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半月板損傷切除手術のための入院記

手術に踏み切るまで

2月に行ったゴルフ。帰宅後膝に痛みを感じた。昨年より痛みを感じることが度々あったが、すぐに和らぐのだがこの日は違った。激痛だった。翌日には更に痛みは増し、まともに歩行出来ない程になり、すぐに整形外科にかかった。

担当してくれた医師にも話したが、この痛みが出たのは前年の海外旅行の際、7日間朝から夜まで観光で歩き続けた。久しぶりの海外旅行は楽しく、また次にいつ来られるか分からないので無理して歩いたのもあった。例えばある日、パリで朝9時から7時まで名所巡り、またある日はゴルフ1ラウンド18ホールを徒歩でスループレー(日本では一般的にカートに乗って9ホール。昼食を挟んで9ホール)した後にロンドン市内観光を徒歩とバス、地下鉄で4時間と、普段立ち仕事であまり歩かない生活、脚の筋力も無いのに無理したことが祟ったのだろう。帰国後に痛みが出ていた。それから数ヶ月だましだましでいたが、この2月のゴルフの翌日は違った。「これでは仕事が出来ない!」そう感じた。

レントゲン、MRIを経て診察の結果、右膝内側半月板損傷と言うことだ。

治療には

①痛み止めを含むヒアルロン酸注射を2週に1度。

②手術による治療

放っておくと半月板(軟骨)が擦り切れ人工関節となる可能性もあると言う。仕事を休んで手術に踏み切れない気持ちもあり、ヒアルロン酸注射で様子を見て、仕事を休めるよう将来余裕が出来たら、手術をしようと決めた。入院は1週間程度になるようだ。

整形外科医は痛みが出ている時の緩和や対処方法を得るためにリハビリにかかることも勧めてくれた。担当となったリハビリの理学療法士が診るに、私の左右の膝は仕事柄だろうが真っ直ぐになっていないと言う。前かがみ前傾姿勢で仕事をしているので、横から見ると少しくの字になっていると。平らなところに座り脚を伸ばすと、膝の下にこぶしひとつ分くらい隙間が出来てしまっているのだ。これも半月板に負担をかけている原因のひとつで、これをリハビリによって伸ばしていきましょうと。リハビリは週に一度程度通院することに決めた。

それから数日は注射の効果もあり、日常生活において何ら支障はなくなる。でも仕事やプライベートで無理が出ると必ずその翌日には反動で痛みが出る。3月初めのゴルフは痛みが出なかったが、3月末のゴルフでは痛んだ。

無理する→注射、無理する→注射を繰り返すより、仕事を休んで一気に手術することが最善策なのかと悩んた。家族の支え、店を休むためのアルバイトさんたちの理解、保険会社、健康保険組合などの調整・・・大丈夫。手術しよう!と決断した。

かかりつけの内科医へ紹介状の請求、健康保険組合へ高額医療費控除の医療証の発行(市県民税の納税証明用意)を事前に行う。

入院当日1日目

前日は1週間店を休むための片付け。食材の整理を終え、お酒もストップ。8時に起床し美味しい朝食を食べて出発。病院までは妻に送ってもらう。

腕もよくリハビリでも有名な病院

早速レンタルの部屋着に着替える。

部屋着はこんな感じ

入院の手続き後病棟の案内、病棟看護師から手術の説明を受け、栄養士から食事について説明を受けた。途中、担当ではない看護師さんから「あれ?◯◯さん?たまにお店に行ってるものです」と声をかけられた。通院中にも同様に声をかけられたことがあり、自分では相手を分かってなくても、マスク越しの自分を見つけられ、屋号で呼ばれてしまうのは嬉しいような恥ずかしいような。

4人部屋。枕を持参して

軽度の糖尿病なので食事に制限がある。1日1500キロカロリーだそうだ。初日の昼食はカレー風味の肉じゃがと切り干し大根と茄子の和物、グレープフルーツのオレンジのジュレかけ、ご飯は150クラム。よく病院食は味気ない、美味しくないなどと言う方も多いが、私にとっては丁度いい。ここの栄養士さんたち調理師さんたちの調理も上手のだろう。

1日目昼食

午後は術後の松葉杖の使い方、サイズ合わせ。麻酔医から、手術担当看護師から、看護師長からの説明。沢山不安や聞きたいことがあったが、相談し全て解決した。あとはまな板の上の鯉だ!
手術は翌日の15時頃からと伝えられた。

手術までに時間は沢山ある。パソコンやiPadを持参し事務仕事をした。

16時。すでに空腹を感じる。カロリー制限はいいのだが、大食漢だけに野菜などでのかさ増しがあると助かるのだがそれは出来ないと。きっと1週間後には体重も落ちるだろう。

待ちに待った夕食。これから向う24時間食べ物を口にすることは出来ない。しかも手術後の夕食は軽食だと言う。持参した0カロリーのフルーツゼリー(許可済)の出番かも知れない。

メニューは、魚のムニエル(バター醤油)、 トマト味の大豆スープ 、インゲン海苔あえ、ご飯150グラム。ご飯のおかわりが欲しいところだ。

1日目夕食

食後からOS-1の接種が始まる。明日の朝9時までの間に2本飲むのが好ましいと。

OS-1は2種類を

20時20分よりシャワータイムだ。さっぱりとした。空腹で寝られないためにフルーツゼリーをひとつ。21時までは食べられる。

CMでやってるね

就寝は22時。それまで配信動画などを観て過ごす。22時30分。ブリーズライトといびき抑制のマウスピースを装着するが、寝られない。マウスピースが鬱陶しい。お酒でも入っていれば、それほどまでは気にならないのかも知れないが。溢れ出る唾液、違和感。それでも1時間くらいは寝られたようだが、耐えられずに外す。同室の方々に心の中で謝る。いびきがうるさいだろうけどごめんなさいと。

入院2日目

6時に検温、血圧、脈拍、血糖値の測定。常用している薬の摂取。これから15時まで8時間待機だ。9時までは水分(OS-1もしくは水)は摂れる。同室の方々の食事の音、美味しそうな匂い。きっと昼時も辛いのだろう。

執刀医の回診があった。簡単に手術の説明を聞く。術後の経過で早ければ週明けにも退院出来るかもと言われる。美味しい食事、美味しいお酒を夢見て我慢だ。しかし空腹は辛い。パソコン仕事の手も止まる。

手術前の剃毛。てっきり膝周辺だけかと思ったのだが、太もも中程から足首、裏側までしっかりと剃られた。酸素マスク装着のため髭剃りもだ。

毛深くてごめんなさい

いよいよ手術2時間前。手術着に着替え点滴の投与が始まる。前の方の手術が少し遅れているそう。直前の気持ち、ドキドキしてくる。

腕の血管では上手く入らず、手の甲で(痛い)

全身麻酔に対する不安

術後の痛み

回復までの日数は?

今まで通りに仕事に戻れるのはいつ?

普通にしていたら、痛みは全く無いだけに、気持ちはブルーになる。この期に及んで手術を選んで良かったのか?と自問自答する。だましだましで行けたのではないかな?なんて。

普段から痛さに耐えている状態ならば、何も迷うことはないのだろうが。

麻酔から目覚めたら、どんな感じなんだろう。術後の記憶障害が出る人もいるらしい。看護師さんが手術室への時間を伝えてに来た。あと10分。お手洗いを済ませて徒歩で向かう。点滴のスタンドを片手に持ち、押しながら。

2階の手術室に入り手術台に横たわる。目がぐるんぐるん回ってきた。

「あの〜、目が回ってきたんですけど」

「ごめんなさい。点滴の管に麻酔を入れ始めたのを言い忘れてました〜」

「なるほど〜 それでなんですね・・・」

zzzzzz.....…

「◯◯さん、手術終わりましたよ。」

「えっ!もう終わったのですか?」

うたた寝してた。そんな感じのあっという間の出来事だった。

ストレッチャーで病室まで戻り、看護師4人かかりでベッドに移してくれる。器官挿入した関係なのか、少し声が出しにくい。喉が乾いたが残りの点滴が終わるまで何も口には出来ないと言う。

「腹減ったなぁ。何か飲みたいなぁ」と心の中で呟く。麻酔から覚めても麻酔の影響でだるい。手術箇所に痛みはない。痛み止めも効いているのかもしれない。腫れもない。

20時になりようやく夕飯。夕飯と言っても軽食だ。24時間振りの食事は軽めになのだろう。空腹に沢山は毒なのだろう。パンひとつにコーンスープ、ゼリーにリンゴジュース。

2日間夕食の軽食

これじゃ再び0カロリーのこんにゃくゼリーのお世話かな?と思ったけど、起き上がる気力がない。手術日当日から松葉杖を使って歩行も許可が出ているが、歯磨きするのが精一杯だった。

入院3日目

6時の検温、血圧、血糖値の測定。朝食前のお茶。一口飲んだ。気分がすぐれない。気分転換にロビーへ移る。すると吐き気に耐えられずトイレに。

部屋に戻り朝食なのだが受け付けない。ご飯味噌汁、シャケ、ほうれん草のお浸し、牛乳。味噌汁とほうれん草だけ食べて横になった。

3日目朝食

執刀医の回診。傷口を消毒し確認。月曜日には退院出来るねと。とってもとっても嬉しい知らせだ。

昼食も胸肉のソテーにサラダ、おからにめかぶ。半分くらいでギブアップ。

3日目昼食

吐き気は収まったものの、ダルさ、微熱。無気力で何もする気にならない。本来暇を持て余すだろうと持ち込んだパソコン、iPad、スマホでのゲームやSNS、全てが億劫だった。

14時からリハビリ。少し動いていた方が気も楽だ。ストレッチ、ゴムチューブを用いた足首の曲げ伸ばし、ゴムボールを股に挟んでの運動、横になり片足ずつ上下に。こんなスタイルをしながら「スタイリー スタイリー♬」と大昔のCMを思い出す。

支えてくれる松葉杖

リハビリを担当してくれる理学療法士から、イラストで今回の手術で切除した部分を教えてくれた。ベロっと剥がれてしまった部分を切除して、切り口をトリミングして終了。手術時間は7分と、かなり短い手術だったようだと伝えられた。

自分の症例を、ある病院のホームページで見つけた。
こんな感じで半月板がめくれ、切除となった

15時。家族が面会に来てくれた。有り難い。気持ちが萎えていたからだ。必要なものも持ってきてくれた。しかしカロリー制限下なので美味しいものは我慢だ。

16時から本来は入浴だったのだが、だるさがありキャンセル。翌日に。

夕食もしかり。麻婆豆腐、ご飯、野菜スティック、杏仁豆腐。半分だけ食べ横になる。

3日目夕食

寝る前にロビーでくつろぐ。ここには同じ様な手術をした方でも、私のように軽い手術に比べれば重い手術をした方もいる。苦労話など互いに話すことで気持ちも多少楽になるのだろう。

空腹で寝られるかな?って思ったが、ぐっすりと夢の中へ。

入院4日目

いつものように、検温、血圧、血糖値の測定。うん。大丈夫だ。だるさもない。胃袋も動いている。

私の場合、健康とは贅沢なものだ。前日までは食べられなかったのに、食欲が出てくると、量が足りない!おかずが足りない!麺が食べたい!肉が食べたい!と欲が出る。卵焼き、お浸し、ご飯、味噌汁、牛乳。

4日目朝食

自販機で缶コーヒー(無糖。普段からコーヒーはブラック派)と炭酸水で気を紛らす。パソコンで仕事をする。糖分の入った飲み物はNG。大好きなトマトジュースもNGだ。トホホ。

パソコン仕事を

ようやく昼食だ。ちらし寿司、鮭の粕汁、パイナップル。お酢好きに、すし酢は嬉しい。

4日目昼食

体調が良いので午後はのんびり。スマホの未整理の写真をGoogleフォトやフェイスブックに保存したりして。

16時。2日間シャワー浴びれなかったのでスッキリ。

退院の手引きの書類を手渡された。色々細かく書いてあるが、呑兵衛の自分としては、退院初日から少量ならお酒もOKの部分に心が踊る。手術後1週間程度は抗生物質を摂取して、お酒はNGだと思い込んていたからだ。

18時、病院での最後の晩餐だ。白身魚の香草焼き、スナップエンドウ、野菜と豆のトマト煮、サラダ、ご飯だ。どれも味付けバッチグー。
ん?!イカンイカン!魚の骨が喉に留まってしまったようだ。

4日目夕食

食後部屋やロビーでのんびり過ごす。
私よりも重症だった患者さんたちとの交流。不自由だからこその愚痴、辛さ、悩みを聴いていると、その方たちには申し訳ないが、自分の症状の軽さ、手術の軽さが申し訳なくなる。そして予定よりもかなり早く退院出来ることも。
自室に戻る背中たちに「頑張って!」と心の中でエールを送る。

iPadでU-NEXT「不適切にも程がある!」を。やっぱりクドカン最高!!
そろそろ消灯時間だ。明日のご馳走を夢見て。

入院5日目そして退院

全く熟睡出来なかった。1時間おきに目が覚め、ヘンテコな夢を見ていたことに気付く。昭和のシュチュエーション、旅先で友達との偶然の再会、静岡から離島への船旅、また別の船に乗ると外国の戦隊による襲撃拿捕。昨日久しぶりに飲んだコーヒーのせいなのかも知れない。それとも帰宅出来る興奮なのか。
いつものように6時起床。朝食は8時なのにこの間がいつも長く感じる。朝食ギリギリまで寝ていたいのだが、そこは仕方がない。これから手術に向かう方にとっては飲み物制限や投薬やらあるので、私の血糖値の確認も一緒にしないと看護師の負担が増える。あれ?血糖値だけ?退院の朝だからか、脈拍、血圧の測定はなかった。
病院最後の朝食は、ししゃも2尾、もやしのサラダ、味付け海苔、ご飯、味噌汁、ヨーグルト。もちろん足らないけど数時間後にはニヒヒだ。

5日目朝食

前日私の入る4人部屋に、2名の患者さんが入ってきた。このお二人は今日が手術日だ。よって今朝から断食となっているので、私の咀嚼音が気になるだろう。味噌汁の香りが気になるだろう。ごめんなさいね。

患部の消毒、リハビリ理学療法士のチェック、片松葉杖での歩き方、以後通院中の予約、保険会社へ提出する入院証明書の発行手続き、会計を済ます。
最後にお世話になった看護師さん、まだ入院が続く患者さんたちに別れを告げる。

ありがとう。執刀医の先生、看護師さんたち、介助の方々、理学療法士さんたち、共に辛かった患者さんたち。

荷物を抱え、松葉杖を持ち、タクシーに乗る。退院が何時になるか分からなかったので、セブンイレブンの冷やし中華とスパゲティ、サラダを買っておいてもらっていた。スパゲティとサラダだけ食べて我慢しようと思ったが無理だった。冷やし中華にも手を伸ばす。あ〜。自由に好きなものを食べられる幸せを噛みしめる。そして夜にはお酒も。

退院一週間後抜糸

退院した日は自宅でのんびりした。お店を一週間休むと告知してあり、退院が早まったからこそ出来た2日間の予備日。営業再開に向け仕入れや仕込みを行う。歩行に関しては片方だけでも松葉杖を使うことが好ましいと言われているが、使わなくても全く痛みがないし、かえって不自由さを感じる。一歩一歩慎重に歩く。大丈夫だ。立ち仕事も出来る。
待ち望んだ営業再開。沢山のお客さんに支えられているんだなぁと喜びを噛みしめる日々。よく働き、よく食べ、よく遊び、よく寝る。
抜糸のために通院。執刀医に改めてお礼を伝える。外側の傷の痛みはほぼ消え、膝内部に違和感が少し残るが日々良くなっていくのを感じると。内視鏡手術のために出来た2つの傷口を縫合していた十字の糸をパチンと切り、抜く。傷口を塞ぐ大きめの絆創膏と防水シールでシャワー入浴だったが、傷口をカバーせず、湯船に浸かっての入浴も許可が出た。リハビリからも運動の許可が出た。完全に回復するまではひと月かかると言われているので、無理をせずのんびりいこうと思う。


入院中や普段の生活の空いた時間を利用して、自分の記録用として短い日々の長々とした入院記を書きました。どなたかの手術に対する励みや、同じ様な手術をした方に「そうそう!!」などと共感して頂けたら幸いです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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