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僕の大好きなお惣菜屋さんの話

「キッチン・イマココ」との出会いは、数年前の京都旅行中に食事をする場所を探していた時だった。

旅先での楽しみは、観光名所を回ったり、地元のご飯を食べたりすることだが、オーガニックな生活をしているとその食事をどこでするか、困ってしまうのだ。「キッチン・イマココ」は、それを一気に解決してくれるお惣菜屋さんだった。

何と言っても、味付けが優しくて良い。決め手は自家製の調味料。オーガニックなのにお手頃価格で、ついたくさん買っても安い!と思ってしまうほど。ホテルに帰って食べると、あぁ、やっぱり美味しい…。と、しみじみしてしまう。毎日食べるならこの味付けじゃないと。

「キッチン・イマココ」は、定宿から徒歩10分程度の場所にあり、昼も夜も、何度も足繁く通った。まさに「暮らすように旅する」を可能にさせてくれる場所だった。

この出会いを機に、京都に行く大きな目的のひとつが、「キッチン・イマココ」のご飯を食べることになっていた。というよりむしろ、「キッチン・イマココ」に行くために、京都に行っていた。あの味を東京でも食べたい。みんなに知ってもらいたい。提供さえしたい。そのためには弟子入りさせてもらえるだろうか?なんて考えたこともあった。

最後に「キッチン・イマココ」を訪れてから一年が経過しようとしていたある日のこと。Google Mapで次に京都に行く時に行きたい場所を検索していると、ふと見た「キッチン・イマココ」のページで【閉業】の二文字が目に飛び込んできた。

・・・しばし思考停止。

そのうちに、色んな感情が込み上げてきた。一年のうちに、何度もまた行きたいと思っては、タイミングが合わず、行くことができなかった。自分が行かなかったせいなのか?価格が安すぎたのだろうか?はたまた、お店のお二人に何かあったのでは?と、何か原因を探ろうとしてみたけれど、答えがでるわけもなく、ただその『閉業』という現実から目を背けたかった。

寂しい。

あの味を口にすることはもうできないのか?数日経ってもなお、その事実を受け止めることができずにいる。「キッチン・イマココ」のポイントカード、あと2、3個でいっぱいになるから、次に訪れた時に使おうと思っていたのに。

次の京都は、きっと「キッチン・イマココ」のその後を辿る旅になるだろう。まずはこの目で、本当に閉業しているのかを確かめないと。

また会いたいなぁ…あの味に。