トップガン、シン・ウルトラマンを観てから、スターウォーズをあらためて観て思ったこと

こんなことは、古いスターウォーズファンの間では恐らく百万回は言われ続けてきたであろうことなのだろうけど。

ジョージ・ルーカスのスターウォーズは遠い未来の世界の話を描いているようで、その実は実社会の時事ネタや世相が色濃く反映されているんだなと再確認した。

ディズニーのスターウォーズスタッフは庵野秀明の爪の垢でも煎じて飲んだ方が良いのではないか。

シン・ウルトラマンも、シン・ゴジラも、見事にオリジナル当時の衝撃を再現し、現代の時勢に合わせて落とし込み、CGで空想映像に対して目の肥えた観客が観るに耐える面白さを実現できていたように思う。

・スターウォーズについて
スターウォーズ エピソード4 A NEW HOPEは神話である。
どこの神話かと言われればアメリカのだ。
ベトナム戦争後の鬱屈したニューシネマの時代から、アメリカの自信と希望を取り戻すための神話が必要だったのだと思う。
第二次世界大戦の敵で、「帝国」である日本とドイツを倒し、自由と民主主義のためにために戦う主人公の神話だ。
劇中に出てくる“元老院”はローマ帝国の制度だが、中世の封建時代がなかったアメリカは、古代ギリシャやローマ時代の国の形態に非常に共感しやすいのだろう。アメリカの国家形態は古代国家と同じだと何かで読んだことがあるが、まさにスターウォーズの世界がそうなのだろう。
さまざまな宇宙人が共生するのも、人種の坩堝と言われるアメリカだから生々しく描ける。

旧三部作4〜6では、スターウォーズの戦闘機(スターファイター)の武装はターボレーサーとプロトン魚雷(!)である。あとは爆撃機の震盪爆弾やイオンキャノンなど、砲撃、雷撃、銃撃はあるが、ミサイル等の誘導兵器の類いは一切登場しない。映画公開当時の70年代なら、誘導ミサイルや弾道ミサイルは既に登場しているはずなので、超未来風の劇中世界ならもっと進化したミサイル等が登場しても良さそうなのだが。

これはジョージルーカスが、第二次世界大戦のイメージを元に作っているからである。実際に当時のパイロットから証言を聞いたりして、リサーチしている。
空中戦の機動がやたら凝ってるのは、ジョージルーカスのリサーチが極めて優れていたからだろう。

新三部作1〜3のクローン戦争だが、2は完全にイラク戦争だ。
湾岸戦争からイラク戦争まで、テロの脅威の中、本当にこの戦争は正しいのか、迷いながらも突き動かされるダークサイドの予感が、当時のアメリカ国民の世相をよく反映していると思う。

スターウォーズ7〜9に当たる最新三部作はスターウォーズっぽく作られた同人映画だ。スターウォーズのオリジナルにはなり得ないと感じたのは、前述の辺りの感覚が違うと感じたからだ。

ジョージ・ルーカスのスターウォーズは、架空の銀河の話中で、思い切り現実のアメリカ、及びその当時の世相や歴史上の戦争を描いているのだが、最新三部作にそれを感じられる部分は無かった。むしろポリコレ要素が不自然に挿入されていて違和感が大きかった。

マンダロリアンはまだ観ていないが、前評判は良いようだ。ジョージ・ルーカスが多少はオブザーバーで関わっているそうなので、期待できるかもしれない。