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【静岡】うなぎと「ぼくめし」

縁起を巡る旅「めでたび」の概要はこちら。

ご縁をつなぐ、良縁を運んでくれる縁起物のうなぎ。
うなぎは海で産卵し、滝などを登って上流目指すことから運気や数値の上昇を表す「うなぎ登り」という言葉が生まれた。
ゲン担ぎとして運気や成績などが右肩上がりに登ることを願いうなぎを食べる。私は浜名湖の近くに養鰻場が見学できるうなぎ屋があると知り、見学を申し込んだ。

まずはうなぎの語源から。「体が長くて鵜が飲み込む時に難儀なんぎする」ことから「鵜、難儀」でうなぎという。
本当かと思わず聞き返してしまったが、他にも体が長いことから棟木、胸が黄色いから胸黄むなぎから来ている説もあるそうだ。
鵜が難儀する説が一番おもしろいので、それが定説になってほしい。

うなぎ用の包丁。地域によって形が違う。

うなぎといえば、そのさばき方にも有名なゲン担ぎがある。武士文化の関東は切腹を連想することを嫌って背を開き、商人文化の関西では腹を割って話そうという意味を込めて腹開きにする。どの調理法がおいしいかという観点だけでなく、ゲン担ぎの地域性で調理法が変わる食材も珍しい。

出荷前に泥抜き作業中のうなぎたち

さらにご主人は養鰻場を案内しながらおもしろい話をしてくれた。
「ヨーロッパの人たちはレッドリストのうなぎを、夏のたった一日に一億匹食べる日本人を疑問に思っている。」

案内してくれたご主人

確かに考えてみるとおかしな話だ。「土用の丑の日にはうなぎを食べる」という風習は江戸時代から続いているが、土用の丑の日に食べるものは「う」がつくものという指定があるだけだ。
梅干しでもうどんでも瓜でもいいのだが、多くの人がうなぎを食べる。夏バテ防止に栄養価の高いものをと言い、うなぎの絶滅が危惧されてからも変わらずうなぎが食べられている。
ゲンを担いでのことなのか、うなぎが美味しいからなのか。きっと私たちはうなぎを食べられる機会を探っているのだろう。
「あぁ今日は土用の丑の日だからうなぎを食べなくちゃ。お高いけれど仕方ないわよね」
なんて言い訳をしながら、買い物かごにうなぎを入れるのだ。

白いうなぎは神の使いで食べずに育てられていた

さて見学が終わるとお楽しみの時間だ。
実はこれが目的でこのお店を予約していた。いよいよこの地域の郷土食「ぼくめし」を食べる。

元々は養鰻場のまかない飯だったが、うなぎの値段が上がり現在では祭りや祝い事の際に食べられている。
その土地でしか食べられない縁起食。こういう郷土食を食べることも開運につながる。そしてこういっためでたい食のインプットは、いずれ私のライフワークであるおせち作りに通じていくに違いない。有名な名物に隠れた郷土食こそ、私が愛でたいものなのだ。

これで人生うなぎ登り!

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