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王道の hors-d'œuvre(作品外)。豚肉とサツマイモのテリーヌ

どーも。都内一流ホテルで16年勤務した、フリーシェフ、僕です。
今回4279字でした!
レシピ制作のポリシーを作りました。
もし気に入ってもらえたらご覧になってくださいね。

今回は豚肉とサツマイモのテリーヌです。

タイトルにも書きましたが、今回はフランス料理のコース中、
前菜というカテゴリからテリーヌを紹介します。
前菜というとhors-d'œuvre。直訳で作品外という意味です。
これはメインではない料理という意味が趣旨です。
コース上では量が少なめで食欲をそそらせるようにするため、
塩気か酸味が強いものであるのが多いのが特徴です。
テリーヌという意味自体は陶器の器(か蓋つきの壺)という意味ですが、
現代では料理自体を指すことが多いようですね。
ちょっと前置きが長くなりましたが、THEフレンチの前菜です。
モノに出来ればどんな肉料理だってテリーヌに出来ます。
温度管理は違いますが、工程はほとんど同じ工程を踏みます。
モノに出来れるとイカすと思います☆

THE)材料

豚ひき肉 200g
ベーコン 100g
サツマイモ皮ごと 1/3個ほど
(使うのは1/3弱ですが、火入れするのは1個丸々使ってください)
無塩無油ローストナッツ 80g
☆ピスタチオ、アーモンド、クルミ、カシューナッツの
ミックスを使いました。
キャベツ葉 7枚か8枚ほど
ドライイチジク 100g

調味料)

(今回は分量を計量してください)
塩 4g
胡椒 1g
砂糖 1g
溶き卵 1/2分
カトルエピス(=クオーターエピス)、五香粉、
タイムパウダー、ナツメグのどれか 4振り程度
(僕は五香粉を使いました)
パセリみじん切り 大匙1
赤ワイン 10㏄
ブランデー 10㏄

☆型に塗る用
バター


みんな大好きヱスビー食品様、
今回挙げたドライハーブとミックススパイスです。
僕は五香粉を使いました。
好みの問題ですが、クオーターエピスでもいいかもしれません。
しかし、
クオーターエピスが
近くのスーパーを数か所探して手に入らなかったんです…。
僕が作るレシピは『近くのスーパーで無理なく手に入る食材』
を使う事が前提です。
今回は4種類を代替えとして提示しました。
どれかを加えればいい香りや風味になるでしょう。
ただし、この場合、入れれば入れただけ良いわけではないので
どれか1種類だけ使ってください。

器具)

テリーヌ型 2本
500gペットボトル 3本
(重りです。タルトストーンだとちょっと軽いので、ペットボトルです)

テリーヌ型はこのような型を使いました。
パウンドケーキ型で充分だと思います。
1本に詰めて、加熱処理が終わった重りを入れて
上から優しく押すイメージです。


工程)

サツマイモをアルミホイルでくるんでオーブン250度で10分、180℃で50分竹串が入らなかったら10分追加、ファルス(後述)を作る、ナッツをカットしてオーブンちょっとで乾煎り、すぐ冷ます、カットベーコンとナッツを入れて粘りが出るまで混ぜる、ピッタリラップして、一度冷蔵庫で休ませる、サツマイモが出来上がって冷めたら棒状にカット、ドライイチジクは半分にカット、以上をガルニチュール(後述)とする、キャベツをグデグに煮5分ほど茹でする、しっかり冷ましたうえで水分をペーパーで拭きとる、型に詰める、キャベツを敷き、ファルスを3分の1ほど詰めて、ガルニチュールを入れて、残りのファルスを詰め、キャベツで蓋をする、250度のオーブンで10分、取り出して10分休ませ、100度に落としたオーブンで1時間加熱処理、真ん中に鉄串を入れて熱ければ加熱終了、上から重りを置いてプレス、室温になるまで3時間ほど放置、プレスをどかして型から外して冷蔵庫で完全に冷ます、冷めたらカットして盛り付けて完成。


付け合わせ例)

ピクルス(写真)
バルサミコクリーム(写真)


僕が書いたピクルスのレシピ記事です。
手作りの方がいい風味であるとされますが、
テリーヌの付け合わせであれば、極端な話
甘ラッキョウでもいいと思います。

エクストラバージンオリーブオイル
フルールドセル(後述)
マヨネーズ
粗挽き胡椒
フルーツジャム


フルールドセルです。
見た目は粒子が大きい塩です。
フランス産のとても美味しい塩なんですが、大変高価です。
1kg7000円超えます☆
フランス料理のお店ではまずある商品です。
テリーヌにはとても合いますし、肉や魚を塩だけでいただくには
最高の塩であると考えます。

では行きましょう。

まずはサツマイモを焼きます。
軽く洗って、アルミホイルでくるみます。
オーブンの天板にアルミホイルでこのように土台を作ります。
この上にサツマイモを乗せるイメージです。
直接天板に乗せると焦げます。
ではオーブンに入れます。
250℃で5分、180度に落として50分、竹串が入らなかったら10分追加。
250℃まで上がらないオーブンであれば最大火力で入れてください。
この場合、最初だけ最大火力の方が甘くなると、経験上思います。
出来たらオーブンから出して冷ましておきます。
アルミホイルと皮をむいておきます。
味見するととても甘いサツマイモです。
ひき肉の調味料を計量します。
今回は計量した分全部を使います。
ドライスパイスとハーブは4種類挙げました。
一度買って二度と使わないなら入れない方がいいです…。
ただ、どれかでも加えた方が西洋料理の味になります。
ここまでやったら是非加えてほしいと考えます。
パセリみじん切りまで入れたら冷蔵庫で冷たくしておきます。
ベーコンは角切りにして冷蔵庫で冷たくしておいてください。
ナッツ類をカットします。
全部半割くらいでいいのですが、見本として置いておきます。
写真左から
アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、クルミ
です。
カットした方がナッツの香りがテリーヌ全体にいきわたります。
このカットしたナッツを5分弱オーブンに入れて乾煎りします。
出来たらしっかり冷まします。
作業的にはまず初めにやった方がいいかもしれませんね。
さて、ひき肉です。
ボウルに入れて冷蔵庫に入れます。
さっきから冷たく冷たくって、口酸っぱく言っていますが
その通りです。
混ぜるときに熱が加わると脂が変に溶けて口当たりが悪くなるんです。
ソーセージやハンバーグを作るときも同じですね。
プロは氷水当てながら混ぜます。
では今回どうするかです。
調味料、ベーコン、ナッツ、これとひき肉を混ぜるわけですが、
全部冷蔵庫でしっかり冷たくしてから作業に当たってください。
金属のボウルにひき肉を入れて、冷たくした他の材料を全部入れて、
手早くですが、しっかり混ぜます。
全体に粘度が出てきたらOKです。
混ぜて状態でぴっちりラップしてできれば1晩休ませます。
時間が無い場合でも少なくても手で温まった肉がしっかり冷たくなるまで休ませてください。
その後、『味見をします』。
この場合は塩分が足りているかを見ます。
ミートボールを作って焼いてから味見をしてください。
生肉食べちゃダメですよ。
もし塩気が足りないと思ったらこの時点で塩を足して混ぜてください。
サツマイモとドライイチジクをカットします。
サツマイモは棒状に、イチジクは半割です。
キャベツを茹でました。
沸騰したお湯でゆでて、できれば氷水で締めます。
今回は1枚ずつにしてベロベロに茹でました。
今回、7枚ほど使いました。
写真右の黒くなっている部分は除去して使いました。
しっかり水をペーパーで取っておきましょう。
さて、組み立てる前に。
僕のノートから。
あまり上手くはありませんが、こんな感じでやりまーすってのは
絵にしたりはしています。
キャベツで巻いて真ん中サツマイモ、イチジクを隣に、
挽肉には豚肉、ベーコン、パセリみじん切り、ナッツ
って書き方です。
一応フランス語です。
では詰めていきましょう。
型にバターを薄く塗ってキャベツを敷きます。
キャベツが隙間なく敷けたらひき肉を3分の1程度まで入れて平らにします。

挽肉が詰められたら真ん中にサツマイモを詰めてその横にイチジクを置きます。
その後、上までひき肉を詰めてキャベツで蓋をして
端から出ているキャベツで巻きます。
オーブンに入れましょう。
250℃のオーブン最高音で10分、すぐ取り出して室温で10分。
100度に落としたオーブンで1時間。
1度取り出すのは、中まで火を均等に入れるためです。
できたー。
時間になったら取り出してください。
真ん中に冷たい鉄串を指して下唇の下で熱くなっているか
確かめる方法もあります。
今回は時間になったら出してもらってで加熱処理済みです。
オーブン100℃だから100℃以上に食材が上がることはありません。
では次に『プレスをします』。
出来た熱いテリーヌにラップをして、同じ型を置きます。
底に重りとしてペットボトル500ml2本を置いて2時間ほど。
ゆーーーーーーっくり重しをしてテリーヌにある無駄な隙間を埋めます。
粗熱が冷める2時間後にもう一本重りを置いて1時間くらいでプレスは完成。
3本目にした時に、沈みすぎると重しりが『重すぎ』。
重り2本で計3時間プレスしましょう。
では取り出したのがこちら。
ラップでしっかり巻いて冷蔵庫でしっかり冷まします。
目標は1晩。
カットしましょう。
端っこを『エンドカット』と呼びます。
端っこは味見としてください。
ある程度厚い方が美味しいテリーヌになります。
これは肉の食感を得られやすいのが理由です。
盛ってみました。
ピクルスとソースとしてバルサミコクリーム。
上手く盛ってみてください。
他の食材を使ってもうまく盛れるはずです。
前菜は『かわいく盛る』。
とある方から教わった教えです。


☆おまけ)

☆冒頭でテリーヌの付け合わせとしていくつか挙げました。
ソース無しでも付け合わせ無しでも美味しく召し上がれる料理です。
ピクルスでなくても『ラッキョウ』でもいいでしょうし、
リンゴやイチゴなどの甘酸っぱいジャムでもいいと思います。
スーパーで売っているもので問題ありません。

☆ファルスって何よ?
farce。詰め物の事です。ソーセージやパテの中身、チキン丸鳥の中に入れるものもファルスです。

☆ガルニチュールって?

garniture。フランス語で付け合わせ、です。
この場合、テリーヌに入れるサツマイモとイチジクは
付け合わせという意味です。
ナッツも大きな意味では付け合わせです。
ただし、今回は写真上の皿の上でのガルニチュールはピクルス。
ファルスの中身のガルニチュールはサツマイモとイチジクです。

読んでくださってありがとうございました。

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