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『オーサキ・コーの探偵日記1!』

俺は探偵作家土木警備員。探偵という肩書きで小説を書いた、日本では唯一の探偵だ!noteデビューしてもうすぐで一ヶ月。文才溢れる俺様は、一月で100位の記事を書いた。俺はコラム、エッセイ、小説ほか、ポエムをも得意としている。俺様の記事は読まれまくりのフォロワー増えまくりだわ。そんな俺が波乱に満ちた日常を日記に書いてみようと思いたった。では、俺様の味わい深い日常を、とくとご賞味くだされ。 

5月15日(土)

今日も暇だった。依頼の電話も冷やかしの電話もゼロ。暇だから朝起きてからもう一度寝てみた。ストーカー対策の依頼を貰ったときにストーカー退治出来るよう、暇な日の朝は欠かさず筋トレしていたが、辞めた。依頼が来ないもの。目的のない筋トレほど虚しいものはない。涼しかったので良く寝れた。子供や嫁からは不満の声はなかった。多分、家庭では諦めてもらえたのだと思う。しかし今週は水曜、木曜とマジで探偵依頼をこなしたんだよな。六畳一間で一万円で探偵業を立ち上げてから、おおよそ一年。その間マジで冷やかしの電話が2、3件しかなかったから、探偵なんて一生やることねーよな。って思っていたから面食らったよ。独学で探偵学を学び、実地経験ゼロの俺だったが、俺にはあり得ねーほどの豊富な人生経験がある!そう自分に言い聞かせ、勇気を振り絞り恐れず俺様は依頼に真っ向から立ちむかった。ということで、俺の日記は、依頼が来た三日前にタイムスリップ!

5月12日(水)

電話が鳴った。探偵をしてくれないかと、単刀直入に言われた。他の業者に頼んだら30万コース、なおかつ誰もクライアントの正統性を信じてくれない、とのことだった。

クライアント(80オーバーのおばあちゃん)の話は、こうだった。同じく80オーバーの旦那が浮気している。浮気相手を家に入れ、クライアントを追い出したいが為に、クライアントに嫌がらせをする。大事にしている庭木に除草剤を撒かれ、どっかこっかに盗聴機や盗撮機を仕掛けられ、始終旦那に動向を監視されている。だから家にきて、盗聴機や盗撮機を撤去してほしい、との事だった。

クライアントの家についたのは良いが、俺は不意打ちを食らった。野次馬根性丸出しの近所のおばちゃん一人も一緒だった。いきなりの身バレだ。仕方ないから、探偵名刺を一枚配り、一緒に家にあがった。

おばあちゃんとおばちゃんがとり留めなくしゃべり始めた。

「お宅の旦那さん、とても良い人だけど」
「静かに!旦那が盗聴しているから」
「外面の良い人に限って要注意ですよ。」
「静かに!旦那が盗撮しているから」

コントみたいな会話が止まりそうもないので、俺は会話から抜けた。蛍光灯のシールドや電話機の裏、タンスの中などに盗聴機や盗撮機がないか俺は丹念に調べた。人生初の経験だった。俺はまるでベテランの探偵のように振る舞ったので人生初だとはバレなかった。野次馬のおばちゃんからは「おばあちゃんの妄想だから」と言われたが俺は耳を借さなかった。

クライアントの不安を取り除く事、それが探偵の使命!

だからだ。俺は大事な要素をきちんとわきまえていた。探偵依頼ではあったが、便利屋としても看板を出していたので、便利屋扱いとした。何故なら99%おばあちゃんの妄想だと判断したから。妄想のまんま探偵したらなんぼでもおばあちゃんはボラれてしまうのである。またあろうことか俺は盗撮、盗聴機発見器を持ってなかった。まともな依頼が来たら買おうと思っていたが。しかし高額な探偵扱いにしていまうとおばあちゃんの懐が痛む訳だし「リース物の高額な探知機を使ったら高くつきまっせ」と言って上手に逃げた。けど「調べる」ことはやった。ちなみに探偵の仕事は、聞き込み、張り込み、追跡、尾行を実地で行い、調査結果を当該依頼者に報告する業務を言う。調査結果を正式に文書で報告しましょうか?と提案したが、クライアントは旦那に見られたら困ると言い出したので、やはり便利屋扱いで料金を貰った。「2500円頂戴します」と言ったら、3000円くれた。ちなみに探偵業務を便利屋業務に格下げすることは、探偵業法に抵触する行為でない。

5月13日(木)

野次馬のおばちゃんがいない時間を見計らって、再度クライアントのお宅にお邪魔した。

スマホに盗聴機、盗撮機発見器のアプリをダウンロードし(実は今時はスマホでなんでも出来るのだ!)持参したラジオのチューナーを弄り、お宅の隅々を調べたけど何も出て来なかった。旦那さんが奥さんの監視に使っていると言うノートパソコンを開いたが、OSはWindows XPと古く、パスワ―ドが解らなかったので中までは覗けなかった。

俺はハナから何が大事なのかを知っていた。

大学ノートを机に広げ、おばあちゃんの身の上話から情報を拾い、メモを取り、話の整合性を確かめた。
おばあちゃんは、近所の人に「妄想癖がある」と言われ、傷ついている。やはりここが最大のポイントだった。

「旦那さんを尾行して、浮気の証拠を取りますか?」と俺が聞くと「そこまでしないで良い。旦那に探偵を雇うほど、自分が本気だと言う事に気づいて欲しい」と言われた。

「旦那様が、奥さまの動向を監視するツールは、お宅にあるノートパソコンしかないので、盗聴機や盗撮機の存在を気にするのではなく、旦那さんがパソコンを見ている時に、何を見ているのかちょっと気を付けてみて下さい。また今回、私が調べた箇所を旦那様が気にかけるようでしたら、何をどう動かしたのが、気にかけてみて下さい」と俺は言った。そして最後に一番大事な事を伝えた。

「浮気相手の事を気になさらないと言う奥様は本当に寛容な方だと思います。そのお気持ちのまま、最後まで旦那様と添い遂げられたらよいですね」
おばあちゃんが笑顔になった。

俺は、またまた便利屋扱いとし、3000円の報酬を頂いて、お宅を後にした。

業界の価格破壊王、世界でたった一人の探偵作家土木警備員の称号を持つ、探偵オーサキが、世の為、人の為、溢れるばかりの文才で、面白おかしい話を今日も書く!

(注)全ては、実話を元にしたフィクションです。






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