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日本の学生がOSM / HOT コミュニティでどのようなアクションを起こすべきか

##想定する読者

これからOpenStreetMap(OSM) / Humanitarian OpenStreetMap Team(HOT)に関わっていきたい or すでに関わっている学生に読んで欲しいと思い執筆しました。

##なぜ書こうと思ったのか

私は2019年にOSMとHOTの存在を知り、そこから地図の世界に入っていきました。

2021年にはState of the Map Oceaniaでリモート発表させて頂いたり、今年2022年はイタリアで開催されたState of the Map Florenceとフィリピンで開催したPista ng Mapa & State of the Map Asia 2022に対面参加し、口頭発表させていただきました。

世界各国のマッパーや関係者と交流して、日本では感じられない刺激や熱意を感じるとともに、日本の学生コミュニティの課題も浮き彫りになりました。

筆者のこれまでの経験を通じて感じた問題点。
それをどう解決していくかに焦点を絞りこの記事を書いていこうと思います。

##問題に感じること


  1. 日本の学生のプレゼンスが低い。存在が薄すぎる…。

  2. 日本の学生はスカラシップを獲得できない。


まずは、 "存在が薄すぎる" 点について書いていきます。

海外で開催されるOSMとHOTに関するイベントに参加すると、お互い初対面のメンバーがほとんどで、最初の一声がはばかられます。

しかし、海外のメンバーを見てみると初対面なはずなのに、和気あいあいと会話が行われていることに気づきます。内容をこっそり聞いてみると、「Slackでやり取りしたことある〇〇(人の名前)だよね!」「この間のウェビナーにいた〇〇でしょ?」「いつもTwitter見てるよ!」のような会話がなされていました。

筆者も含め日本の学生はそんな会話がなされているなか、ポカーンとするしかありませんでした。

誰も自分たちのことを知らない、自分たちも他の人のことを知らないといった状態でした。

英語と日本語の言語の壁はあれど、日頃から積極的にSNS等で発信していく、コミュニケーションをとっていくことをしないと、コミュニティから孤立してしまうことを実感しました。


「“スカラシップ獲得”について」

OSMのカンファレンスであるState of the Mapには渡航者の旅費支援を目的としたスカラシップが用意されます。

日頃のOSMへの貢献度合いや居住地などによって選考がかけられ、選ばれた人は旅費支援金を獲得することができます。

ここで日本の学生が直面する問題は、居住地による重み付けがあるということです。

HOTは優先的に旅費等をサポートする国のリスト(HOT Priority Country list)を作成しており、ここに日本は含まれていません。

一例ですが、アジア太平洋地域の優先国は以下の通りです。

参照:Humanitarian OSM Team/Priority countries

この重み付けが選考においてかなりの比重を占めている印象で、日本の学生は旅費支援が受けづらい状態です。
執筆時点(2022年12月)ではOSM及びHOTからスカラシップを受けた日本の学生はこれまでに一人もいません。

国際会議に参加する日本の学生を一人でも増やすためには、この問題を解決しなければなりません。

##解決案

上記で述べた "存在感の薄さ" ,"スカラシップ獲得が難しい"問題を解決するには、日本の学生の底力をアピールする ことに尽きると思います。

青山学院大学 古橋研究室 を筆頭にマッパソンの開催やOSMコミュニティ育成のためのミートアップ開催など、たくさんの人と時間をかけてコミュニティに貢献しています。
決してサボっているわけではなく、胸を張ってアピールできることが実はたくさんあります。

一方で、言語の壁などの理由からせっかくの実績が、国際的なOSM / HOTのコミュニティまで届かず、身内だけで消費されてしまっている現実があります。

これからは、日本の学生が頑張るべきことは海外コミュニティを意識した広報活動だと思います。

日本の学生がどのように、どうやって活動しているのかを英語で発信することで、海外メンバーは自分たちのことを知ってくれるきっかけを生むことができますし、コミュニケーションを取るチャンスにも繋がります。繋がりが生まれれば自ずと日本の存在感は高まっていきます。

また、スカラシップに関しても「これだけの活動をしていしているんだから、優先国ではないけど日本にも資金援助をしてくれ!」と運営サイドと交渉する材料となります。

##具体的なアクション

1.SNSでの発信
小さなことでもOSM / HOTに関する活動を行えば積極的に発信する。

マッパソンを行った時に投稿した筆者のツイート

特定の誰かが毎回広報を行うのではなく、関わった学生全員が行うことでより多くの海外メンバーにリーチさせることができます。

投稿することがなかったとしても、まずはOSMやHOTの投稿のリツイートやシェアから始めてみるのも良いと思います。

日本でOSMやHOTについてよく投稿するやつがいるなと海外メンバーに認識されれば大成功です。

2.Slackに入る
HOTには公式のSlackがあります。
入会希望フォームを提出することで入会できます。

ワークショップやセミナー等の情報、OSM / HOTに関わる議論など、世界中のメンバーがここで情報共有を行っています。

まずはここで情報をキャッチアップしつつ、マッパソンなどを開催するときは告知してみましょう。

3.Community Working Groupに入ろう(これは余裕があれば)
HOTにはOSMコミュニティをサポートするためのグループ「Community Working Group」と呼ばれるものがあります。

Community、Tasking Manager (Technical)、Quality Control and Assuranceなど複数のWorking Groupが存在します。

各Working Groupの詳細を見て、どのアプローチでコミュニティに貢献していきたいかを考え、メンバーになってみましょう。

##さいごに

ここまで読んでいただきありがとうございます。偉そうにつらつらと書きましたが、私自身も力不足を日々感じています…。

これを読んでくれた方々と日本のコミュニティを盛り上げられたら嬉しいです!


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