形成されます。
光リソグラフィの精度が向上することで、より多くのトランジスタをより小さなスペースに収めることが可能になります。
これにより、半導体の性能向上、電力消費の削減、デバイスの小型化が実現され、スマートフォンやパソコン、データセンターのサーバーなど、幅広い電子製品の進化に貢献しています。


紫外線(UV)と極端紫外線(EUV)

UVリソグラフィ:
UVリソグラフィは193nm-365nmの比較的長い波長を使用しており、広範囲の半導体製造に適用されます。
EUVリソグラフィよりも解像度が低く、より大きな構造のみを製造可能です。
また、既存技術として広く普及しており、コストが比較的低く抑えられます。

EUVリソグラフィ:
一方、EUVリソグラフィは13.5nmの短い波長を使います。
より高い解像度で非常に微細な回路パターンの製造が可能になります。
EUVは半導体の小型化と性能向上に貢献しますが、高い技術的複雑さとコストが伴います。
しかし、最先端の半導体製造にはEUVリソグラフィの精度が求められます。

現時点では、7nmノード以下の半導体デバイスはEUV技術がなければ極めて困難もしくは不可能と言われています。
また、iphone15 Proに搭載されているA17 Proは3nmノード技術が使われており、iphone12 ProのGPUと比べて最大70%高速と言われています🧐


加工手順

①コーティング: ウェハー表面に感光性のフォトレジストを均一にコーティングします。
②プリベイク: フォトレジストを軽く加熱し、ウェハー表面にしっかりと固着させます。
③露光: マスクを使用して、特定のパターンでフォトレジストに光を当て(露光)、化学的に変化させます。
④現像: 露光されたフォトレジストを現像液で処理し、未露光部分または露光部分を除去します。


市場規模

光リソグラフィ市場:
光リソグラフィ市場は、2024年に264億8000万ドル(約3兆9720億円)、2029年には378億1000万ドル(約5兆6715億円)に成長する見込みです。
この市場の成長は、5G技術の普及、スマートデバイスの増加、および自動車や家電などほぼ全ての産業での半導体デバイスの需要増加に伴うものです。
特にアジア太平洋地域が市場の最大かつ最も成長が速い市場であり、中国、台湾、韓国、日本が主要な成長市場として注目されています。
これらの国々は、製造拠点の拡大により需給を牽引しており、半導体製造に必要な先進技術への投資も活発に行われています。
さらに、5Gの展開とIoT接続デバイスの増加による影響も市場の成長を後押ししています。
(参照先:Mordor Intel)

フォトレジスト:
2022年のフォトレジスト市場の規模は約45億ドル(約6750億円)で、2032年には約72億8500万ドル(約1兆927億円)に成長すると予測されています。
この市場は、2023年から2032年の予測期間中に約5.50%のCAGR(年平均成長率)で成長する見込みです。
半導体およびICセグメントが市場を支配しており、消費電子機器市場の急速な拡大、半導体および集積回路技術の進歩、高級自動車や他の電子デバイスへの半導体の広範な利用が、この成長を牽引しています​ 。
(参照先:Market Research Future)​


代表企業

光リソグラフィ:

①ASML(ASML)
ASMLはオランダに本社を置く世界最大のリソグラフィ機器の供給企業で、極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置の唯一のサプライヤーとして知られ、最先端の半導体製造技術の進展に不可欠な役割を果たしています。
EUV技術による微細化は、デバイスの性能向上と省エネに直結し、現在の半導体業界のトレンドを支える重要な要素です。
同社の技術は、半導体チップの生産において、より高い性能と低いコストを実現するために不可欠です。

先述のA17 Proもそうですが、ASMLの露光装置がないとそもそも作れないんですね🧐

②ニコン(7731)
ニコンは日本の精密機器メーカーで、高い技術力を持つ光リソグラフィ装置を提供しています。
特に、半導体製造業界向けの光学システムやイメージング技術において、高精度と信頼性を誇ります。

③キヤノン(7751)
キヤノンは、半導体露光装置を含む精密機器分野で高技術を有する日本の電子機器メーカーです。同社は高解像度と高生産性を兼ね備えた製品で、多様な半導体製造ニーズに対応しています。

フォトレジスト:

①信越化学工業株式会社 (4063):
信越化学は、シリコンウェハーや半導体材料の大手メーカーです。
高純度のポリシリコン供給以外でも、フォトレジスト原料の供給でもその品質の高さが評価されています。

②住友化学(4005):
住友化学は、幅広い化学製品を手がける企業で、特に有機EL材料や半導体関連材料で知られています。
フォトレジスト市場では、アルゴンフッ化物(ArF)エキシマレーザーの露光光源に適合したArFレジストや、EUV向けレジストにもちゅうりょくしています。

③東京応化工業(4186):
東京応化工業は、フォトレジストをはじめとする電子材料の専門メーカーです。
半導体ようフォトレジストで世界首位級で、EUVを始めとする様々な露光光源のレジスト供給に強みを持ちます。

④富士フイルムホールディングス(4901):
富士フイルムは、写真フィルムから事業を拡大し、医療や材料科学にも進出し、フォトレジスト分野ではイメージセンサーに使用するカラーレジストで世界首位級を誇ります。

⑤JSR:
JSRは、合成ゴムの分野からスタートし、半導体材料分野へと事業を拡大し、フォトレジスト市場においては、EUVやArFレジストに強みを持ちます。

フォトレジスト分野では日本が世界シェアの9割を占めていると言われています🧐

⑥DuPont(DD):
DuPontは、アメリカに本社を置く化学工業分野の多国籍企業で、強固な研究開発基盤を持ちます。
エレクトロニクス材料におけるフォトレジストを含む、高性能材料の提供で知られ、革新的な製品で市場のニーズに応えています。


以上となります!
如何でしたでしょうか?
また次回お会いしましょう☺️


お読みいただきありがとうございました!
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